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プロローグ 異世界召喚は突然に…
目を覚ますと、白い壁があった。
加工された白乳色の石壁は、四方に備え付けられた、幾つもの蝋燭の光を反射して、俺の視界をぼやけさせる。
「はぁ……?」
間抜けた俺の声だけが響き渡り、壁に吸い込まれるように消えていく。
すると、後ろから声が聞こえた。
「せ……」
声は一旦そこで区切られ、俺はその間に後ろへと振り返った。
「成功じゃぁああああああッ!!!」
うぉおお、と続く歓声が上がり、たいして広くない部屋に声が波のように打ち寄せる。
「なッ……!?」
俺は反射的に耳を塞いだ。
そして、視界に見えたのは、白髪で長髪の老人と、重厚な鎧に身を包んだ兵士。
そして、疲れきった表情の美しい少女だった。
これが、俺の異世界召喚された最初の記憶である。