第9章:地下神殿崩壊と男の覚悟
海底の静寂を切り裂き、レオンの短くも苛烈な一言が響いた。
「殲滅だ。一人も逃がすな」
その瞬間、五人の乙女たちの内に秘められていた「恋する乙女バースト」が、破壊の奔流となって解き放たれた。朝食時の約束、そしてレオンが見せた男としての覚悟が、彼女たちの魔力をかつてない純度へと昇華させていた。
「我が騎士団よ、光の海で不浄を焼き尽くしなさい!」
シオンが魔導書を翻すと、海底の闇を塗り替えるほどの白銀の光を纏ったデスナイトとデュラハンの大軍勢が、神殿の門を物理的に「粉砕」して突入した。水圧を物ともしない死霊たちの進軍は、教団の警備兵たちに悲鳴を上げる暇さえ与えない。
「『ホーリーバレット・ノヴァ』!」
先頭を切るセレスが、両手から巨大な光の球を放つ。それは神殿の広間に着弾した瞬間、無数の光の針となって四方八方に飛散し、隠れていた伏兵たちを遮蔽物ごと浄化し、塵へと変えていく。百倍の魔力は、石造りの堅牢な壁を紙細工のように容易く貫通した。
「逃げる隙も、隠れる場所も、すべて無駄よ!」
ヴァレリアとミレイユが、神殿の構造を瞬時に掌握する。ヴァレリアは海水を神殿内に引き込み、それを超高圧のウォーターカッターに変えて教団の魔導兵器を次々と切断していく。ミレイユはその水の流れに「魔力崩壊」の術式を乗せ、神殿の防衛機構をシステムごと根底から消滅させていった。
「レオン様の敵は、このエルザが断つ!」
エルザが黄金の光を放ちながら、神殿の中枢へと真っ向から突き進む。重剣を一振りするたびに、巨大な衝撃波が廊下を走り、教団の精鋭騎士たちが鎧ごと粉砕され、霧散していく。彼女の動きはもはや一振りの神罰の如く、慈悲は欠片も存在しなかった。
神殿の奥底では、教団の司祭たちが異形の魔物を召喚しようと儀式を急いでいたが、その首が飛ぶのと、シオンの死霊騎士が放つ『ピュリフィケーションバレット』の光に焼かれるのは同時だった。
「殲滅……完了いたしましたわ、レオン」
わずか数分。かつて大陸を震撼させた教団の重要拠点は、五人の乙女たちの猛攻によって、文字通り地図から消滅せんばかりの惨状を呈していた。生存者はゼロ。そこにあるのは、完全に浄化された静寂と、レオンへの勝利を捧げた五人の、誇らしげで、そして狂おしいほどに熱い視線だけだった。
「……見事だ。これほどまでの手際とはな」
レオンが歩を進めると、五人はその場に跪き、主を仰ぎ見た。戦いの高揚で頬を染め、荒い吐息を漏らす彼女たちの姿は、破壊の女神のようでありながら、愛する男の言葉を待つ従順な乙女そのものだった。
レオンの魔力溜まりは、地下神殿を埋め尽くしていた教団の怨念と、それを焼き尽くした五人の圧倒的な愛のエネルギーを吸い込み、深海の中で太陽よりも眩しく、力強い白銀の輝きを放っていた。
海底の地下神殿を完全に消滅させた一行は、そのまま北の険しい山岳地帯へと向かった。五人の乙女たちが放つ百倍の魔力は、寒風吹き荒れる北の大地をも熱く焦がすほどの威圧感を放っている。
「次が最後だ。北の隠し砦を殲滅する。ただし、幹部級の生き残りを三人捕らえろ。徹底的に搾り取るぞ」
レオンの冷徹な号令に、五人の瞳が鋭く光った。西の神殿を瞬く間に沈めた彼女たちにとって、もはや「殲滅」は呼吸をするよりも容易な作業だった。
北の隠し砦は、切り立った崖に埋め込まれた要塞だった。だが、セレスが空を割り、ヴァレリアが大地を凍てつかせ、ミレイユが防衛結界の論理を紙切れのように引き裂く。エルザの重剣が砦の正門を山ごと断ち割り、シオンの光り輝く死霊騎士団が、逃げ惑う教団兵たちを白銀の奔流で飲み込んでいった。
