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クソゲー好きの幼馴染


 俺には幼馴染がいる。言っちゃ何だが、割と可愛い女の子だ。彼女とは俺が授乳中だったころからの付き合いだ。

 そんな幼馴染とは昔からよくゲームをやっている。

 いつもは俺のゲームばかりだが、たまに変なゲームを持ってくる。

 修学旅行の時に持ってきた「天空の裁断機B-180型」は妙なゲームだったなぁ。

 軍服来た若者が飛行機で戦うシューティングゲームだったんだが、ツチノコみたいな敵が異様に強かった。。

 そいつは雑魚敵とはいえ、一度に八十匹以上出てくるのだ。撃ち落そうにも回避しようにも数が多すぎる。

 一面だけでも攻略に一時間以上かかったものだ。

 ちなみにボスは雑魚だった。

 ボスがいきなり関西弁で喋り出した時は何事かと思った。お前戦闘機だろと。

 乱発式という言葉が何度も出てくるが、それが断髪式としか聞こえなかった事を何故か良く覚えている。


「で、今日は何を持ってきたんだ?」


 俺はにやにやしながらゲームソフトを握りしめる幼馴染に向かって問いかける。


「えっとですね。本日持って来たのはこちらのゲームでして……」

「何の敬語なんだよ。」


 出してきたのはダンジョンものだそうだ。

 ダンジョンものかー。ちょっとしかやったことない。

 早速起動してやってみよう。


 最初の敵で詰まった。

 相手がバンバン魔法を使ってくるのに、こちらとしては魔法を覚えてないのでどうしようもないのだ。

 実はこのゲーム、売りに「相殺魔法」というのがあるのだ。

 相手の魔法の対になる魔法を選ぶと相手の魔法を打ち消せる。

 しかし何と、このゲームバグでその相殺魔法が使えないのだ。

 ゲームとしてのバランスが相殺魔法前提なので、はっきり言って何も出来ん。


 相手が魔法を外すか、魔法以外の行動をするのをひたすら待つ。

 最初にセーブした場所から次の場所までに一時間かかった。

 その間何度死んだことだろうか。

 しかし、この苦行も今はつらいと思わなくなっていた。

 昔からこの手のゲームにつき合わされた事によって、洗脳されたのかもしれない。


「あー、疲れた。ちょっと変わって。」

「ん。わかった。」


 疲れたのでちょっと飲み物を買ってくる事にした。

 プレイを入れ替わり、コンビニに行く。

 五百CCのコーラをまとめ買い。前からゲームやる時はそうしている。


「ただいまー。」

「お、さんきゅー。」


 プシッと空けて一口。このシュワシュワが堪らなく美味い。

 ちなみにゲームの方は七つ道具なるものを入手したところまで進んでいた。



 それから五時間の時が流れた。

 ゲームも中盤まで進んだが、一向に終わる気配はない。

 幼馴染も家からお泊りセットを持って来て万全の体制だ。


「あーまた死んだ。ちょっと風呂入って頭冷やしてくる。」

「おう、いてら。」


 そういえばあいつが泊りなんて久々だな、小学校以来かもしれない。

 ヤバい、何か緊張してきた。

 三十分後、帰ってきた幼馴染の風呂上りは妙に色っぽかった。

 あれ、パンツのラインが見えない。もしかしてはいてない?いやまさか……。

 今は体育座りで髪を縛ろうとしている。

 口にゴムを咥えている。咥えゴムって響きが何かいいな。


「あれ、どっちだっけ。まぁいいか。」

「あっ……まぁいいか。」


 思いっきり俺が飲んでたコーラを飲み始めた。

 まぁ、間接キスになるが気にしないでおこう。

 ドキドキしているのは気のせいだ、気のせいなんだ。




 いよいよゲームはクライマックス。

 もうすでに明け方である。最後のボス、太古の守護ゴーレムとの戦いが始まった。

 戦いは熾烈を極めた。遠慮ない魔法の嵐。相殺魔法が未だ使えない俺達。

 何度も繰り返された戦いは終わりを迎えエンディングを……。

 真っ暗になった。まるで停電になったかのようだ。


「……何だこれ。」

「あぁ、どうやらエンディングを作るのが間に合わないまま発売されたみたいなの。」

「お、おう……。」

「いやーー!クソゲーだったー!満足したわ。付き合ってくれてありがとう。」


 一体今までの時間は何だったのだろうか。

 まぁ本人がいいなら、いいとしよう。


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