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異世界のキャンセラー~俺が不遇な人生も纏めてキャンセルしてやる!~  作者: 空地 大乃
第一部 異世界での洗礼編

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第132話 俺は心が読める!

本編と直接関係はないですが変更点があります。

・以前の話の魔法に詠唱をつけてみました。

・以前の話で武器スキルに説明を追加してます。

追加内容としては武器スキルには玄人技、名人技、達人技、豪人技があるというものです。

「ふん! 随分と長い考察ご苦労な事だ。だが何を予想しようと勝手だが、私は暗号の事を話す気はないぞ」


 俺達の話が落ち着いた頃合いを見て、鼻息混じりにゴールドが言い捨てた。

 シャドウの言っていたことはほぼ間違いないと思うが、しかしそうなるとこいつから何が何でも暗号を聞き出さないといけない。


 しかし、この態度を見ている限り、そう簡単に話すとも思えないか――


「おい、やっぱこいつ俺達で拷問でもかけて無理やり吐かせるか?」


 ……拷問か――だがそれがうまくいくならいいが、失敗したら寧ろ聞き出すどころじゃなくなるかもしれない。

 だったら――


「まぁちょっとまってくれ。実はこれは今まで皆に黙っていたんだけどな。実は俺は、相手の心を読むことが出来るんだ」


「な、なんやて!」

「ほ、本当かヒット!」

「ご、ご主人様が心を――」


 周囲のほぼ全員が驚きの声を上げた。

 まぁそりゃそうだろうな。


「ふん! 何を馬鹿な事を。そんな能力があるなら、何故今まで使用しなかった? デタラメだな下らない」


 ゴールドが吐き捨てるようにいう。


「今まで使わなかったのは、それなりのリスクがあるのと消費が多いからだ。後は条件もな……そこでだ、一旦全員ここから離れてはくれないだろうか? この能力は相手とサシで行う必要がある」


 皆に説明するように声を上げつつ、振り返りゴールドとふたりにして欲しいと願った。

 それに関して異を唱えるものは誰もいない。

 ほぼ全員が素直にその場から離れた、が――


「ボス、こいつとふたりでとかほんま大丈夫なん?」

「うむ、私達も駄目なのか?」

「ご主人様邪魔立ては致しませんので――」

「…………」

「アンッ!」


 そんな中、一緒に行動してきた皆は、心配そうにしてくれているが――


「悪い。どうしても一人じゃないと駄目なんだ。でも安心してくれ。ゴールドもこの状態じゃ何も出来やしないさ」


「ヒット様の言うとおりですよ。任せてみては如何でしょう。信用するのも仲間というものだと思いますよ」


 シャドウも残っていたのか……とはいえその一言が皆の決心を固めたようだ。


「判ったヒット、信じているぞ!」

「ボス任せたで!」

「ご主人様のお力があればきっと――」

「…………」

「アンッ!」


 そう言い置き、残っていた皆も部屋を後にする。

 セイラは何も言ってなかったけどな……フェンリィは心配してくれていたのだろうか?


「とんだ茶番だな。何が心が読めるだ。どうせ何か自分に有利な取り引きでもしようというのだろう? ふふっ、したたかな男だ。だが構わないぞ。それならそれで――」

「馬鹿かお前は」

 

 俺以外がいなくなったところで、悪態をつきつつ、下手な勘ぐりをしてみせたゴールドに、はっきりと言いのける。

 奴は訝しげに眉を顰めた。


「お前相手に取り引きなんて願い下げだ。それに、俺は嘘なんて言っていない。それをこれから証明してやる」


 言下に俺はゴールドに向けて手を広げた。

 それに奴の肩が震える。

 俺はそのまま奴を見据え――


「視えた――」


 ゴールドの眼が驚きに見開かれる。

 そこから更に俺は続けた。


「ゴールド、お前の決めた暗証番号の最初の一桁目の数字は――ずばり一だ!」


 稲妻が駆け抜けるかのごとく勢いで堂々と告げる。

 すると奴は、どこか戸惑った表情をそのまま硬直させ、そしてその口をゆっくりと動かし――


「いや……全く違うぞ?」

――キャンセル!


