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白銀の救世主(メシア)は、絶望の地を喰らい尽くす。 ~魔力適性ゼロの少年、死線で覚醒し、五人の女神と最強の略奪建国を開始する~  作者: 慈架太子


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第8章:聖山の教団と光り輝く死霊騎士

聖山の頂に静寂が戻り、五人の乙女たちが勝利の余韻に浸る中、レオンは内心で激しい嵐に煽られていた。


(……まずい、これ以上は本当にまずいぞ)


表向きは冷静に戦果を確認しているレオンだったが、その背中には冷や汗が流れていた。彼女たちを「頼れる姉貴分」として慕い、一線を引こうとしているのはレオン自身だ。しかし、百倍に跳ね上がった『恋する乙女バースト』の影響か、彼女たちから放たれる「女」としての色香と圧迫感は、もはや防波堤を壊さんとする濁流のように彼を飲み込もうとしている。


慈愛に満ちた包容力で全てを許してしまいそうなセレス。

商売人の計算を捨て、艶然たる微笑みで獲物を狙うヴァレリア。

忠誠の誓いを熱い吐息に変え、真っ向からぶつかってくるエルザ。

理知的な瞳の奥に、独占欲という名の狂熱を宿すミレイユ。

そして、救われた恩義を全身で示そうと、肉感的な肢体を寄せてくるシオン。


(俺だって、健全な男なんだ。こんなに美しく、完成された大人の女性五人に、百倍の魔力を乗せた情熱で毎日迫られ続けたら……いつか自制心が決壊してしまう。姉貴分だなんて自分に言い聞かせている理性が、本能に負けて彼女たちを『女』として奪ってしまう日が来るのが、本気で恐ろしい……)


そんな内心の焦燥を隠し、昂ぶる自身の本能を鎮めるために、レオンは戦場に残る膨大な魔力の残滓へと手をかざした。


「……仕上げだ。この地に淀む未練も、教団が積み上げた歪んだ魔力も、すべて俺が飲み込む」


覚醒した『魔力吸収』が猛威を振るい、戦場を覆っていた絶望や偽りの神の核から漏れ出た紫煙を、レオンの深淵へと吸い込んでいく。魔力を強制的に吸収し、術式を回すことで、彼はなんとか理性を繋ぎ止めていた。


その傍らでは、生き残った教団の幹部たちが、シオンの死霊騎士団によって無慈悲に捕縛され、魔法の縄で拘束されていた。


「レオン、生き残りはすべて捕らえました。……でも、そんなことより、私たちのこの『火照り』を鎮めてはくださらないかしら?」


セレスが頬を赤らめ、そっとレオンの腕を自身の豊かな胸元へと引き寄せる。他の四人もまた、逃がさないと言わんばかりの熱い視線で彼を囲い込んだ。


百倍の魔力、そして百倍の情念。レオンの魔力溜まりは、彼女たちの狂おしいほどの愛情と、自身の内に渦巻く葛藤を吸い込み、月明かりの下でいっそ危ういほど美しく、深く、静かに輝いていた。





聖山を平らげたレオンたちは、魔法の縄で芋虫のように縛り上げた教団幹部の生き残りたちを引き連れ、村へと帰還した。深夜の村は静まり返っていたが、レオンが設けた隔離用の石牢に放り込まれた捕虜たちにとっては、そこからが真の地獄の始まりだった。


「始めるぞ。一秒も休ませるな。奴らが持っている他の拠点の位置、兵力、そして残党の計画をすべて吐かせろ」


レオンの冷徹な号令が下る。

そこから先は、もはや尋問という名の精密な「破壊と再生」の作業だった。五人の乙女たちは、レオンの期待に応えるべく、百倍の魔力を注ぎ込んでループを開始する。


『ピュリフィケーションバレット』による精神の解体。

極限の苦悶の中で意識を失いかけると、間髪入れずに放たれる『ヒールバレット』の奔流。

肉体は瞬時に全快し、精神の磨耗さえも強引に修復されるが、それは更なる尋問を受けるための「リセット」に過ぎない。この地獄のサイクルを、一人につき正確に百回。


「……あ、あ、あああああ! 答え、答える! 西の海峡の地下神殿に……! それと北の山岳地帯に隠し砦が……!」


百回目の「回復」を終える頃には、どんなに訓練された狂信者であっても、魂の奥底までを剥き出しにし、震える指先で地図を指し示していた。ミレイユがその情報を冷静に記録し、シオンが死霊術の知見から裏付けを取り、教団の全貌が白日の下に晒されていった。


