表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界のキャンセラー~俺が不遇な人生も纏めてキャンセルしてやる!~  作者: 空地 大乃
第二部二章 王国西部の旅編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

237/322

第21話 大道芸? いや、それ以下だ

 マサムネさんの技の影響でビュートも随分と悔しそうにしています。アンデッドに任せておけば高みの見物でどうとでもなると思っていたようですが甘いですね。


 でも、マサムネさんも凄いです。勿論私の中ではご主人様の方が凄いのですが――


 と、それはそうとして――もう、あの嫌らしい顔を見るのも終わりです! 鑑定が完了したのですからね。




名前:ビュート ♂

年齢:二六歳

現在のジョブ:ボーンフレンジャー(狂骨装士)


能力

攻撃値:S

守備値:S

敏捷値:B

体力値:S

魔力値:A

技術値:B

幸運値:F


スペシャルスキル

ボーンドラゴ(荒れ狂う)カタストロフィー(暴骨龍の災厄)

周囲にある骨から骨の龍を創造し放つ。骨の量や質によって威力は変わってくる。


固有スキル

・スカルクリエイト

骨を自在に好きな形に作り変える。


・死魂魍魎波

周囲にある死体に宿る残魂を集め魍魎と変えて相手に放つ。放たれた魍魎は生者に群がり喰らい尽くそうとしてくる。


・不浄の息吹

胴体部分にある髑髏が口を開き全てを腐敗させる息を吐き出す。


 


 な、何か凄く不安感を煽られるステータスが出てきました。能力でSも多いです。幸運値がFなのが救いになるかどうかは判りませんが、ですが、それ以上に持っているスキルがとんでもない気がします。早く皆さん教えてあげないと――


「にゃー! これはチャンスにゃん!」


 と、思っていた矢先にニャーコさんがビュートに向かっていきました。


「ま、待って下さいニャーコさん!」

「火印の術・息吹にゃん!」


 私の静止も間に合わず、ニャーコさんは忍術を行使して、口から炎を吐き出します。

 ですが、あの炎はアンデッド退治にも猛威を奮った技。全身が骨の鎧に包まれた今のビュートであればもしかしたら――


「スカルクリエイト――骨の盾!」


 しかし、轟々と激しい音を奏で、ビュートを包み込もうとしていた炎の渦は、骨から創り上げた盾に阻まれ、その身を焦がすことはありませんでした。


 骨を自在に作り変えるあのスキルはかなり厄介そうです。


「にゃにゃ!?」

「甘いんだよ! スカルクリエイト――多重鎌!」


 周囲の骨が形を変え、大量の鎌となってニャーコさんを襲います。思わず私の口から悲鳴が漏れました。


 ニャーコさんの身が心配です! ですが――


「うにゃー! うにゃー!?」


 ニャーコさんから悲鳴が二回、私の耳に届きます。ただ、この悲鳴は痛みとは違うようで、それに関してはホッとしました。


 ただ――どういうわけか、ニャーコさんの装備も、そしてその下の着衣も含めて、全て鎌で切り刻まれてしまい――つまり、です。


 ニャーコさんが裸にされてしまいました!


「んにゃ~こんな辱めあんまりにゃ~」

「ははっ、言ったろ? 女は後で俺がたっぷりと愉しませて貰うってな。それまでは傷つけやしねぇよ。まあ、裸になるのも早いか遅いかの話だけどね。牝猫はそこでおとなしくしてろ!」


 ニャーコさんは大事なところは両手で隠すようにして、そして地面にペタリと座り込んでしまいました。


 それにしても――なんて卑劣な男なのでしょう!


「どうせならそっちの牝もさっさと裸に剥きたいところなんだけどなぁ、そっちは妙な装備をしてやがるしなぁ」


 ミラージュドレスのことですね。ご主人様から賜ったこの装備がある限り、敵意を持つ相手からは私がぶれて見えるはずです。


 その為、狙いを定めるのが難しいのでしょう。ご主人様に感謝です!