「ゴールド、お前の決めた暗証番号の最初の一桁目の数字は――ずばり二だ!」


 違うと言われた時点でキャンセルし、再度俺は奴に別の数字をぶつけた。

 だがそれも違ったので、やはりキャンセル。

 それを繰り返し――


「ゴールド、お前の決めた暗証番号の最初の一桁目の数字は――ずばり五だ!」

「ば、馬鹿な! 本当に貴様私の心が読めるのか!?」


 ついにゴールドが驚いたように叫び、正解であることを吐露してくれた。

 うん、てか読めてません。正直心なんて読めません。キャンセラーにそんなスキルあるわけないだろ。


 まぁそんなわけで、作戦としては凄く単純なもので、ようは数字を告げて反応を見て、違ったらキャンセルしてこれまでの流れをうやむやにする。

 そこから今度は別の数字を……これを繰り返すだけだ。


 皆にそれっぽい理由を告げて出てもらったのは、この様子を見せない為だ。

 傍からみて、こんなマヌケな光景はないからな。

 それでも、一緒にいてくれた時間の長い仲間にはいてもらってもよかったかもしれないが、態度に出ると怪しまれるかもしれないしな。


 で、そこからはひたすらこれを繰り返し、二桁目三桁目と正解をうまく引き出し――


「ゴールドお前の決めた暗証番号の最後の四桁目の数字は――ずばり九だ!」

「くっ! なんてことだ……そこまで全て見破られるとは――」


 ゴールドが、がくりと頭を垂れた。しかしここまで上手くいくとはな……反応が判りやすすぎて大助かりだ。

 正直こっちは、細かい反応の違いで見破ろうと思ってたのだけどな。わざわざ口に出してくれるからありがたいことこの上ない。


 そして、これで暗証番号が五〇四九なのが判った。

 ……ごうよくと読めなくもないな。いや無理があるだろうがぴったりではある――






「終わったぞ。暗証番号が判った」


 とりあえず失意のゴールドを放置し、一旦皆のもとに戻る。

 それから何人かに見張りについてもらい、その後俺は見事に暗証番号を聞き出した事を伝えたわけだが。


「流石ボスやな。全くそんなスキルまで持っていたなんておっどろきやで」

「確かに、ご主人様にまだそんなお力があったとは私も全く知りませんでした」


「う、うむ。と、ところでヒット、も、もしかして私の心も、よ、よもや読んでいたわけではあるまいな!」


 カラーナとメリッサが感心したように口にする中、アンジェだけは頬を紅潮させ問い詰めるように訊いてくる。

 するとメリッサとカラーナの目つきも変わる。

 どこか興味津々といった感じに。

 まぁこういう話をすれば当然そうなるよなぁ……プライべートも何もないわけだし。


「あぁ、その事なら安心してくれ。あれは嘘だ」

「ふぁ!?」


 アンジェの驚きようが凄い。珍獣でも見かけたように口もあんぐりと開けているし。


「ちょいまち! 嘘ってどういう事やねん! ボス暗証番号わかったんやろ?」


 詰問してくるカラーナに、俺は周囲の仲間にも聞こえるような声で中でのやり取りを説明する。

 勿論キャンセルスキルに関しては、あまり詳細は話さずある程度ぼかしてだが――一応全員納得はしてくれたようだ。


「なるほど、敵をだますには味方からといったところですかね」


 シャドウが感心したように言ってくる。


「あぁ、まぁそうだな。ゴールドに怪しまれるわけにもいかないし、あの場ではそういう事にさせてもらった」


「う、うむ! まぁ作戦ならしかたがないな!」


 アンジェが胸をなでおろし、心から安堵した様子。

 うむ、そんなに読まれたらまずい秘密があるのだろうか? 少し気になるところだな。


「まぁうちは、別にボスに見られて困る秘密もないで。心を読めてたとしても問題なしや」

「確かにカラーナはそんな感じですよね」

「……メリッサ、なんかうちの事馬鹿にしてへん?」

「ち、違います! 思った事を素直に口にできるカラーナを、私は羨ましく思いますよ!」


 メリッサ……それはフォローになってるのか?

 

「さて、とりあえずこれで暗証番号も知れたしな。金庫の中を取り出しに行くとしよう」


 俺は皆にそう告げ、いつもの仲間と一緒に地下に下りた。

 そして、例の金庫の中に隠されていたゴールドの創りあげたもう一つの金庫を見やる。

 

 改めてみるが、見た目は俺もよく知っているダイヤル式の普通の金庫だ。

 ダイヤルには〇~九の数字が振られていて、これをひとつずつ合わせていくタイプだ。


 俺は早速金庫のダイヤルに指を掛け、あの四桁の数字五〇四九に従ってダイヤルを回していく。


――カチッ。


 すると見事施錠の開く音。金庫を開けると――中には一枚の用紙。

 それを取り出すと、確かに内容は契約書であり、チェリオのロードオブテリトリー(君主の領域)をアルキフォンスに譲るというもの。

 チェリオはそれと交換にイーストアーツの権利などを手に入れたようだな。


 そして、俺がそれに目を走らせ、内容を理解した直後、その用紙は光に包まれ、そして霧散した。


「金庫から出したことで能力が切れたのでしょうね。ボンゴルはもう死んでおりますから」


 一緒についてきていたシャドウが考えを述べる。

 そして、それこそがこの金庫に保管されていた用紙が、ボンゴルのスキルによって出来たものであることを証明していた。


「それにしても……アルキフォンスとは一体誰でしょうかね――ここの本来の領主とは違うようですが」


 え? と俺は目を丸くさせる。

 俺はほぼ間違いなく、この契約書は領主とチェリオで交わされたものだと思ってたのだが。


「という事はシャドウ。これは領主とは関係ない契約ということか?」


「いえ。間違いなくそこにあるのは今の領主なのでしょう。その証拠に、私はもう領主に逆らえないなんて気持ちはない。多分他の皆さんも一緒でしょう。寧ろ早く領主を今の座から引きずり落としたくて仕方がないと思っているかもしれません」


「……と、いうことはまさか――領主が全くの別人と入れ替わっているということなのか?」


 シャドウの発言にアンジェが食い付いた。

 するとシャドウが彼女を振り返り首肯し、

「その可能性が高いでしょうね」

と応える。


 なるほどな。しかし、こうなると更にゴールドに話を訊かないといけないかもし――


「おい、大変だ! ゴールドを仲間が見張っていたら、突然変な野郎が現れやがった! 全員急いで戻ってきてくれ!」


 俺が丁度ゴールドのところへ戻ることを考えていたところに、キルビルの声が上の階から落とされた。


 変な? 一体この状況で誰が――

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