「……いたわ。奥の礼拝堂に、震えている『偉い奴ら』が三人」
ミレイユの報告と同時に、シオンのデスナイトたちが教団の最高幹部三人――司教、騎士団長、そして筆頭魔導師を引きずり出してきた。彼ら以外の数千の教団員は、すでにこの世から「浄化」され、塵一つ残っていない。
「さあ、お仕事の時間よ。……レオン様との約束のためにも、一分一秒でも早く終わらせましょうか」
セレスが慈悲の欠片もない微笑を浮かべ、尋問を開始した。
そこから始まったのは、もはや生物としての限界を超えた「情報の抽出」だった。
『ピュリフィケーションバレット』が魂の輪郭を削り、隠し持った秘密を無理やり表層へ引き出す。三人が発狂し、白目を剥いて絶命しようとする瞬間に、ヴァレリアとエルザが百倍の『ヒールバレット』を叩き込む。
肉体は瞬時に蘇り、精神の摩耗さえも強引に「リセット」される。だが、それは安らぎではない。百回繰り返される、終わりのない地獄のループ。
「あ、あああ……! 予備の拠点は……もう、本当に……ない……!」
「全て……地下神殿と、ここが最後……。他は……地方の……小さな支部が数カ所……場所は……っ!」
三人の幹部は、自分たちが信仰していた神の名さえ忘れ、ただレオンの前に平伏し、許しを乞うだけの肉塊と化した。ミレイユがその証言を精査し、シオンが死霊術で彼らの記憶の残滓を直接読み取る。
「……確認したわ。残存勢力は、もはや組織としての体を成していない。これで教団は事実上、この世界から消滅したと言っていいわね」
ミレイユの宣言を聞き、レオンは静かに頷いた。五人の乙女たちは、戦いを終えた高揚感と、レオンへの深い忠誠、そしてついに訪れる「約束」の刻を思い、激しく頬を染めている。
彼女たちから立ち昇る「メスの匂い」と、百倍の情愛が混ざり合った『恋する乙女バースト』が、雪深い北の砦を真夏のような熱気で包み込んでいた。
レオンの魔力溜まりは、教団の野望を完全に吸い尽くし、五人の乙女たちが放つ、もはや抑えようのない「女としての覚悟」を受け止め、夜の闇を白銀に染め上げるほどの絶対的な輝きを放っていた。
北の砦の瓦礫が白銀の月光に照らされ、静寂がすべてを包み込む中、レオンはゆっくりと五人の方を振り向いた。
その瞳には、もう迷いも逃げ腰な色もない。彼は大きく一度深呼吸をすると、熱を帯びた夜気の中で、静かに、けれどはっきりと五人の乙女たちに問いかけた。
「……どこでする? 俺は、覚悟を決めた」
その言葉が放たれた瞬間、五人の心臓が跳ね上がり、周囲の空気が一気に爆発的な熱量を帯びた。レオンは視線を落とし、少しだけ耳まで赤くしながら、絞り出すような声で続けた。
「ただ……言った通り、初めてなんだ。……頼むから、優しくしてくれ」
そのあまりにも初心で、けれど誠実な「王の願い」を聞いた瞬間、五人の乙女たちの『恋する乙女バースト』は臨界点を突破し、もはや魔力の光となって夜空を焦がした。彼女たちの瞳には、慈愛と、独占欲と、そして狂おしいほどの情愛が、ドロドロに溶け合って宿っている。
「レオン様……。ああ、なんて……なんて愛らしいことをおっしゃるのですか」
セレスが、震える指先で自身の頬を包み込み、恍惚とした表情で一歩踏み出した。