しかし、レオンにとっての本当の戦いは、尋問の合間に訪れる静寂の中にあった。


尋問の熱狂と、レオンから授かった強大な魔力の昂ぶりによって、五人の乙女たちからは抑えきれない「メスの匂い」が立ち昇っていた。

潤んだ瞳でレオンの指先を追い、わざとらしく胸元をはだけては、蕩けるような熱い吐息を彼の耳元に吹きかけてくる。五人の百倍に膨れ上がった情愛とフェロモンが、閉ざされた石牢の中に充満し、理性を直接焼き切るような甘やかで淫猥な圧力を生み出している。


(……やばい、本当にまずい。鼻を抜けるこの香りが脳を狂わせそうだ)


レオンは内側から突き上げてくる健全な男としての本能を、鋼の意志でねじ伏せた。ここで少しでも鼻の下を伸ばせば、五頭の飢えた牝獅子に食い殺される。彼は氷の仮面を貼り付けたまま、彼女たちの熱視線を一切見ることなく、淡々と記録された書面へと目を落とし続けた。


「よくやった。……セレス、ヴァレリア、この情報を整理しておいてくれ。俺は一度頭を冷やして……いや、今後の作戦を練ってくる」


レオンは、自分を囲み、いまにも縋り付こうとする五人を「冷静に無視」して、早足で石牢を後にした。背中越しに、彼女たちの溜息と、獲物を逃したような不満げな、それでいて更なる恋着を深める魔力の揺らぎを感じる。


レオンの魔力溜まりは、教団の秘密を暴いた達成感と、五人の乙女たちが放つ濃厚な情念、そして自身の限界ギリギリの理性を吸い込み、夜明け前の村の冷気の中で、いっそ切ないほど鋭く輝いていた。





石牢を出て、足早に闇夜へ消えようとするレオンの背中。その足取りがわずかに乱れ、呼吸がいつもより深く、重くなっていることを、五人の乙女たちは見逃さなかった。


百倍に跳ね上がった魔力は、彼女たちの感覚を神の領域にまで引き上げている。そして何より、レオンへの狂おしいまでの愛着が、彼女たちの「メス」としての本能を極限まで研ぎ澄ませていた。


「……ふふ、あのお方。冷たい顔をなさっているけれど、隠しきれていませんわね」


セレスが、蕩けるような甘い吐息を漏らしながら、レオンが去った扉を見つめた。彼女の鋭敏な感覚は、レオンが自分たちの放つフェロモンに晒され、その血管を流れる血液が熱く沸騰しているのを、壁越しにさえ感じ取っていた。


「商売でもそうだけど、均衡が崩れる瞬間ってのは独特の匂いがするものよ。……今のレオンは、完熟して今にも枝から落ちそうな果実そのものだわ」


ヴァレリアが、潤んだ瞳で自身の唇をなぞった。レオンが自分たちの熱い視線を「無視」したのは、関心がないからではない。そうしなければ、自分を保てないほどに追い詰められているからだ。その「耐えている男」の姿こそが、彼女たちの加虐心と愛欲をより一層激しく突き動かす。


「騎士の勘……いいえ、一人の女としての勘が告げているわ。あのお方の鋼の理性は、もう表面にヒビが入っている。あと一押し……ほんの少しのきっかけさえあれば、すべてが決壊するでしょう」


エルザが、高鳴る胸を抑えるようにして呟いた。百倍の魔力を帯びた彼女たちの情念は、もはや石牢の空気を物理的に歪ませ、濃密な「メスの匂い」としてレオンの鼻腔を執拗に攻め立てていた。


「私の計算によれば、あのお方の自制心が維持できる確率は、あと一時間も持たないわ。……ねえ、みんな。レオンが『姉貴分』なんていう言葉の盾を捨てて、私たちを貪ってくれる瞬間……想像するだけで、回路が焼き切れそうじゃない?」


