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白銀の救世主(メシア)は、絶望の地を喰らい尽くす。 ~魔力適性ゼロの少年、死線で覚醒し、五人の女神と最強の略奪建国を開始する~  作者: 慈架太子


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第12章:断崖の絶望と白銀の夜明け

「代官、領主、私兵……一匹残らずだ。民を泥に沈めて私腹を肥やしたその肉、この国を再生させるための肥料に変えてやる」


レオンの凍てつくような宣告とともに、湿地帯を見下ろす高台に建つ代官の屋敷に、白銀の断罪が降り注いだ。


「な、なんだ貴様らは! 私は王都の公爵閣下と繋がりがあるのだぞ! 無礼者、出会え、出会えッ!」


贅肉を揺らして叫ぶ代官の前に、レオンは一瞬で踏み込んだ。抜刀の予備動作すら見せず、レオンの手刀が空気を切り裂く。真空の刃が代官の首を綺麗に断ち切り、その首が地面に落ちる前にシオンの影が獲物を捕らえる蛇のように伸び、代官の胴体ごと飲み込んだ。


「次だ。エルザ、私兵を掃討しろ。シオン、逃げようとする領主を影で縛り付けろ」


「はっ! 民の嘆きを知らぬ腐れ外道ども、我が聖剣の錆にしてくれる!」


エルザが突風のごとく屋敷の回廊を駆け抜ける。逃げ惑う私兵たちの首が、彼女の一閃ごとに次々と宙を舞う。血飛沫さえもレオンの展開した重力結界に吸い込まれ、石畳を汚すことはない。首と胴体は空中で仕分けられるようにレオンの『アイテムボックス』へと整然と収納されていく。


「ふふ、逃げられると思いましたか? 貴方たちが土に還した民の数だけ、その四肢を闇で引き千切って差し上げましょう」


シオンの影から無数の死霊の手が伸び、裏口から馬で逃走を図った領主を馬ごと地面に引きずり下ろした。恐怖に顔を歪め、命乞いをする領主の首を、シオンは慈悲の微笑みを浮かべながら影の鎌で刈り取った。首はアイテムボックスへ、馬はヴィクトール領の新たな家畜として別送される。


「ミレイユ、屋敷内の財宝をすべて回収しろ。……それから、この建物を解体して更地に戻せ。肥料にするための『素材』のリストアップはどうだ?」


「完了しているわ、レオン。代官とその側近、私兵を合わせて百二十二名。すべて『一級肥料候補』として収穫済みよ。屋敷に隠されていた隠し金庫の金貨、不当に徴収された穀物もすべてゲートを通じてヴィクトール領へ転送中……。この建物の資材も、民の家を建てるための石材として再利用するわ」


ミレイユが魔導レンズを光らせると、豪華な代官屋敷が構造単位で分解され始め、巨大な石材となって次々と虚空へ消えていった。数分前までそこに存在した「剥取の拠点」は、文字通り地図から消滅し、ただの平らな土だけが残された。


「よし、次の村と次のクズだ。……今日中にこの一帯のゴミをすべて回収し、肥料プラントをフル稼働させるぞ」


レオンの魔力溜まりは、断罪されたクズたちの最後の断末魔と、四人の乙女たちが放つ冷徹な執行の情愛、そして回収された「素材」が未来の豊穣へと変わる予感を吸い込み、夕闇の迫る大地を白銀の極光で塗り替えるほど、苛烈で美しい輝きを放ち続けていた。





「さらに遠方へ行くぞ。ミレイユ、次の汚染源……民を食い物にしている『巨大なゴミ』を特定しろ。距離は問わん、俺のゲートでどこへでも繋いでやる」


レオンの冷徹な声が響き、ミレイユの魔導レンズが過負荷に近い速度で演算を開始した。王都から離れれば離れるほど、中央の目が届かないことをいいことに、地方貴族たちの横暴は「領主」という名の暴君へと変貌している。


「特定したわ、レオン。北方の山岳地帯、鉄鉱石の産出を独占するドレイク伯爵領。あそこはもはや領地ではなく、民を家畜のように扱う『強制労働キャンプ』と化しているわ。平均寿命は二十代、反抗する者は生きたまま坑道に埋められている。……魔力反応は極めて不快、救出すべき民の数は約三万人」