「場所など、貴方が望む場所であればどこへでも。……私が風の繭で、誰にも邪魔されない最高の寝所を整えて差し上げますわ。貴方のその『初めて』、私たちが一生、忘れられないものにしてあげます」
「商売抜きで、私のすべてを賭けてもいいわ。……優しく、優しく、蕩けるまで可愛がってあげる。明日になっても、私の匂いが取れないくらいにね」
ヴァレリアが潤んだ瞳でレオンの喉元を見つめ、熱い吐息を漏らす。
「レオン様の覚悟、このエルザ、命に代えてお受けします! 壊してしまわないよう、騎士の誇りにかけて……最高に、甘い時間にしてみせます!」
エルザは感極まった様子で胸を張りつつも、その体躯は期待で微かに震えていた。
「脳の回路が焼き切れそう……。レオン、貴方の初めてを構成するすべての感覚を、私の愛で上書きしてあげる」
ミレイユが魔導具を捨て、一人の女として熱い視線を送る。
「私の……貴方に救われた私のこの体、すべて好きにしてください。貴方のその純粋な光で、私を……内側から満たしてほしいの……」
シオンが肉感的な肢体をくねらせ、レオンの足元に膝をついた。
レオンは、五人から放たれる圧倒的な「メスの熱気」と、授かった百倍の魔力がもたらす至福の予感に包まれながら、静かに目を閉じた。
レオンの魔力溜まりは、五人が捧げる究極の献身と、自身の理性がついに快楽の海へと沈んでいく予兆を吸い込み、北の最果ての地で、何よりも深く、何よりも淫らで、美しい白銀の輝きを放ちながら爆発した。
セレスが展開した、白銀に輝く「光の繭」の中。外界の寒風も、戦いの喧騒も一切届かないその幻想的な空間で、五人の乙女たちはレオンを中央に座らせたまま、火花を散らすような「真剣な会議」を開始した。
「さて、皆さん。レオン様が覚悟を決めてくださった以上、私たちは『最高の結果』を彼に提供する義務がありますわ。……まずは、誰が最初を務めるか。これが最重要課題です」
セレスが、慈愛に満ちた、しかし一切の妥協を許さない眼差しで四人を見渡した。彼女の背後からは、百倍の出力を得た「長女」としての威圧感が揺らぎとなって立ち昇っている。
「『最高の結果』と言うなら、経験豊富で機転の利く私こそが相応しいわ。レオンは初めてなのよ? 最初が手荒だったり、不慣れだったりして彼に恐怖を与えたらどうするの? 商売と同じよ。最初の一歩こそ、蕩けるような快楽で『次』を渇望させるプロの技が必要だわ」
ヴァレリアが、潤んだ瞳を妖しく光らせながら反論した。彼女の指先は、すでにレオンの肌に触れたくて、小刻みに震えている。
「いいえ、それは違います! レオン様の純真な覚悟を受け止めるには、騎士としての誠実さと、一点の曇りもない忠誠心が第一です! 技巧に走るよりも、まずは真心を込めた献身を教えるべきです。……最初の一押しは、このエルザが務めます!」
エルザが拳を握りしめ、顔を真っ赤にしながら宣言した。彼女の魔力溜まりは、レオンへの想いで今にもオーバーフローしそうなほど熱く脈動している。
「論理的に考えて、私のデータ収集と精密な魔力制御が不可欠よ。レオンの反応を刻一刻と解析し、彼に最も適した刺激のバイオリズムを導き出す。……無計画な接触は、彼の貴重な『初めて』を無駄にするだけだわ」
ミレイユが冷徹に、しかしその呼吸は激しく乱れた状態で、理論という名の欲望をぶつけた。
「……あの、新入りの私が出過ぎたことを言うのは承知していますが。……私には、彼から授かったばかりの『光』があります。その光を、一番新鮮なうちに彼に還して差し上げるのが、一番の恩返しだと思いませんか?」