ミレイユは頬を紅潮させ、魔導具を置いた。解析するまでもない。レオンの魔力溜まりは、彼女たちの情愛を吸い込みすぎて飽和状態にあり、内側から爆発せんばかりの熱を帯びている。


新入りのシオンもまた、その長身で肉感的な肢体をくねらせ、陶酔しきった表情で頷いた。

「救われた時に感じた、あの力強く温かい魔力……。あれが、理性を失って獣のように私を求めてくれたら……。ああ、もう待てないわ」


五人の乙女たちは、互いに目配せをした。そこにあるのは、もはや嫉妬を超えた、一人の王を堕落という名の至福へと導くための共犯関係だった。


あと一押し。

少しだけ大胆に肌を見せ、少しだけ熱く名前を呼び、少しだけその指先に触れるだけで。

自分たちを「姉」と呼び、律儀に守ってきたレオンの理性が、音を立てて崩れ落ちる瞬間を、彼女たちの淫猥な勘は確信していた。


レオンの魔力溜まりは、背後から忍び寄る五つの濃厚な情念と、限界を迎えた自身の本能を吸い込み、夜の静寂の中で、爆発寸前の火山のように熱く、深く、昏い輝きを増していた。




宿舎に戻るなり、レオンは心臓が口から飛び出しそうなほどの動悸を感じていた。背中を伝う五人の「メスの視線」は、もはや熱線のような物理的破壊力を持って彼の肌を焼いている。


(ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ! このままじゃ、俺の貞操が数分と持たずに霧散する!)


レオンは自室に飛び込むなり、授かったばかりの百倍の魔力を全開にした。古代の防護術式を幾重にも重ね、外部からの物理・魔力干渉を一切遮断する「鉄壁の多重結界」を展開する。それは、ドラゴンのブレスですら傷一つつかない、神域の引きこもりシェルターだった。


だが、五人の「姉貴分」たちの執念は、レオンの想像を絶していた。


最初に現れたのはセレスだった。

「レオン、夜風が冷えますわ……。結界の隙間から、少しだけ私の温もりを届けて差し上げます」

彼女は風魔法を極細の針のように凝縮し、結界の魔力回路の僅かな継ぎ目に差し込んできた。慈愛に満ちた声とは裏腹に、その魔力はレオンの理性を溶かすような、甘く淫猥な波動を帯びている。


次に、ヴァレリアが音もなく扉の前に立った。

「商売人は鍵の開け方を知っているものよ。……ねえレオン、この結界、私の『愛液(水魔法)』で内側からふやかしてあげましょうか?」

彼女は結界の境界線に特殊な浸透魔法を流し込み、物理的な障壁を内側から腐食させようと試みる。扉の向こうから漂う、完熟した果実のような濃厚なフェロモンが、結界の隙間を通ってレオンの鼻腔をくすぐった。


「レオン! 騎士の務めとして、貴方の『夜の守護』を全うしに来ました!」

三番目のエルザは、もはや策すら講じない。百倍に強化された身体能力を拳に込め、結界の共振点を正確に叩きつける。重厚な打撃音が響くたび、レオンの心臓は跳ね上がり、彼女の「猛々しい雌」としての熱気が結界を伝わって直に響いてくる。


「解析完了。……この結界の論理構造、私の情熱で書き換えてあげる」

ミレイユが魔導具をかざすと、結界の一部が虹色に輝き、レオンの意思とは無関係に「招き入れる」ための門へと変質し始めた。


そして、新入りのシオン。

「レオン様……貴方に授かったこの光、貴方の肌で直接感じたいの。死霊たちが、貴方を求めて私の体を震わせているわ……」

彼女は自らの肉感的な肢体を結界に押し付け、死霊術と光属性を融合させた未知の干渉で、レオンの精神に直接語りかけてきた。


(……くそっ! 全員、一人ずつ代わる代わる夜這いを仕掛けてきやがって! 結界が……俺の理性の砦が、メスたちの情念でミシミシ言ってる!)


レオンの魔力溜まりは、結界越しに迫る五つの濃厚な情愛と、今にも弾けそうな自身の自制心を吸い込み、限界突破寸前の熱量を持って夜の闇に白銀の火花を散らしていた。





結界の向こうから、五人の乙女たちによる「愛の波状攻撃」が絶え間なく続く。物理的な破壊音、魔力回路を侵食する甘い囁き、そして鼻腔を直接蹂ンプする濃厚な芳香。レオンはベッドの上で膝を抱え、文字通りガタガタと震えていた。


(ヤバイ……このままじゃ食われる。一対一ならまだしも、百倍の魔力を得た五人の『お姉さん』たちが交代で、しかも共謀して俺の理性を削りに来ている……!)