「……よし。三万人分、全部肥料の出所をすり替えてやる。行くぞ」


転移ゲートが北の極寒の地へと開かれる。吹き付ける吹雪を、レオンの白銀の魔圧が瞬時に押し返した。目の前に広がるのは、痩せ細った民たちが泥にまみれ、鞭打たれながら重い鉱石を運ぶ、地獄のような光景だった。


「セレス、シオン! 民を影で包んで保護しろ! エルザ、見張り台と私兵の首を片っ端から刈れ! ミレイユ、坑道の崩落を防ぎつつ、中に閉じ込められている奴らを全員引きずり出せ!」


レオンの号令とともに、四人の乙女たちが北の大地に「死神」として降臨した。


セレスが聖なる光を雨のように降らせ、民の傷を癒やしながら、彼らを縛る重い鎖を霧のように消し去っていく。エルザは吹雪よりも速く戦場を駆け、民に鞭を振るっていた私兵たちの首を、その傲慢な表情を張り付かせたまま次々と跳ね飛ばした。


「ふふ、冷たい土の下に埋められる恐怖、貴方たちが一番よく知るべきですわ」

シオンが影の牢獄を展開し、豪奢な毛皮に包まって暖を取っていた伯爵の側近たちを、生きたまま闇へと引きずり込んでいく。彼らの首は一寸の狂いもなくレオンの『アイテムボックス』へと回収され、肥料プラントへの「特級素材」としてリストアップされた。


レオン自身は、伯爵が籠もる山頂の堅牢な要塞へと踏み込んだ。

「貴様、何者だ! この鉱山は王国の……!」

「王国の、何だ? 民を殺して掘り出した石に、何の価値がある。……あんたのその贅肉の方が、まだ肥料として役に立つぜ」


レオンが指を弾くと、百倍の重力が要塞ごと伯爵を押し潰した。断末魔を上げる暇もなく、伯爵とその親族、そして私欲に溺れた騎士たちの首が、重圧によって強制的に刈り取られる。レオンはそれらを事務的に回収し、巨大な要塞そのものを、ミレイユの魔法建築による分解プログラムで「新都市の建材」へと変換していった。


「……レオン、三万二千名の救出を完了。伯爵領の全資産、および『素材』の回収も終わったわ。……次は、さらに東の穀倉地帯を支配する強欲な子爵領ね」


「ああ、どんどん行くぞ。日が暮れるまでに、この国の地図から『クズ』の名前をすべて消し、代わりに『豊穣の土』を敷き詰めてやる」


レオンの魔力溜まりは、極寒の地で救われた民たちが流す熱い涙と、四人の乙女たちが放つ過激なまでの救済の情愛、そして回収された膨大な「素材」が未来の麦畑へと変わる予兆を吸い込み、北の夜空を白銀のオーロラで塗り替えるほど、苛烈で、美しく、そしてどこまでも誇り高い輝きを放ち続けていた。




「セレス、悪いが一旦ヴィクトール領へ戻ってくれ。救い出した三万人以上の民を全員送り込む。奥様方には、また炊き出しの準備を頼んでおいてくれ。お前はあっちで、彼ら全員が入れる集合住宅を即座に作り上げてほしい。……頼めるか?」


レオンの言葉に、セレスはどこまでも深く、慈愛に満ちた微笑みを浮かべて頷いた。


「もちろんでございます、レオン様。貴方様が救い、連れて帰る民を、寒さに震えさせるようなことはいたしません。私がこの手で、彼らの新しい『家』を、そして安息の地を築いて差し上げましょう」


セレスがレオンのゲートを通じてヴィクトール領へと先行し、白銀の光となって大地へ舞い降りる。彼女はレオンに負けず劣らずの魔力を大地へと注ぎ込み、聖なる土魔法を起動させた。


「聖なる土よ、レオン様が愛した民を包み込む揺り籠となりなさい。……グランド・アーキテクト!」


セレスが杖を地に突き立てると、ヴィクトール領の広大な空き地に、昨日建てた百棟に並ぶようにして、新たな集合住宅群が次々と大地からせり上がってきた。一棟に五百人、三万人分であればさらに六十棟。セレスはただ建物を建てるだけでなく、その壁の一つ一つに「癒やし」と「安眠」の術式を刻み込んでいく。


