夷敵誅滅編-1
「何をしてるの?」
真夜中、コンビニに行く途中、路肩の自動販売機を眺めていると急に女が話しかけてきた。
見ると、身長150CMくらいのごく普通の女である。
年は15~16。
高校生だろうか。家まで送って行ってやろうかと思った。
いや、やめよう。こんな夜中に歩いているのだ、ろくなヤツじゃないだろう。
俺は無視を決め込み、そのままそこを去ろうとした。
すると、「止まれ。」となぜか急に命令口調となった女はいつの間にか俺の前に回って眼光鋭く睨んできた。
「ここはもうすぐ危なくなる、早く帰りなさい。」
女はただ静かにそう告げ、いつの間にか視界から消えていた。
なんだかよく分からないけれど先を急ぐことにする。
明日の授業でポテトチップスを使うと友人の太郎丸義文からメールで聞いたのがPM11時。
当然スーパーなど閉まっているだろうと推察されたのでコンビニへ行くことになったのだ。
ポテトチップスを使う授業など到底見当がつかないし、大学が準備できるものだとも思ったが。
それにしても先ほどの女はなんだったのだろうか、なぜか頭に引っかかる。
ふと上を見上げると、刀を持った男がいた。
「!?」
ワケも分からず俺は走った、ただただ走った。
普通なら不審者かコスプレマニアだと思うかもしれないが、ただならぬ刀の輝きがそういった思考をすべて潰した。
ここならば見つかるまいと考えきた道を引き返し、道沿いの公園のゴミ箱の影に隠れる。
ゴミ箱には生ごみが多く入っており、非常に気持ち悪い。
鼻を突き刺すような匂いがとても不健康であったが今は耐えざるをえぬ。
しばらく時間が過ぎ、完全にまいたと思い始めた頃、再び、先の男あらわる。
男はあっという間に100m近い距離を詰め、ゴミ箱ごと叩ききろうとしてきた。
俺は慌てて横に転げる。顔をあげるとゴミ箱は消え、俺の首筋には刀が突きつけられていた。
「・・・・・。」
男は多くを喋ることなくただこう一言言った。
「ご苦労様でした。」
それは彼の彼なりの労りの心だったのだろうが、俺は死ぬつもりは毛頭なかった。
首をありえない角度に向け一太刀を避け、足に蹴りを加えた。
「ッ!」
男はバランスを崩し後ろに転倒する。
その隙に走った。
だが男は有り得ない速さでバランスを回復、再び追ってきた。
だが、彼の追撃はあっという間に終わった。
キラリと北の空に一条の光、次の瞬間には男の体は縦に引き裂かれ、夥しい血が流れでた。
俺はあっけにとられ見ていたが、男は即死し倒れ伏した。
それと同じに公園の入口から女が一人入ってきた。
先程の少女だ。
「だから危険だといったのに。コイツも難儀ね。私とは神霊としての格がまるで違うというのに。」
「おい、お前はなんなんだよッ..」
俺は訳の分からない言葉と雰囲気に耐えかね、こういった。
すると少女は
「わたし?私は莉衛。日王莉衛。」
「この世界を守るため、神界から送られてきた第五神衛隊のチーフです。よろしく。」