極限の恐怖と、それを上回るほどの「健全な男としての本能」がレオンの中で激しく衝突し、火花を散らす。結界にヒビが入るたび、彼の心臓は跳ね上がり、喉の奥がカラカラに乾いた。この状況を打破する方法はただ一つ。物理的な距離を無限に稼ぐことだ。


「転移魔法……そうだ、転移だ! 今この瞬間、ここじゃないどこかへ……!」


レオンは必死に魔力を練り上げた。これまで彼が手にしてきたあらゆる魔法――『魔力吸収』も『浄化弾』も、すべては強烈なイメージと「こうありたい」という切実な望みによって、驚くべき速さで習得してきたものばかりだ。


この「転移魔法」だけは、何があっても彼女たちに授けてはならない。もし彼女たちがこの力を手に入れれば、世界中のどこへ逃げようと、あるいはレオンが自室に鍵をかけようと、一瞬で枕元に「出現」されることになる。それはもはや、逃げ場のない永遠の包囲網を意味していた。


(イメージしろ……空間を折り畳み、座標を繋ぎ、一瞬で跳ぶ。目的地はどこでもいい、彼女たちの手が届かない、一人になれる静寂の場所へ……!)


レオンは額に脂汗を浮かべ、脳内に完璧な空間転移の術式を描き出そうとした。だが、異変が起きた。いつもなら魔力を通した瞬間にパズルのピースが埋まるように完成するはずの術式が、この日に限って全く兆しを見せないのだ。


(くそっ……どうしてだ!? なぜ繋がらない……!)


魔力は有り余っている。百倍の出力は、空間を切り裂くには十分すぎるほどだ。しかし、彼がどれほど「逃げたい」と願っても、足元の空間は微動だにせず、ただ熱を帯びるばかりだった。


その理由は、皮肉にも彼自身の本質にあった。魔法とは「望み」を具現化するもの。レオンの頭(理性)は全力で拒絶し、逃亡を叫んでいる。しかし、彼の魔力溜まりと、その奥底にある「雄」としての本能は、五人の美女たちから向けられる圧倒的なまでの熱狂的な情愛に、無意識のうちに応答してしまっていたのだ。


「レオン様……そんなに必死に魔力を高めて、何をしておいでですの? その高ぶり、私たちがすべて受け止めて差し上げますのに……」

結界越しに聞こえるセレスの慈愛に満ちた声が、彼の術式を甘く狂わせる。


「逃げる算段かしら? 無駄よレオン。貴方の魔力は、もう私たちの『愛』と混ざり合っているんだから」

ヴァレリアの言葉通り、結界を侵食する彼女たちの魔力が、レオンの展開しようとする空間座標をドロドロに溶かし、彼をこの場所に繋ぎ止めていた。


心のどこかで、彼女たちに「捕まりたい」と願っている自分がいる。

魔法は残酷なまでに正直だった。レオンが本気で彼女たちを拒絶できていないからこそ、空間を切り裂く刃は、愛着という名の重力に引かれて鈍く曇っていた。


「ヤバイ……ヤバイぞ……。魔法が、発動しない……っ!」


レオンの魔力溜まりは、逃亡を拒む自身の本能と、結界を今にも引き千切らんとする五人の情念を吸い込み、逃げ場のない密室内で、暴発寸前の超新星のように昏く、熱く、激しく脈動していた。


ついに結界の強度が限界を迎えました。ミレイユの解析によって「入り口」が作られ、五人の乙女たちが月明かりを背に、レオンの部屋へと足を踏み入れます。


「もう逃がしませんわ、レオン」





月明かりが差し込む寝室。ミレイユの解析によって「入り口」が開かれた結界の隙間から、五人の乙女たちが、逃げ場を失った獲物を慈しむ捕食者のような足取りで踏み込んできた。


