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異世界のキャンセラー~俺が不遇な人生も纏めてキャンセルしてやる!~  作者: 空地 大乃
第二部二章 王国西部の旅編

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第1話 馬車に満ちる気配

「なんか他に誰かいるような気配を感じるんだよな~」

(ギクッ! なの!)


 俺が馬車に揺られながらそんな事を呟くと、そんなん、とカラーナが反応を見せてくれた。

 そして健康的な褐色の肌と……妙に強調してるような谷間を見せつけながら答えてくる。

 それにしてもこいつ……ちょっと育ってるか? いや気のせいかもしれないが、どうもメリッサやアンジェが大きすぎるということもあってうっかりしてしまうが、こいつも十分大きいんだよな――


「ボスの気のせいちゃうの? それとみたいんやったらもっと堂々とみてええんやで? なんやったら脱ぐし」

「な!?」


 バレてた、だと? いやいやいやいや違う! それは違う! ついつい目がいっただけで別に嫌らしい意味じゃない、あ、セイラの目がなんか冷たい! いや、彼女の場合元からだけどな……。


「ひ、ヒットお前! そんなところをジロジロと見ていたのか! な、なんて破廉恥極まりない!」

「いや、だから違うんだってアンジェ! それは、なんというか本意じゃないというか……」

「そないいうたかて、ボスはアンジェの胸もようみてたやん、だからうちもちょっとアピールしようかと思ったんやで」

 

 唐突に何ぶっこんでんだカラーナ! あ、アンジェがプルプルと震えてる! 


「ヒットにゃんはそういえばニャーコの胸も凝視してたにゃん」


 幌の上から声が落ちてきた。ニャーコお前もか。てかこいつ普通に馬車に同乗してんだよな。いや、一緒に行くことになったから仕方ないかもしれないけどな。


「言っておくがお前のは見てないぞ」

「酷いにゃん! なんかニャーコの扱いだけぞんざいにゃん! 断固抗議するにゃん!」


 幌を捲りニョキッと顔を出してニャーコが言う。上から天地逆の状態でだ。全くシノビのジョブ持ちだけあって身軽だなこいつ。


「どさくさに紛れて付いてきてる癖に何言ってんだよ」

「旅は道連れ世は情けというにゃん」

 

