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異世界のキャンセラー~俺が不遇な人生も纏めてキャンセルしてやる!~  作者: 空地 大乃
第二部一章 王国騎士団編

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第25話 頼まれごと

 ゲイルによって屋敷まで案内され、中を見て回ったヘンベル卿は十分すぎるなと喜んでいた。

 建物自体は以前のまま残っており、当然掃除などはしておらず埃は溜まっていたが、意外にもそれは自分たちで何とかすると言ってくれた。


「ん~、ん~? さて、夕食の準備の方はしっかり頼んだぞ」


「判りました。その時は私も同行し――」


「ん~、ん~? 同行? 馬鹿を言うな。夜にまでむさ苦しい冒険者の顔など見たくはない。レイリアといったと。あの娘だけで良い」


「し、しかし一〇〇人近い料理をレイリア一人ではとても……」


「そうか、ならば他にも何人か女の手伝いをよこせ。出来るだけ若い綺麗どころをな」


 ゲイルは思わずムッとした表情で彼を見やる。

 それに、ふんっ! と鼻を鳴らし。


「ん~、ん~? 貴様はわざわざこんな辺鄙なところまで物資を運んでやった我らに不満があるのか? 長旅で疲れた兵士たちを癒やすために、せめて旨い料理を若く美しい女に振る舞って貰いたいと思うことがそんなに気に食わぬか?」


 気に食わない……それが本心であった。この街の女に女郎の真似事をしろと、暗にそう言われている気がしたからである。

 特にレイリアに関しては気が気ではない。


 しかし、街の事を思えばここで異を唱えるのは得策ではない、それも確かであった。


「……料理だけ、ですよね?」


「ん~、ん~? それ以外に何があるというのだ?」


「いえ、失礼しました。それではすぐに手配を取らせます――」


 ゲイルはそれ以上何も言えず、辞去し、家に戻った。

 レイリアと話をし、人数集めに関してはレイリアの仲良くしている女性達に任せることとなった。


「その、本当に大丈夫か?」


「うふ、嫌ですわ貴方ったら。あの場ではあぁ言いましたが、料理の腕には自信ありますし、連れて行く皆も腕には間違いがないですし」


 ゲイルが心配しているのはそこではなかったのだが……張り切るレイリアにそれ以上は何もいえなかった。

 そして、レイリアは結局他に四人の女友達を連れ立って屋敷へと向かった。

 食材などに関しては彼らが持ってきた物を使うが良いと言われてあるので、身一つで向かう。


 



 一〇〇人近い騎士や兵士の食事をレイリアを含めた四人で用意するのはなかなか骨が折れたが、それでも彼女たちはなんとかこなした。


 出来上がった料理は兵士達にもヘンベル卿にも旨いと評されほっとする。

 レイリアも含めた女性陣は彼らの食事が終わるまでの間、酒を注いだり料理を取り分けたりといった事はさせられたが許容範囲のうちであった。


 そして――夕食も終わり、落ち着いてきたところで辞去を告げるレイリアであったが、レイリア以外の四人は問題なくそのまま屋敷を出て帰路に就いたが、レイリアだけはヘンベル卿に呼び止められる。


「ん~、ん~? 少々ゲイルの今後の事についてな。重要な事だから妻になるであろうそなたにも話しておきたい。何悪い話ではないさ。だから少し時間を頂けるかな?」


「ゲイルの事……ですか?」


「うむ、大事な話だ。さぁこっちへ」


 そう言われ、腕を取られた。少々強引にも感じられたが、婚約者についてとあれば無下にも出来ない。


 結局レイリアはそのまま抵抗なく腕を引かれるまま、屋敷の一室に招き入れられる。


 だが――


「え? こ、これは一体……」


 驚きで思わず目を見広げるレイリア。

 ヘンベル卿に連れられ入った部屋は、かなり広く、大きめのベッドが二つ設置されていた。


 そして――そこに九人の男が、用意した椅子に腰掛け、まるでレイリアを待ちわびていたように好色宿る笑みを浮かべていたのである。


「ヘ、ヘンベル卿!」


 思わず声が尖る。しかしヘンベルは不気味な笑みを浮かべながら彼女に纏わりつくような視線を向け口を開く。


「ん~? ん~? 何か問題があるかね? ゲイルの事は私の部下にとっても大事な事だ。ここにいるのは今回の遠征に付いてきた選りすぐりの騎士だ。この場に立ち会う資格は十分にある」