充満する濃厚なフェロモンと、百倍の魔力がもたらす熱狂。レオンはベッドの端まで追い詰められ、ついに震える声で叫んだ。


「待ってくれ! ストップだ! お願いだ、一度冷静になってくれ!」


その必死な叫びに、五人の動きがピタリと止まる。レオンは顔を真っ赤に染め、額の汗を拭う余裕もないまま、これまで隠し通してきた「本当の自分」をさらけ出した。


「いいか、よく聞いてくれ……! 俺はあんたたちの前で、余裕のある主人のように、あるいは頼れる弟分のように振る舞ってきた。大人ぶって、冷徹なふりをしてきた。……でも、中身はただの、健全な十代の男子なんだ! それに……その、なんだ……経験だって、一度もない! 混じりっけなしの童貞なんだよ!」


沈黙が部屋を支配した。レオンは恥ずかしさのあまり爆発しそうな顔を両手で覆いながら、一気に言葉を畳み掛ける。


「あんたたちみたいな最高に綺麗で、しかも自分より年上の、大人の魅力全開のお姉さん五人に一気に来られて、正気でいられるわけがないだろ! 怖いんだよ! 嬉しいけど、それ以上に今の自分じゃ受け止めきれないんだ! 頼む、今日だけは勘弁してくれ! 日を改めてくれれば、ちゃんと……ちゃんと男として覚悟を決めるから! だから、今夜は、お願いだ……!」


レオンの決死の、そしてあまりにも年相応で純情な告白。

それを聞いた五人の瞳に宿ったのは、失望ではなく、それまでの狂熱を遥かに上回るほどの、狂おしいまでの「慈愛」と「独占欲」だった。


「……童貞。なんて、なんて愛らしい響きかしら」

セレスが頬を染め、恍惚とした表情で胸元を押さえた。自分たちが「最初の一人」を、いや、この純粋な少年そのものを奪い合うのだという事実に、彼女の『恋する乙女バースト』は未知の領域へと跳ね上がった。


「ふふ、大人ぶっていたのは、私たちに気圧されないための強がりだったのね。……ますます、食べちゃいたくなったわ」

ヴァレリアが潤んだ瞳を細め、舌先で唇をなぞる。


「レオン様……。そのような初心な覚悟、私がこの身ですべて優しく、丁寧に、手取り足取り……」

エルザが重騎士の冷静さを完全に失い、熱い吐息を漏らしながら一歩、また一歩と距離を詰める。ミレイユもシオンも、レオンのあまりの「可愛らしさ」に、もはや理性のタガが完全に外れていた。


「待て! 『覚悟する』って言っただろ! 今夜は無理だ! 倒れちゃうから、俺が死んじゃうから!」


レオンの必死の拒絶は、もはや五人の「メスの本能」に火を注ぐ油でしかなかった。彼の純情を知ってしまった彼女たちの情愛は、もはや物理的な質量を持って彼を押し潰し、包み込み、蕩かそうとしている。


レオンの魔力溜まりは、自分の正体をさらけ出した恥じらいと、逃げ場のない極限の状況、そして五人の乙女たちが放つ「究極の母性と愛欲」を吸い込み、爆発寸前の臨界点を超えて、白銀の光を放ちながら夜の静寂へと溶けていった。




部屋の温度は、彼女たちが放つ百倍の魔力と情念によって、呼吸すら困難なほどに熱を帯びていた。ベッドの端、背後には冷たい壁しかない場所で、レオンは震える拳を握りしめ、顔を上げて五人を真っ直ぐに見据えた。


その瞳には、先ほどまでの怯えや恥じらいではない、鋭く、そして悲痛なまでの決意が宿っていた。


「……いい加減にしてくれ。俺がこれだけ頼んでも、あんたたちが止めてくれないのなら……俺は、あんたたちを嫌いになる」


その一言は、荒れ狂う暴風雨を瞬時に凍りつかせるような、絶対的な零度の響きを持っていた。


「……えっ?」


最初に声を漏らしたのはセレスだった。レオンの腕に触れようと伸ばしかけていた彼女の指先が、空中でピタリと止まる。慈愛に満ちていたはずの彼女の表情が、一瞬で紙のように白く染まった。