一方で、広場では領民の奥様方が、ミレイユの用意した最新のゴーレム調理器と格闘しながら、山のような肉と野菜を大鍋に放り込んでいた。


「さあ、あんたたち! レオン様がまた新しい仲間を連れてくるよ! 最高のスープで迎えてやんなきゃ、ヴィクトール領の女の名が廃るってもんだわ!」

「お肉は山ほどある! 味付けは昨日の倍、濃いめにしてやって! 飢えた体にはそれが一番なんだから!」


レオンが北方の鉱山から転送ゲートを繋ぐと、痩せ細り、絶望の色を瞳に宿していた三万人の民が、光の向こう側へと足を踏み出した。彼らを待ち受けていたのは、凍てつく鉱山の吹雪ではなく、芳醇な肉スープの香りと、自分たちを「仲間」として迎え入れる奥様方の威勢の良い声、そしてセレスが作り上げたばかりの、温かみのある石造りの住居だった。


「……暖かい。本当に、夢じゃないんだ……」

「ベッドがある……。泥の上じゃなくて、屋根のある場所で寝られるんだ……っ!」


泣き崩れる民たちの姿を見届けながら、レオンは再び東の空――次なる大掃除の現場を見据えた。


「セレス、奥様方、後は任せる。……残りの乙女たちは俺に続け。この国の隅々まで、ゴミ一つ残らないように掃き清めてやる」


レオンの魔力溜まりは、ヴィクトール領で再燃した五万人プラス三万人の生命の鼓動と、セレスが放つ献身的な救済の情愛、そして奥様方が振るうお玉の音を吸い込み、夕闇の空を白銀の夜明けのように照らし出す、どこまでも力強く、気高い輝きを放ち続けていた。





「ミレイユ、次はどこだ。一番腐っていて、一番民が泣いている場所を教えろ」


レオンの問いかけに、ミレイユは空中に展開した数百の魔導ウィンドウを高速でスクロールさせた。彼女の瞳には、大陸全土から吸い上げられた非道な統治のログが、冷徹なデータとして流れ続けている。


「……特定したわ、レオン。東の穀倉地帯を支配する『フェルナン子爵領』。ここはかつて王都の台所と呼ばれた豊かな土地だったけれど、今は地獄ね。子爵は教団の過激派と結託して、収穫物の九割を『聖域への寄進』として強制徴収しているわ。拒む者は『不信心者』として生きたまま広場で火にかけられる。……今この瞬間も、次の『儀式』のために十数名の農民が杭に縛り付けられているわ」


ミレイユが提示した映像には、黄金色の稲穂が広がる美しい景色の真ん中で、黒煙を上げる処刑台と、それを囲んで笑う贅肉のついた役人たちの姿が映し出されていた。


「教団と結託して、神の名で民を焼くか。……全くだ、肥料にするにも汚らわしい連中だぜ。座標を固定しろ。一秒で跳ぶぞ」


「了解。フェルナン子爵邸、および中央広場を同時ロックオン。……転移ゲート、展開オープン!」


白銀の光が視界を塗り替えた。次の瞬間、レオンたちが降り立ったのは、まさに火が放たれようとしていた処刑広場のど真ん中だった。


「な、なんだ貴様らは! 神聖なる儀式の邪魔をするとは、呪われ……」


「呪われるのは、神の名を騙るお前たちのほうだ」


レオンが指を弾くと、広場に展開していた百倍の重力が、火をつけようとしていた兵士たちと、高見の見物を決め込んでいた子爵の側近たちを、一瞬で石畳に叩きつけた。エルザが疾風のごとく駆け、杭に縛られていた農民たちの縄を、その首を傷つけることなく一瞬ですべて断ち切る。


「シオン、ここのゴミ共を影で包め。首を刈った後は、その教団の『聖域』とやらにも、肥料の原料を届けに行ってやる。……ミレイユ、倉庫にある穀物をすべて解放しろ。ヴィクトール領へ送るんじゃない。まずは、ここの飢えた民にすべて返してやれ」


「了解したわ、レオン。……蔵の封印を魔導ハッキングで解除。……穀物、および没収された全資産の解放を開始するわ。……子爵の屋敷内に潜んでいた私兵部隊も、私の追尾レーザーで無力化デリート済みよ」