 そう言いながら、ヘンベルはレイリアの肩を押す力を強め、さぁ、と促した。

 レイリアは嫌な予感しかしなかったが、妙な威圧感に逆らうこと出来ず、促されるまま騎士たちの間を抜け、何故かベッドに座らされてしまう。


「ほぉ、これはなんとも高待遇ですな」

「本当に我らが椅子だというのに、いきなり(・・・・)ベッドとは」

「いやいや、むしろとても積極的と言えるかもしれないぞ」


 まるで値踏みするようにレイリアの身体を眺めながら、騎士たちから聞こえる会話に、レイリアは怖気が走る思いであった。


「あ、あの、それでゲイルについての話というのは?」


 とにかく、とにかくさっさと話を聞いて帰りたい。

 レイリアは震えを必死に堪えその事ばかりを考えている。


「ふむ、実はだな、君をここに呼んだのは他でもない。先にも話したと思うが、私もここにいる騎士も長旅で随分と溜まっていてな。そこでだ、お前に是非とも奉仕をして貰いたいのだ」


「奉、仕――?」


 一瞬目の前の男が何を言っているのか理解が出来なかった。

 ゲイルの事で大事な話があるからと来てみれば、レイリアにそんな事を要求してくるのだから当然だろう。

 第一レイリアはゲイルと婚約中の身。彼らの要求がそういったことであるならとても飲める話ではない。 

 勿論婚約の話がなくてもゴメンであろうが。


「そ、そういう事ならこれで失礼させて頂きます。私はゲイルについて大事な話があると言われたからここまで来たのです! そうでなければこれ以上は……」


 レイリアはそういってベッドから立ち上がろうとする。

 恐怖はあったが、彼らとて王国の正騎士である。

 ここでそこまで無茶な事は出来ないはずだ。


 そう、思っていたのだが――


「ん~、ん~? あぁ大事な話だ。ゲイルがこの街にいられるかどうかはお前に掛かっているといっても過言ではないからな」


 ヘンベルの言葉に、え? とレイリアは表情を強ばらせた。

 そして立ち上がった状態のままその動きを止める。


「ん~? ん~? わからないか? そうだな、例えばここイーストアーツ周辺にはすっかり貴族がいなくなってしまっている。これはなぜかな? 例えばゲイルが仲間たちと共謀し全てをチェリオ伯爵の仕業とし、その手に掛けたのではないか?」


「な、何を馬鹿なことを! あの人はそんな事はしてません! それにアンジェ様が証人です! 元々この周辺にいた貴族たちは全てチェリオの手によって殺害されたのです!」


「ん~、ん~? しかしそれを我々はみていない。それにだ、貴族がいない事を理由にゲイルが今やこの街で自分が領主だと言わんばかりの顔をしている。つまり、そういうことだと疑われても仕方ないのではないか?」


 そんな……と、呻くようにレイリアが言った。


「勿論、それも我々の報告次第という事ではあるがな。まぁ勿論我々とて、ゲイルの事は信用したい。今回だって指揮権を潔く譲ると約束してくれたしな。それに免じてここにいるザクス男爵の補佐をお願いしようと言うのだ、が。ただなぁ、その嫁となるものがこう非協力的ではな。勿論我々も彼を信じたいが、不審がるものが多ければ補佐という話から一転、牢屋に入って貰う可能性も、だ。勿論、そんな事がないよう善処はしたいと思っているがね」


 唇を舌で舐め回す。ピチャピチャという不快な異音が聞こえてきそうな程の所為。

 そしてねっとりとした瞳をレイリアに向ける。


「……一体、一体私に何をしろというのですか……」

 