「嫌いに……なる? レオン、今、なんて……」


ヴァレリアの顔からも余裕が消え失せた。商売人としての機転も、男を翻弄する妖艶な微笑も、その一言の前では何の役にも立たない。エルザは剣を持つのと同じくらい強く握りしめていた拳を震わせ、ミレイユは解析不能な「拒絶」という事実に言葉を失った。新入りのシオンも、授かったばかりの百倍の魔力が、恐怖で逆流するのを感じていた。


彼女たちにとって、レオンに嫌われるということは、死よりも恐ろしい結末だった。自分たちの存在意義、授かった力、捧げてきた忠誠――そのすべては、レオンという太陽に肯定されて初めて輝くものだからだ。


「あんたたちは、俺の大切な仲間だ。姉貴分として、心から信頼してる。……でも、俺の意思を無視して、力ずくで奪おうとするなら、それはもう仲間じゃない。ただの加害者だ。そんな奴らを、俺がこれまで通り愛せるわけがないだろ」


レオンの言葉は、五人の胸に深く、深く突き刺さった。彼女たちは、自分たちの「恋する乙女バースト」が、いつの間にかレオンの心を置き去りにした独りよがりの暴走になっていたことに、ようやく気づかされたのだ。


「……ごめんなさい。……ごめんなさい、レオン」


セレスがその場に膝をつき、顔を覆った。彼女の背中からは、先ほどまでの淫猥な熱気は消え失せ、代わりに深い後悔と、愛する者を傷つけたことへの絶望が滲み出していた。


「私たち……どうかしていたわ。貴方の純粋さに甘えて、自分たちの欲望を押し付けて……」

ヴァレリアが力なく壁に手をつき、俯く。他の三人も、まるで魔法が解けたかのように静まり返り、レオンに合わせる顔がないといった様子で立ち尽くした。


「……わかってくれたならいい。今夜はもう、一人にしてくれ。約束通り、日を改めて、俺もちゃんと心の準備をするから」


レオンの声には、まだ微かな震えが混じっていたが、そこには確かな「許し」の兆しも含まれていた。


五人の乙女たちは、一礼して、あるいは消え入りそうな声で謝罪を口にしながら、静かに、そして這うようにして部屋を去っていった。


レオンの魔力溜まりは、五人の情念が去った後の冷たい静寂と、危機を乗り越えた安堵、そして「嫌いになる」という嘘でも口にしたくない言葉を放ったことへの胸の痛みを取り込み、夜明け前の暗闇の中で、深く、孤独に脈動していた。





朝の光が差し込む食堂には、これまでにないほど重苦しい沈黙が流れていた。


テーブルに並んだ料理を前に、セレス、ヴァレリア、エルザ、ミレイユ、そしてシオンの五人は、昨夜の自分たちの暴走を恥じ入るように深くうつむき、手元を震わせている。彼女たちの「恋する乙女バースト」は、レオンに嫌われる恐怖から今にも消え入りそうなほどに沈んでいた。


レオンは湯気の立つスープを一口飲み、意を決して顔を上げた。そして、逃げることも目を逸らすこともせず、五人と真っ直ぐに向き合った。


「……みんな、昨夜のことはもういい。俺も言い過ぎた」


その第一声に、五人が弾かれたように顔を上げる。レオンは少し照れくさそうに頭を掻きながら、心の内にある本音を言葉にした。


「今回の教団の件、まだ終わってない。地下神殿や隠し砦……残党をすべて片付けて、この地に本当の平穏が戻ったら――その時、俺はあんたたち一人ひとりと、一人の男として真剣に向き合う。……だから、それまで待っててくれないか」