 なんでそんなことわざ知ってんだよ……。


「それに、ニャーコも結構自信あるにゃん」


 そう言いつつ、今度は胸が見えるぐらいまで身を乗り出し、中々に豊かなそれをアピールしてきた。


 ……うん、確かに結構なものだと思うけどね。


「……ご主人様は胸フェチ」

「アン! アンッ!」


 酷い誤解だ! いや、それよりなによりセイラは自分の胸をペタペタ触って、実は気にしてるのか? 相変わらずセイラは表情は変わらないからな~。


「い、言っておくが俺は別に胸フェチじゃないぞ」


 とは言えこれだけはしっかり伝えておかないとな。変な誤解は解いておかないと。


「そないなこと言うたかて、ボスはメリッサの胸もいつもみてるやんな?」

「ふぇ!? い、いや、ど、どうでしょうか?」


 御者台で手綱を握るメリッサに突然カラーナが振りやがった! だから胸から離れろよ。


「にゃん、にゃん、でも確かにメリッサの胸は大きいにゃん、むむむっ、一体何をどうしたらこんなになるにゃん? ちょっと失礼にゃん」

「へ? 得、ちょ! 嫌だニャーコ! ど、どこ触ってるんですか!」

「別にいいにゃん。減るもんじゃないにゃん」

「そ、そういう問題じゃ……は、ふぁん、いや、だ、駄目です! (運転が)乱れちゃいます~~らめぇえぇえ!」


 …………い、一体御者台では何が――ここからだと見えないんだよな。

 いや、勿論不埒な考えじゃないぞ。うん、馬車の安全のこともあるしな――


「お前たちいい加減にしろ! ニャーコもメリッサが事故でも起こしたらどうするつもりだ!」


 ここでアンジェの激が飛んだ。やっぱり騎士だけにアンジェは真面目だ。

 そして結局俺も含めてニャーコ共々説教されてしまった――なんでだよ……。




「とにかくお前たち緊張感が足りないぞ! これは色々と危険も潜んでるかもしれない旅なのだからな」

「まあ、確かにアンジェを守るいうんが大前提やしな」

「うぐっ!? そ、それに関しては申し訳ないと思うが……」


 ギクッとした顔でアンジェが言った。そこを突かれると痛いって感じか。

 でも俺達もそれを納得の上で同道してるわけだしな。


「そんなこと気にするなよアンジェ。それに王都に行くのは俺もわりと楽しみだったりするしな」

「そやで、うちも実は王都は初めてやねん」

「あ、そうですね。私も王都にはまだ行ったことありません」

「……」

「クゥ~ン」


 なんだ王都の事を知ってるのはこの調子だとアンジェぐらいなのか? セイラは何も言わないで無言でフェンリルの頭撫でてるけど……彼女の場合ちょっと事情が特殊だからな。


「皆王都のこと知らないにゃん?」

「何だニャーコは知ってるのか?」

「当然にゃん。ニャーコは王都から派遣されてる敏腕受付嬢にゃん」

 

 あ~そういえばそうだったな。中々な残念ぶりだからそんなことすっかり忘れてた。

 敏腕って変な笑いしか出てこないぞ。


「それで王都ってどういうとこなん?」

「ふふふ、王都は凄い所にゃん。とにかく広いにゃん、建物も多いにゃん、人も多いにゃん!」


「…………それだけか?」

「他になにかあるかにゃん?」

 

 こてんっと首を傾げて逆に聞いてきやがった。こいつ中々のポンコツぶりだな。


「アンジェは勿論王都のことは詳しいよな?」

「え? あ、ああ勿論だ。王都は凄いぞ! 広いしな! 建物も大きいぞ! 人も沢山住んでるしな!」


 いや……恐らくそれだと新しい情報が建物が大きいぐらいしかないんだが――


「べ、別にいいではないか! そういうのは実際見てみたほうがいいのだ! 百聞は一見に如かずと言うしな!」


 なんか上手くごまかされた気もするが、確かにそのとおりだな。ここで詳しく聞いても見ると聞くでは大違いだろうしな。


(王都楽しみなの!)


 ん?


「なあ、やっぱ誰かいないか?」

「なんやボスまだそないなこと言うてんの?」

「いや、でも何か聞こえる気がするんだよな……」

「ま、待てヒット! ま、まさか――」


 ん? なんかアンジェが突然両肩を押さえて震えだしたぞ……。


「そ、そういうのが見えたりするのか?」


 そういうのって……何だ?


「……もしかしてアンジェお化けとか怖いん?」

「ば、馬鹿言うな! 騎士の私がお化けなどそんな……」

「そういえばそろそろ日も暮れてくるにゃん。出てきてもおかしくないにゃんね」

「にゃ、ニャーコまで何を!」


 う~ん、これは意外な弱点。いつも凛としてるアンジェのこんな姿を見るのは妙に新鮮だな。

 ただ――


「俺が言ってるのはそういうのじゃなくて本当に誰か他にいるんじゃないかって話なんだよな」

「な、なんだお化けじゃないのか……」

「なんや、やっぱお化け苦手だったんやな」

「ち、違う! そうじゃ!」


 ほっと胸をなでおろすアンジェをカラーナがからかう。それにむきになるアンジェがちょっと可愛い。


「でもヒットにゃん、こんな狭い馬車にゃんよ。一体他に誰がいるにゃん?」


 う~ん確かにそうなんだよな~。


「やっぱ気のせいなのかな……」

「そうなの気のせいなの!」


『…………』


「いや、流石に今のは……」

「ボス、言わんでも判るで。流石にうちにも聞こえたわ」

「そ、外の私にも聞こえました」

(コクコク……)

「アンッ!」


 どうやら俺以外にも今度はバッチリ聞こえたようだな。セイラも無言で頷いて同意してるし。


「しかも妙に聞き覚えのあるような……」


 そしてアンジェはその声にも注目したようだ。まあ、それは俺もだし他の皆もそうだとは思うんだけどな。


「いたにゃん! 木箱にエリンが隠れてたにゃん!」

「バレたなの!」

 

 そして――ニャーコが木箱の中からあっさりエリンを取り出した。

――てか何でエリンが乗ってるんだよ!

 

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