 酷く怯えたような口ぶり。

 今すぐにでもこの部屋を出て行きたい、そんな感情が湧き上がる、しかし――


「ん~? だから言ったであろう。我々は疲れている。癒やしが欲しいのだよ。その為の奉仕だ。そこから先は自分で考えたらどうかな?」


「ほらお前、ヘンベル様がここまで言われているのだ。少しは頭を使え」


「ふむ、しかしヘンベル隊長、ここは些か暑い気がしますな」


「おお、そうだな。確かにここは少し蒸す。どうだレイリア? お主もそんなドレス姿のままじゃ暑いだろ?」


「ははっ、ザクス男爵も、それは少々ヒントを与え過ぎではないか?」


 ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべ、そんな事を言い始める騎士達。


 そして、勿論レイリアもここまで言われて意図が理解できない程鈍くもない。

 しかし――


「私は、私は……」


 両目に涙が溜まる、カタカタと震える。

 その姿にヘンベルが不快そうに眉を顰めた。


「ん、ん~? どうした? これではまるで我々が無理やり何かをさせてるようではないか。別にいいのだぞ。嫌だというなら今すぐこの部屋から出て行っても。但し、お前のその行動一つがゲイルへの評価に繋がっているという事をよく肝に銘じておくのだな」


 それは、ヘンベルの胸三寸でゲイルの運命などどうにでもなるのだと暗に示していた。

 ここで逆らえば、この男は間違いなくゲイルに何かしらの罪を着せようとするだろ。

 つまり、ほぼ間違いなくレイリアを脅迫しているわけだが、遠回しに言っている上、その場の騎士全員がヘンベルの手のものである。

 これでは逃げたくても逃げられない――


 レイリアはゲイルの事を心から愛している。チェリオとの一件から一緒に暮らすようになり、その想いは強くなる一方だ。


 だから――ゲイルが自分のせいで全てを失ってしまうこと、それだけはどうしても避けたかった……


「ほ~――」

「いやいやこれは中々」

「ふむ、やはり私が睨んだ通り中々の上玉だ」


 レイリアは身にまとっていたドレスを脱ぎ捨て、上下ともに下着一枚の姿となった。

 白い肌が顕になり、下着の上から思わず左右の腕で隠す。


 好奇の視線が降り注ぎ、羞恥心でどうにかなってしまいそうだった。

 顔中がカ~っと熱くなる。


 きっと見っともない表情を晒しているのだろうと思うと、恥辱に肩が震えた。


「ふむ、しかしレイリアよ。なぜまだそんなものを身に着けているのだ?」


 ヘンベルは彼女が唯一恥部を隠す、その二枚の布地を指差すようにしてそう告げる。

 ん? ん~? とまるで女郎と戯れてるが如く、頬を弛ませ、口元を歪ませ、目でそれを早く取れと訴えた。


「これ以上……これ以上はどうか……」


 懇願する。

 だが、彼らの応えは非情だ。


「ふむ、そういえばここの街の為に救援物資を運んできてるのだったな」


「えぇそうですな。勿論その配分はヘンベル隊長次第ですが」


「あぁそうだったな。しかしどうかな? この街にそこまで物資は必要かな?」


「いやいやどうですかな。こう非協力的では、いや勿論誰がとはいいませんが」


「全くです。我々がわざわざこんな何もない街までやってきてるというのに、お礼(・・)の一つもないようでは……」


 その言葉の数々は、レイリアを諦めさせるには十分な破壊力を秘めていた。

 遂にレイリアは覚悟を決め――


「ん~、やはりいいものを持っているではないか」


 騎士たちの息が荒くなっていく。熱が彼女の柔肌にヒリヒリと伝わってくるようであった。

 一糸まとわぬ姿になっても手で大事なところを隠すのは変わらない。


 しかしそれをヘンベルは許さない。

 先ず最初に近づき、それぞれの手を無理やり引き剥がし、胸と臀部に手をやり揉みしだく。


「嫌、やっぱり、お願いです本当に……見るだけで……」

 

 唇を噛み締め、恥辱に耐え切れず顔を背ける。


「ん~? 何を言ってるんだお前は? 全く自分から(・・・・)部屋にやってきて服を脱いで誘っておきながらそんな事を言われてもな――」


 ニタァ――と爬虫類のような瞳をレイリアに向けた。

 他の男達も似たような物だ。


「そんな、そんな事……」


「いやいや私もはっきり見てましたぞ。この女が自ら裸になり、我らを誘う様子をね」


「全くここまでされたら我らとて」

「据え膳くわねば、とも言いますしね」


 一斉に響き渡る布擦れの音。そして目の前のヘンベルも着ているものを脱ぎ捨て、そして口を開く。


「さぁ、ここにいる全員を相手してもらうんだ。全身をくまなく使って奉仕して貰わねば終わらぬぞ?」


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