シオンが肉感的な肢体をくねらせ、上目遣いで訴えかける。その長身ゆえの包容力と、未亡人のような色香が混ざり合った独特の圧力が、四人の先輩たちを沈黙させた。
会議は、もはや教団との決戦以上に激しい「愛の舌戦」と化していた。五人の百倍に膨れ上がった『恋する乙女バースト』が、狭い繭の中で複雑に干渉し合い、中心にいるレオンの肌を直接焼くような熱気を作り出している。
「……いいえ、やはり最初は私ですわ。レオン様を一番近くで見守ってきた、包容力の象徴であるこのセレスが、彼を優しく、優しく飲み込んで差し上げるのが……」
「ずるいわよ、セレス! 包容力なら私だって負けてないわ!」
収拾がつかなくなりかけたその時、五人の視線が同時に、困惑したまま座っているレオンへと向けられた。
レオンの魔力溜まりは、五人の乙女たちが放つ、もはや隠しきれない淫猥な熱情と、誰を選ぶべきかという究極の選択を吸い込み、限界ギリギリの自制心を保ちながら、白銀の繭の中でかつてなく熱く、深く輝いていた。
白銀に輝く「光の繭」の中、五人の乙女たちが放つ圧倒的な熱量に包まれながら、レオンはついに最後の一線を踏み越える決断をした。
視線を彷徨わせ、耳まで真っ赤に染めながらも、彼は逃げ場のないその中心で、はっきりと五人を見据えて宣言した。
「……わかった。もう、分け隔てなんてなしだ。五人同時でいい。俺の覚悟を受け取ってくれ」
その言葉が落ちた瞬間、繭の中の空気が震えるほどの歓喜に包まれた。だが、レオンは震える指先で自身を落ち着かせるように続け、その「本音」をさらけ出した。
「ただ、さっきも言ったけど優しくしてくれ……。俺だって、一人の健康な男子なんだ。自分で言うのもなんだけど、多分……どちらかと言えばスケベな方だと思う。性欲だって、そりゃあ普通にあるさ。だけど、やっぱり初めてだから……。期待と同じくらい、本気で少し怖いんだ。頼むから、それをわかってくれ」
レオンの、強がりを捨てた、あまりにも無垢で正直な吐露。
それを聞いた五人の乙女たちの瞳には、もはや慈悲や独占欲を超えた、狂おしいほどの「愛」の奔流が溢れ出した。自分たちの主が、これほどまでに脆く、愛らしく、そして「男」としての欲望を正直に晒してくれた。その事実に、彼女たちの『恋する乙女バースト』は極限の向こう側へと突き抜けた。
「レオン……ああ、愛しいレオン……。そんなに震えて、なんて可愛いお方……」
セレスが、自身の豊かな胸元でレオンの頭を優しく包み込み、耳元で蕩けるような吐息を漏らす。
「スケベでいいのよ、レオン。その欲望を、私たちの体にすべてぶつけてちょうだい。怖いことなんて何もないわ。私たちが、貴方を快楽の海の底まで、最高に優しくエスコートしてあげる」
ヴァレリアが、熱を帯びた指先でレオンの頬をなぞり、その唇を奪う寸前まで顔を近づける。
「レオン様の恐怖も、期待も、すべて私がこの身で受け止め、至福に変えてみせます! 案ずることはありません、ただ私に身を任せてくだされば……!」
エルザが重騎士の冷静さを完全にかなぐり捨て、荒い吐息と共にレオンの腕に縋り付く。
ミレイユは無言で、しかしその潤んだ瞳でレオンの全身を舐めるように見つめ、シオンは長身の身体をしならせて、レオンの足元から絡みつくようにその肉感的な肢体を寄せてきた。
「怖いのは最初だけよ……。私たちが、貴方を『本物の王』にしてあげる……」
