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異世界のキャンセラー~俺が不遇な人生も纏めてキャンセルしてやる!~  作者: 空地 大乃
第二部第三章 西部レフター領編

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第26話 対エビーラ戦

お待たせ致しました。

「随分と久しぶりだなぁアイリーン。だけど、ここから先はいかせないぜ」

「――お前、エビーラ!」

 

 アイリーンが憎々しげに口を開いたにゃん。何か因縁がありそうにゃんね。マント姿で鉄の杖を持ってるにゃん。


 それにしても随分と数が多いにゃんね。あのエビーラとかいう男の他にうじゃうじゃと湧いてきてるにゃん。


 まるでネズミにゃん。でもネズミなら猫に狩られるのが定めってものにゃん。


「はは、随分と怖い顔だな。何だ? 抱いてやれなかったのを恨んでるのか?」

「ふ、ふざけるな! 親父を裏切った癖に!」

「なんだ、そんなことで目くじらを立ててるのか? 仕方ないだろ? あれはあいつが馬鹿なんだよ。山賊の癖に義賊を気取って、折角奪った物も殆どどうでもいいゴキブリみたいな貧民どもに配ってまわるんだから。こっちだってやってられないだろ?」


 アイリーンが怒りの形相で睨んでるにゃ。唇を噛み締めて悔しさもにじみ出てるにゃん。

 こんな連中に父親を殺されたのが許せないのかもしれないにゃん。


 それにしてもこの男、典型的なろくでなしにゃん。悪徳冒険者の更に上をいくにゃん。カラーナも明らかに不機嫌にゃん。


 馬鹿にゃん、死んだにゃん。大体揃えてる連中、数だけ多いけど寄せ集めのネズミを揃えただけって感じにゃん。全くこわくないにゃん。


「それにしても揃いも揃って美人揃いだな。殺すにはちと惜しいぜ。おいアイリーン、そいつらを俺に明け渡すって言うなら許してやるぜ? 特にその猫耳が気に入ったしな」

「ふざけるなよ、このクズ野郎」

「お前なんかの好きにされるぐらいならネズミと結婚でもしたほうがマシにゃん」


 アイリーンとほぼ同時に突っぱねてやったにゃん。大体キモいにゃん。好きでもない男に猫耳が気にいったとか言われても怖気しか覚えないにゃん。


 全身の毛が逆立つ思いにゃん。腹ただしいにゃん。でも、恨みはアイリーンの方が強いみたいにゃん。だから周囲の連中をぶっ飛ばすだけで我慢するにゃん。


「ははっ、あんた自分の顔を鏡で見たことあるんかいな? 性格がネジ曲がっているだけあって顔もひん曲がって酷いもんやで? そんな輩にうちの女性陣が靡くわけないってもんやで。地獄の川で顔洗ってもう二度と戻ってくるなってことや」

「流石カラーナは辛辣にゃん」


 くたばれって言ってるようなもんにゃん。


「生意気な女たちだ。だったら痛い目にあってもらう他ないな。まぁ身動き取れなくした後、しっかりと楽しんでやるよ。泣いて殺してくれって懇願するぐらいにな!」


 全く、思考回路がまるで盗賊にゃん。あ、盗賊だったにゃん。


 とりあえずよだれ撒き散らしながら迫ってくる連中が不気味にゃん。ネズミはさっさと焼却処分するに限るにゃん。


 印を結ぶにゃん。息を吸い込むにゃん。


「火印の術・息吹――」

『ぎゃああああぁあ! アヅイィイイィ!』


 盗賊たちの悲鳴が響き渡ったにゃん。火炎を思いっきり吹き付けてやったにゃん。

 

 不埒な連中は黒焦げになるといいにゃん。


「な、こっちの褐色もつえー!」

「あんたらが弱すぎなだけや。さぁアイリーン露払いはうちらに任せて、さっさとその屑を倒しい!」

「あ、姐御! ありがとうございます! さぁ雑魚はどけろ! ポイズンアロー!」


 ニャーコ達が雑魚どもを片付けていくにゃん。アイリーンは正面で壁になってる連中を得意の弓で射殺すにゃん。マジックボーダーのアイリーンは矢に魔法の力を付与するにゃん。


 毒を付与した矢で射抜かれた連中はその場で倒れ苦しげに呻いてるにゃん。顔も土色にゃん。簡単に殺す気がなさそうにゃん。


「お前もあたいの毒矢で苦しみもがいて死ね!」

「冗談じゃねぇ。仕方ない! 来い! ヤマクイ!」


 あのエビーラとかいう男が声を上げると、突如男の足元が盛り上がったにゃん。


 そして、ブモォオオォオォオオ! と鳴き声を上げて巨大な魔物が姿を見せたにゃん。


 どうやらこれがヤマクイみたいにゃんね。


「さてはお前、イビルティマーにゃんね?」

「ご名答。そしてもはや二体のヤマクイは俺様のペット同然!」

「二体やて?」


 カラーナが怪訝そうに眉をひそめるにゃん。すると背後の地面も盛り上がってヤマクイが現れたにゃん。


 見た目は土竜を大きくしたような感じにゃん。だけど皮膚が岩みたいにゴツゴツしてるにゃん。


「ヤマクイはお前らが飼ってたのかよ……」

「あぁそのとおりだ。今更気がついたのか? まぁなかなか苦労はしたが元々はこの山の王とも言われていた事がある魔物だ! その強さは本物よ! さぁやれヤマクイ! もうこうなったら遠慮はいらん!」

  