「ま、そっちは後の愉しみってところだな」

「先程から随分と勝手なことばかり言っているでござるが、拙者のことを忘れているのではござらぬか?」

「はっ! 僕に男を剥く趣味はないんだよ!」

「それは拙者にもないでござるよ。気持ち悪いこと言うなでござる。ただ、その忌々しい飾り物ぐらいは剥かせてもらうでござるが」


 マサムネさんの強気な発言が心強いです。ですがマサムネさんに頼ってばかりもいられません。


「マサムネさん! あの男の力は――」


 なので私は今鑑定で調べた結果をマサムネさんに伝えます。

 

「かたじけないでござる。メリッサ殿はその為に、あの男を見続けていたのでござるな。あのような不埒な輩を見続けるのはつらかったでござろう。その苦労、無駄にはせぬでござるよ」

「ふん! 好き勝手いいやがって! 大体この僕の顔が見れたことがつらいだって? そんなものは眼福に決まってるだろ!」

「……今のお主の姿を鏡でみせてやりたいでござる」


 全くです。悪趣味な骸骨に見を包まれて、その上顔だって醜悪さが露見して酷いことになってます。今あの男に見た目で惚れる女性などきっと皆無でしょう。


「言ってろ! しかし鑑定持ちがいたとはな。だけどな、それがどうした! 今の僕を鑑定でみたところで絶望を味わうだけさ!」


 それにしても随分な自信ですね。ですが、確かに能力がかなり高いのは事実です。


「くっく、そうさ! 僕のステータスは上はS! 下もB以下はない! 判るか? つまり僕は最強ってことさ!」

「幸運がFの癖に何を言っているでござるか」


 思わず吹き出しそうになりました。確かにそこだけはFとかなり低いんですよね。


「ふ、ふん! 幸運なんてそんな意味の良くわからない部分なんてあってもなくても関係ないのさ! とにかくお前たちに俺に勝てる術はない!」

 

 ビュートが指を突きつけてマサムネさんに言い退けます。よっぽど自分に自信があるようですが、ちょっと悔しそうでもありますね。


「お前なんてこれですぐにでも終わるのさ! スカルクリエイト――骨の槍・連!」


 ビュートがまた骨の形を変えて、槍状にしてマサムネさんに打って来ました。しかも一本二本ではなく、二十を超える数の太くて鋭い槍です。


 それがマサムネさん目掛けて高速で伸びていきます。やはり言うだけあって、かなり強力な技を持っているようですが――


「鬼斬流抜刀術――【刃嵐】」


 心地の良い高音が私の耳に届きました。するとニャーコさんも思わずその光景に目を奪われます。


 それは私も一緒です。マサムネさんの目の前で突然強い風が吹き乱れ、かと思えば渦を巻いて目の前に滞留しました。


 ビュンビュンっと激しい風の音が乱舞しています。無数の骨の槍はその渦の中へと吸い込まれるようにして直進していきました。


 すると、尖端から風の渦に巻き込まれ、跡形もなく粉々に砕け散っていきます。


 当然ですが、結局ビュートの放った攻撃がマサムネさんに届くことはありませんでした。

 凄いです。どうやら発生した風が刃の用に変化し、渦を巻いて壁となったようなのです。まさに刃の如き嵐ですね。


「――メリッサ殿、すまぬがもう少しだけ後方に下がって頂けぬか? その位置では巻き添えを受ける可能性があるでござる」

「あ、はい――」


 言われた通り私は後方に退き、マサムネさんとの距離を取ります。

 

 すると、悔しそうな顔を見せたビュートが、これでどうだ! と更に骨を変化させ、今度は何本もの鎖状にした上で先端に、ニャーコさんの服を切り裂いたような鎌を形成し、マサムネさん目掛け四方八方から振り下ろしていきます。


 槍とは違い、鎖状にしたことで靭やかさを持たせ、自在な軌道を可能にしたというところでしょうか。


 ですが、マサムネさんは物ともせず、軽やかなステップで動き回りながら、迫る骨の鎌を砕き、鎖を断っていきます。


 私に離れて欲しいと言ったのはこのことからだったのですね。ある程度自由に動けるスペースが欲しかったのだと思います。


「……大道芸はこれで終いでござるか?」


 全ての攻撃を退けた後、マサムネさんが堂々と言い放ちました。

 それにしても――ビュートは決して弱くはないと思います。攻撃力一つとっても能力的にはSですし、骨を自在に変化させ攻撃にも防御にも利用してきます。


 ですが、マサムネさんの刀を使った剣術は、それを遥かに凌駕しているようなそんな気がしてしまいます。


「この僕の技が、だ、大道芸だと?」

「そうでござる――いや、それだとあまりに大道芸を生業にしている御方に失礼でござるな。言い直すでござる。……三流以下の芸はそれで終いでござるか?」


 マサムネさんも挑発が上手いですね。相手の神経を逆撫でることに見事に成功しています。

 そしてその様子にニャーコさんも、マサムネにゃんその調子にゃん! と喜んでいます。


 自分を裸にした相手が軽くあしらわれているのを見て、溜飲が下がったといったところでしょうか――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