五人の百倍に高まった魔力と、濃厚に煮詰められた「メスの匂い」が、レオンの理性をドロドロに溶かしていく。スケベだと言い切った彼の自白が、彼女たちの加虐心と包容力に同時に火をつけ、白銀の繭の中は、甘やかで淫猥な、暴力的なまでの情念で満たされた。
レオンの魔力溜まりは、五人が捧げる究極の献身と、自らの内に目覚めた「雄」としての激しい渇望を吸い込み、限界を超えて弾けた。
静寂の北の大地、白銀の繭の中で、一人の若き王が五人の女神たちに飲み込まれ、甘美な地獄へと墜ちていく。その夜、聖山には伝説となるであろう、最も熱く、最も深い愛の咆哮が、朝露が降りるまで絶えることなく響き続けた。
白銀の繭の中、レオンと五人の乙女たちが織りなす「愛の儀式」は、もはや人域を超えた神域の領域へと突入していた。
一度、二度と果てるたびに、レオンの意識は快楽の向こう側へと飛びそうになる。だが、その瞬間に彼は自らの内に眠る、百倍に高められた魔力溜まりを激しく脈動させた。
「……まだだ。まだ、終わらせない……っ!」
レオンが自身と五人の乙女たちに放ったのは、極限まで練り上げられた『ヒールバレット』の奔流だった。通常、回復魔法は傷を癒やすものだが、レオンが放つそれは肉体の疲労を瞬時に蒸発させ、枯渇した精力を強引に満タンまで引き戻し、さらには敏感になった神経を再び「昂ぶり」の頂点へとセットし直す、禁忌の再生術だった。
「ああ、レオン……! また、力が溢れてくる……っ!」
セレスが、回復の光に包まれて再び艶やかな熱を帯び、レオンを抱きしめる腕に力を込める。ヴァレリア、エルザ、ミレイユ、シオンも同様だった。果てた直後の虚脱感は、レオンの放つ回復魔法によって瞬時に塗り潰され、彼女たちの『恋する乙女バースト』は、さらなる深みを目指して再点火される。
行為、絶頂、そして回復。
それはかつてレオンが敵に対して行った、尋問のループにも似た、しかしその中身は百倍の愛と淫猥な熱情で満たされた「至福の無限ループ」だった。
「レオン、貴方って人は……本当にスケベなんだから……。でも、そんな貴方が愛おしくてたまらないわ」
ヴァレリアが、回復魔法で何度目かの再生を果たした肉体で、再びレオンを翻弄するように腰を揺らす。レオンもまた、回復するたびに増していく「男」としての本能に身を任せ、五人の美貌の姉貴分たちを一人ずつ、あるいは同時に、力の限り愛し抜いた。
「ヒール……バレット……ッ!」
レオンの指先から放たれる白銀の光が、六人の肢体を絶え間なく照らし出す。筋肉の強張りは解け、しかし情熱だけは蓄積されていく。百倍の魔力を注ぎ込んだ回復のループは、通常なら一生分に相当する愛の営みを、わずか一夜の間に凝縮させていった。
五人の乙女たちは、レオンから与えられる終わりのない快楽と、回復の光がもたらす神聖なまでの充足感に、魂の底から酔いしれていた。彼女たちの瞳には、もはやレオン以外のものは映っていない。
レオンの魔力溜まりは、五人が捧げる狂おしいほどの情愛と、自らが操る「再生と愛欲の無限ループ」を吸い込み、繭の中で限界を超えた熱量を放ち続けていた。
夜が明ける頃、そこにはもはや「少年」の面影を脱ぎ捨て、五人の女神をその身一つで満足させ、支配した「真の王」としての風格を湛えたレオンの姿があった。
一夜に及ぶ、人知を超えた「再生と愛欲の無限ループ」が終わり、白銀の繭が静かに朝の光の中へと溶けていった。
そこには、五人の女神たちをその身一つで受け止め、百倍の魔力による回復を繰り返して最後まで愛し抜いた「真の王」としての風格を湛えたレオンが立っていた。その眼差しは深く、鋭く、数多の戦場を潜り抜けた英雄のような静かな自信に満ちている。