 どうやらニャーコ達を殺すことになっても仕方ないって考えみたいにゃん。ヤマクイはあのエビーラを頭に乗せたまま立ち上がって、爪を振り下ろしてきたにゃん。


 とんでもない圧力にゃん。爪が地面を引っ掻いただけで土砂が爆発的に吹き上がるにゃん。


「だったら無理してこんなの相手する必要ないでアイリーン!」

「あ、そうか! ポイズンアロー!」


 弓矢の照準があのエビーラに向いたにゃん。なるほどにゃん。使役しているエビーラ本人を落とせばヤマクイを無力化出来る筈にゃん。


 射られた矢が見事あのキモい男に命中したにゃん。馬鹿にゃん。頭の上じゃ逃げ場がないにゃん。


「ぐ、ぐおぉおぉおおおぉお、毒が毒がーーーー!」

「はは、どうだ親父の仇よ!」

「うぉおおぉおお、なんて言うかよバ~カ」

「――え?」


 これは驚いたにゃん。毒が効いてないにゃん。


「アイリーン、毒を無効にする何かを持っているのかも知れへんで」

「くそ! だったらフレイムアロー! フリーズアロー! ウィンドアロー!」


 次々と魔法の矢を打ち込んでいくアイリーンにゃん。でも、どれも全く効いてる様子がないにゃん、一体どうなってるにゃん?


「どうして! どうしてあたいの矢が!」

「ははっ、ば~か、やれ! セディメントブレスだ!」


 ヤマクイが前後から土砂を吐き出してきたにゃん。末広がりな土砂にゃん。


 あのまま地上にいたら余裕で呑み込まれていたにゃん。でも三人の身体能力を舐めたらいけないにゃん。


 すぐに地面を蹴って上に逃げたにゃん。


「ストーンタワーだ! ヤマクイ!」


 だけど今度はヤマクイが地面を前肢で叩きつけはじめたにゃん。その度に固くなった土が塔のように突き上げてくるにゃん。勢いがあるにゃん。これはあたったら不味いにゃんね。


 ニャーコは体を上手く振ってそれを避けるにゃん。石のようになったそれを逆に足場として利用してエビーラに向けて飛んでくにゃん。


「おお愛しの猫耳! 考えが変わったか!」

「キモイにゃん! 乱れ投げの術にゃん!」


 隠し持っていた手裏剣やクナイを投げまくるにゃん。全て命中したにゃん。でもやっぱりダメージがなさそうにゃん。


「火印の術・息吹にゃん!」


 火炎攻撃にゃん。でも、ニヤニヤして全くノーダメージにゃん。でも――


「はは、軽い軽い。全く効かないぜ!」

「ならこれはどや! Vスラッシュ!」


 カラーナが後ろに回り込んでいたにゃん。そしてVになるようにナイフで切りつけたにゃん。


「うん? 今なにかしたか?」


 だけど、それでも平然としているにゃん。一体どうなってるにゃん?


「おら!」

「チッ――」

 

 振り向きざまに鉄の杖で一撃入れてきたにゃん。カラーナが横に飛んでいったにゃん。でもすぐに回転して着地したにゃん。


「は、女の攻撃なんざききやしないんだよ」

「あっそ、でもそれはうちも同じや。非力すぎやで。それと、今のは効かなくてもそれならどや?」


 カラーナが指をさすにゃん。よく見るとマントに丸いなにか、マジックボムにゃん! 


「な! てめ……」


 大爆発が起きたにゃん。流石カラーナにゃん。さっき攻撃した時についでにマジックボムを仕掛けていたにゃん。


「ははっ、今のはちょっと焦ったぜ……」

「にゃ!?」


 な、なんてやつにゃん。あの至近距離で爆発をうけてなお平気そうにゃん。


「……どうして、なんであいつあんなに?」

「簡単なことや。さてはあんた、ただのイビルティマーやないな?」


 カラーナが問う。すると、ククッ、と不気味に笑ったにゃん。


「あぁそうだ。俺はロイヤルイビルティマー。高位職さ。だから俺のダメージは全てこいつらが肩代わりしてくれている」


 肩代わり? つまりあいつへのダメージは全て使役しているヤマクイに行っているってことにゃん。


 それで納得したにゃん。それならダメージが通らないのもわかるにゃん。でも、そうなるとヤマクイのタフさが凄いにゃん。


「さて、折角教えてやったことだし、更に絶望を与えてやるよ。スペシャルスキル! パワーレベリング!」


 エビーラがスペシャルスキルを行使したにゃん。でも何にゃん? 特に変化はみられない――


「ふぅううう――セディメントブレス!」

 

 と、思ったらあいつまで土砂を吐き出してきたにゃん!


「はは、逃げるのだけは達者みたいだな」

 

 うぅ、なんとか避けたけど、土砂がどんどん積もっていくにゃん。


「――使役している魔物の力を行使できる力ってわけやな」

「それだとまだ半分だ。俺はな――」


 エビーラが陣取っていた頭の上から飛び上がったにゃん。そして着地と同時に杖を叩きつけたにゃん。


 にゃんと、同時に土砂が爆散して吹っ飛んだにゃん。土砂が消えた後に地面が陥没してるのがわかったにゃん。


 とんでもないパワーにゃん!


「これがパワーレベリングの効果。使役している魔物の力が全て俺に集約される。つまり、今の俺はヤマクイ一体の力より強いってことだ。そこの褐色は俺のことを非力だと抜かしてたな。だがこれでどうだ? 絶望したか? 土下座して奴隷になると誓うなら許してやってもいいぞ?」


 とんでもないことをいいだしたにゃん。でも確かに厄介なスキルにゃん。


「土下座? 奴隷、冗談じゃないわ。せやけど、しゃあないか。本当はボスを脅かす奥の手にしたかったんやけど――特別に見せたるわ。ジェントルシーフ(気高き盗賊)の力をや」


 にゃん、でもどうやらカラーナにはなにか考えがあるみたいにゃんね……。

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