レオンの誠実な、そして「逃げ」ではない約束。

それを聞いた瞬間、五人の瞳に、絶望の淵から救い上げられたような輝きが戻った。


「レオン……。はい、お待ちいたしますわ。貴方が心から私たちを受け入れてくださるその日まで、私たちは貴方の完璧な盾となり、剣となり続けます」

セレスが瞳を潤ませながら、聖女のような微笑みを湛えて頷いた。


「真剣に向き合う……か。ふふ、最高の契約を交わした気分だわ。残党狩りなんて、瞬きする間に終わらせてあげる」

ヴァレリアがいつもの不敵さを取り戻し、しかしその頬を林檎のように赤らめて応じる。


「レオン様の覚悟、このエルザ、全身全霊でお受けする準備を整えておきます! 騎士の誓いにかけて、教団の塵一つ残しません!」

エルザが立ち上がり、気合の入った敬礼を送る。その内側では、将来への期待で魔力が熱く爆発していた。


「……期待値、最高記録更新。教団の拠点なんて、今の私たちの百倍の魔力があればただの計算ドリルよ。サクッと終わらせましょう、レオン」

ミレイユが魔導具のレンズを光らせ、データ以上の「愛」の出力を確信して微笑む。


「レオン様……。私、救われた恩も、授かった光も、すべて貴方への愛に変えて戦います。……決着の後の時間が、今から待ち遠しくて……」

シオンが長身の身体を少し身悶えさせ、その肉感的な肢体から再び、しかし今度は清らかな情熱が立ち昇った。


五人の「恋する乙女バースト」は、レオンの約束を糧にして、かつてないほど強固で、かつ美しい輝きを放ち始めた。彼女たちの間にあったトゲトゲした空気は消え、共通の目標へ向かう最強の「戦友」としての絆が再構成されていく。


レオンの魔力溜まりは、五人が捧げる純粋な期待と、自らが背負った「一人の男としての責任感」を吸い込み、決戦の地となる西の地下神殿へ向けて、どこまでも澄み渡る蒼い輝きを増していた。




朝食を終えたレオンは、清々しい朝日を背に受けながら、宿舎の前に並ぶ五人の乙女たちに力強く宣言した。


「よし、行こう。まずは西の海峡の地下神殿だ。そこを叩いて、教団の野望を根元から断ち切る」


レオンの言葉には、かつてないほどの迷いのない「覚悟」が宿っていた。それは教団を壊滅させるという義務感だけでなく、その戦いの先に待つ五人の乙女たちとの「真剣な対峙」に向けた、男としての決意表明でもあった。


その声に応えるように、五人の魔力が一斉に昂ぶる。百倍に跳ね上がった彼女たちの魔力は、もはや周囲の空間を陽炎のように揺らし、神々しいまでのオーラとなって立ち昇っていた。


「承知いたしました、レオン。西の海峡を覆う闇、私たちの光で一気に晴らして差し上げましょう」

セレスが風の精霊を束ね、一行を包み込む高速飛行の術式を展開する。


「地下神殿にお宝が眠っているなら、それもすべてレオンの軍資金にしてあげるわ。……さあ、商売敵を蹴散らすわよ!」

ヴァレリアが細剣の柄を叩き、不敵な笑みを浮かべる。


五人はレオンを中心に、空へと舞い上がった。百倍の魔力による飛行速度は音速を超え、眼下の景色が瞬く間に後方へと流れていく。西へと向かうその軌跡は、まるで五筋の流星が海を目指して駆けていくようだった。


数刻の後、一行の前に広大な西の海が見えてきた。荒れ狂う波が打ち付ける断崖絶壁。その海面下、深い暗礁の中に、教団の秘密拠点である「地下神殿」が隠されている。


「……いたわ。海流を操作して隠蔽された魔導障壁。でも、今の私の目からは逃げられない」

ミレイユが魔導具のレンズを調整し、海底に沈む巨大な建造物の座標を特定する。


「レオン、あそこですね。……皆、準備はよろしいか! 主の道を切り拓くのは、私たちの役目だ!」

エルザが重剣を抜き放ち、光属性の魔力を刀身に爆発させる。


「私の死霊騎士団も、海底で戦う準備はできています。……レオン様、貴方の決意を無駄にはさせません」

シオンが影から光り輝くデスナイトたちを呼び戻し、海底への突入態勢を整える。


レオンは五人の頼もしい背中を見つめ、自身の内に眠る魔力溜まりを深く、鋭く研ぎ澄ませた。


「行くぞ。……一気に神殿の核まで突き進む!」


レオンの号令とともに、五人の乙女たちは弾丸のように海面へと突っ込んだ。叩きつけられる波を百倍の魔力障壁で粉砕し、彼女たちは海中を切り裂いて地下神殿の入り口へと肉薄する。


レオンの魔力溜まりは、迫りくる決戦への高揚感と、背後に感じる五人の熱い情愛を吸い込み、海底の闇を白銀に塗り替えるほどの神々しい輝きを放ちながら、地下神殿の重厚な門を捉えていた。







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