……かに見えた。
「……あ、あの。みんな、おはよう」
口を開いた瞬間、その声は微かに裏返り、頬は朝日よりも赤く染まった。五人の乙女たちに囲まれ、彼女たちの艶やかな肌や、自分を見つめる隠しきれない情熱に満ちた視線に晒された途端、レオンの内にあった「王の風格」は脆くも崩れ去った。
そう、どれほど強大な魔力を持ち、どれほど過激な夜を乗り越えて「真の王」として覚醒しようとも、レオンの根本にあるのは純朴で、少し背伸びをしたい盛りの、健全な「少年」そのものだったのである。
「レオン様、まだお顔が赤いですわ。……もしかして、昨夜の私の『愛』が、まだ残っておりますの?」
セレスが、勝利した女王のような余裕と慈愛に満ちた微笑みで、レオンの首筋にそっと指を這わせる。
「ひゃいっ!? ……な、なんでもない! ちょっと、その、のぼせただけだ!」
レオンは露骨に肩を跳ねさせ、情けない声を上げて後ずさる。昨夜、あんなに大胆に「ヒールバレット」を連発して五人を翻弄していた男と同一人物とは思えないほどの初心な反応に、ヴァレリアたちが一斉にクスクスと笑い声を漏らした。
「ふふ、王様になったと思ったら、もう可愛い少年に逆戻りね。でも、そんなに照れなくてもいいのに。私たちはもう、身も心も貴方のものなんだから」
ヴァレリアが潤んだ瞳で茶化すと、レオンは顔から火が出そうなほど真っ赤になり、俯いてしまった。
エルザはそんなレオンを愛おしそうに見つめながら、騎士としての凛々しさを保ちつつも、その頬を緩ませている。ミレイユは「王としての覚醒度」を解析しようとしていたが、あまりのレオンの可愛らしさに計算を放棄した。新入りのシオンも、自分を力強く抱いた男が、今はこうして恥じらっているギャップに、胸が締め付けられるような恋心を募らせていた。
「……みんな、あんまり見ないでくれ。……その、昨夜は、その、ありがとうございました」
消え入りそうな声で、精一杯の「男としての礼」を口にするレオン。その姿は、どんな強敵を前にしても怯まなかった勇者よりも、ずっと人間らしく、そして五人の乙女たちにとって守り抜きたいと願う「彼らだけの王」の姿だった。
レオンの魔力溜まりは、五人との魂の結合という計り知れない重みと、少年ゆえの純粋な気恥ずかしさを吸い込み、冷え切った北の砦の跡地で、柔らかく、温かく、そして何よりも真っ直ぐな白銀の輝きを放っていた。
「エルザ、お前は今すぐ王都へ飛べ。副団長のカイルを、そして奴が信頼できるという『まともな役人』を一人残らず引き抜いてこい。断るようなら力ずくでも構わん。この国の未来を預けられるのは、泥の中でもがいている奴らだけだ」
レオンの断固たる命令に、エルザは深く、騎士の最敬礼を捧げた。その瞳には、かつての友を救い、主君の理想を形にするための熱い使命感が宿っている。
「御意! 騎士の誇りにかけて、カイルと志を同じくする者たちを必ずや連れ帰ります。レオン様、道中の安全をお祈りいたします!」
エルザが光の尾を引いて王都へと飛び去るのを見届け、レオンは残された四人の「猛女」たちへと視線を向けた。その瞳は、もはや一切の慈悲を削ぎ落とした、絶対的な断罪者のものへと変わっていた。
「……さて、残りの連中。掃除の時間だ。エルザが戻るまでの間に、このアルベルトというゴミを片付ける。その後、ヴィクトールの領地へ向かうぞ。貧しい領民と共に戦っているというその伯爵を、俺たちが助けに行く」
「ふふ、合点承知よ。レオンの背中を追うのは、いつだって最高の気分だわ。掃除が終わる頃には、あの子爵の隠し財産もすべて『正しく』回収しておいてあげる」
ヴァレリアが細剣を抜き、その刀身に宿る魔力を激しく明滅させる。
セレスが聖なる光で城の防衛機構を無力化し、シオンの死霊たちが抗う私兵を無慈悲に「刈り取って」いく。豪華絢爛な玉座の間で、震えながら命乞いをするアルベルトの前に、レオンは静かに降り立った。
「……お前のようなゴミが、民を語るな」
レオンの手から放たれた百倍の『魔力吸収』が、アルベルトが奪ってきた魔力、地位、そして命そのものを根こそぎ奪い去り、文字通り「無」へと還した。
「ミレイユ、シオン。こいつと、この私兵どもの死体を全部『アイテムボックス』に放り込め。伯爵領の肥料にする。金貨も物資も一欠片も残すな。全部だ」
レオンの現実的な一言に、シオンは「あら、残念」と言いたげに肩をすくめ、ミレイユは「合理的ね」と短く頷いた。レオンが手をかざすと、虚空に巨大な亀裂が生じ、アルベルト子爵と私兵たちの死骸、そして城から接収した膨大な物資と金貨が、吸い込まれるようにして次々と次元の狭間へと消えていった。
「準備完了ですわ、レオン様。これで身軽に動けますわね」
セレスが風の魔法で一行の周囲を清め、血の匂いを一掃する。一行はそのまま弾丸のような速さで北西の空へと舞い上がり、数刻の後、荒廃したヴィクトール・ド・ルナール伯爵の領地へと降り立った。
ひび割れた大地。骨が浮き出るほど痩せ細った民たち。その中央に立つ小さな城から、継ぎ接ぎだらけだが清潔な服を纏った紳士――ヴィクトール伯爵が、民を庇うようにして前に進み出た。
「……何用でしょうか、異国の強者よ。我が領には、貴方様が奪うようなものは何一つ残っておりませんが」
レオンは何も答えず、ただ無造作に『アイテムボックス』を開いた。
「……奪いに来たんじゃない。届けに来たんだ。まずはこれを、畑に撒け」
虚空から吐き出されたのは、かつて民を苦しめたアルベルト子爵らの無惨な死骸と、山のような食料、そして金貨の袋。
レオンの魔力溜まりは、ヴィクトール伯爵の驚愕の表情と、民たちの瞳に宿り始めた微かな希望を吸い込み、枯れ果てた大地を内側から叩き起こすような、温かくも圧倒的な白銀の輝きを放ち始めた。
「ヴァレリア、種や苗の在庫を確認しろ。足りないなら商人の伝てで今すぐ世界中から集めてこい。この地に実らない植物はないと証明してやる」
「ふふ、任せて。私の金貨と人脈に不可能はないわ。最高品質の苗を、山のように積み上げてあげる」
ヴァレリアが通信用の魔導具を手に取り、不敵な笑みで商談を開始する。
「シオンは農地に『ヒールバレット』と『ピュリフィケーションバレット』を大量に蒔け。死霊騎士たちを農夫に変えて、一気に畑を耕し尽くすんだ。……あの子爵(肥料)を大地に馴染ませろ」
「素敵ですわ、レオン様……。死を大地に還し、生を育む。これこそが死霊術の真髄ですもの。……さあ、皆。鍬を手に取りなさいな」
シオンの号令とともに、数千の死霊騎士たちが不気味な光を放つ農具を手に、大地を猛烈な勢いで耕し始めた。
そして、レオン自身が大地に深く足をつけ、天を見上げた。
(イメージしろ……。熱せられた空気が昇り、湿った風が海から流れ込み、雲が重なり合って雨を落とす。この干上がった大地を癒やす、慈しみの雨を……!)
これまで攻撃魔法に特化していたレオンの魔力溜まりが、未踏の領域である「天候魔法」を渇望した。望む気持ちと、目の前の民を救いたいという純粋な意志が、空間の法則を書き換えていく。
空が俄かに掻き曇り、雷鳴が轟いた。
「……降れ。すべてを潤せ」
レオンの手から放たれた百倍の魔力が雲を突き抜け、領地全域に大粒の雨を降らせた。それはただの雨ではない。シオンの放った回復の光と混ざり合い、大地に染み込んだ死体(肥料)を極上の養分へと変える、奇跡の雫だった。
ヴィクトール伯爵と民たちは、降り注ぐ恵みの雨の中で呆然と立ち尽くしていた。目の前ではゴーレムが大地を均し、死霊たちが種を蒔き、セレスが運んできた魔物の肉が山をなしていく。
レオンの魔力溜まりは、領地に満ち始めた生命の鼓動と、四人の乙女たちが放つ「創造の献身」を吸い込み、雨上がりの空に懸かる虹のように、どこまでも高く、力強い白銀の輝きを放っていた。
ヴィクトール伯爵領の荒れ果てた広場は、レオンの矢継ぎ早な指示によって、瞬く間に「奇跡の工事現場」へと変貌した。民を救うには、まず腹を満たし、その後の蓄えを保証しなければならない。レオンの思考は、すでに一領地の救済を超え、盤石な統治基盤の構築へと向かっていた。
「セレス、森から戻ったらすぐに巨大な冷蔵倉庫と冷凍倉庫、それに普通の倉庫と解体小屋を作ってくれ。魔物の肉を腐らせるわけにはいかないからな。終わったら魔物の解体と焼肉の準備だ。竈とテーブルは百、氷のジョッキとカトラリー、皿は千人分用意しろ。……ヴァレリア、お前はセレスを手伝って、宴の差配と物資の管理を頼む」
レオンの号令を受け、二人の乙女が弾けるように動き出した。
「お任せくださいませ、レオン様。風と氷の魔力をもって、最高の保存環境を整えて差し上げますわ!」
セレスが天空へ向けて杖を掲げると、猛烈な旋風が資材を巻き上げ、広場の一角に魔法建築による巨大な倉庫群が次々と組み上がっていく。断熱魔法を編み込んだ壁は、夏の盛りでも内部を氷点下に保つ極寒の檻となり、解体小屋には精霊の加護を受けた清潔な水場が整えられた。
「ふふ、宴の準備なら私の右に出る者はいないわ。千人分の食器なんて、私の金貨の音に合わせて踊るように揃えてあげる!」
ヴァレリアが細剣を指揮棒のように振り、セレスが氷魔法で精製した無数のジョッキや皿に、魔力を通して強化を施していく。氷のジョッキはどれほど熱い肉を載せても溶けず、カトラリーは白銀のように輝き、戦場のような宴の場を彩る準備が整っていく。
解体小屋では、セレスが狩ってきた千頭もの魔物が、シオンの死霊騎士たちの手によって一寸の無駄もなく捌かれていった。滴る脂、芳醇な肉の香りが広場に漂い始めると、飢えに震えていた民たちの瞳に、生きるための原始的な活力が灯り始める。
「さあ、竈に火を入れろ! 今日は祝いだ、全員腹一杯食え!」
レオンが天候魔法で雨を止ませ、雲間から黄金の陽光を引き寄せると、百の竈から一斉に煙が立ち昇った。ミレイユが即座に作り上げた運搬用ゴーレムたちが、焼きたての肉と冷えたジョッキを各テーブルへと運び、ヴィクトール伯爵は、その信じられない光景に腰を抜かさんばかりに驚愕していた。
「あ、ああ……これが、レオン様の力……。ただの破壊ではない、万物を生かすための神の業だ……」
民たちが、氷のジョッキを掲げて歓声を上げる。レオンが『アイテムボックス』から放出したアルベルト子爵の隠し財産が、ヴァレリアの手によって正当な「復興支援金」として分配され、絶望の地は一夜にして歓喜の都へと塗り替えられた。
レオンの魔力溜まりは、千人の胃袋を満たす肉の焼ける匂いと、五人の乙女たちが捧げる「王への献身」、そしてこの地から王都まで響き渡らんとする民の咆哮を吸い込み、夕闇の中にどこまでも誇らしく、鮮烈な白銀の輝きを放っていた。