シオンは影から無数の鎌を伸ばし、地面を這いずる子爵の首を、まるで雑草を刈るような手際で収穫していった。

「ふふ、神に捧げる炎よりも、私の影の方がずっと静かで心地よいでしょう? ……さあ、肥料になりなさい」


レオンは、震えながら立ち上がる農民たちを見渡し、その中心に巨大な食料の山を現出させた。

「食え。これは元々あんたたちのものだ。……今日から、この土地に神も王もいらん。俺がお前たちの命を保証してやる」


レオンの魔力溜まりは、救われた農民たちの魂の震えと、四人の乙女たちが放つ冷徹な執行の情愛、そして王都の腐った教団さえも飲み込もうとする破壊的な白銀の輝きを放ち、東の豊かな大地を、真の「聖域」へと塗り替えようとしていた。




「神の名を騙り、民の命を薪にした罪、その肉体をもって大地に贖わせる。ミレイユ、教団の本山の座標を出せ。軍も、兵も、祈祷を捧げている司祭共も……一人の例外もなく、すべてを『素材』として回収する」


レオンの冷徹な一言が、東の空を切り裂いた。ミレイユの索敵によって捕捉された教団本山「聖光の揺籃」は、黄金と白石で飾られた傲慢な要塞だったが、レオンにとってはただの「回収対象」に過ぎなかった。


「ミレイユ、座標を固定しろ。一秒で終わらせる」


「了解したわ、レオン。……対象、全員ロックオン。転移ゲート、展開」


白銀の閃光とともに、レオンたちは大聖堂の玉座の間へと直接降り立った。

「何者だ! ここをどこだと……」

教皇が叫び終えるより早く、レオンが指を弾いた。百倍の重力が大聖堂を襲い、武装僧兵三千と司祭たちの首が、重圧によって強制的に刈り取られる。血飛沫が床を汚す暇もなく、レオンはアイテムボックスの入り口を空間全体に展開した。


三千の僧兵、司祭、そして教皇の死体と首が、吸い込まれるようにアイテムボックスへと収納されていく。


「エルザ、残った抵抗勢力を片付けろ。シオン、逃げ出した奴らの首を回収しろ。……ミレイユ、この建物と地下の金銀財宝、食料をすべてアイテムボックスに叩き込め」


「御意! 民を焼いた不届き者共、一人として逃しません!」

エルザが聖剣を閃かせ、回廊を走る僧兵の首を次々と撥ね飛ばす。

「ふふ……神に祈る間もなく、私の影で永遠の静寂を。……首の回収、完了しましたわ」

シオンが影の鎌を振るうたび、逃げ惑う司祭たちの首が宙を舞い、そのままレオンのアイテムボックスへと消えていく。


ミレイユは魔導レンズを最大出力で作動させ、巨大な大聖堂そのものを構造分解した。

「……教団の全資産、および石材、木材の回収率百パーセント。……すべてレオンのアイテムボックスへの格納を確認したわ」


数分前まで東の山嶺にそびえ立っていた白亜の聖堂は、跡形もなく消滅した。そこにはただ、えぐり取られたような平らな土だけが残り、数千の命と莫大な富はすべてレオンの手の中に収まった。


レオンの魔力溜まりは、偽りの聖域を飲み込んだ虚無感と、四人の乙女たちが放つ冷徹な忠誠、そしてアイテムボックスに蓄積された膨大な「素材」の重みを吸い込み、夜明けの空を白銀に染め上げるほど、圧倒的で苛烈な輝きを放ち続けていた。




「次だ。ミレイユ、この国で最後に残った『大きなゴミ』を吐き出せ」


レオンの冷徹な声が、教団本山が消滅した更地に響いた。ミレイユは即座に空中へ魔導ウィンドウを展開し、王国の西側に広がる湾岸地帯へと焦点を合わせた。


「捕捉したわ、レオン。西の要衝『バルガス侯爵領』。ここは王国の物流を牛耳る港湾都市だけど、実態は最悪ね。侯爵は海賊と結託して、逆らう商人を海へ沈め、若い民を異国へ奴隷として売り飛ばしている。……今まさに、港の秘密倉庫で百名近い少女たちが、奴隷船への積み込みを待たされているわ」


ミレイユの提示した座標には、きらびやかな貴族の館とは対照的に、鎖で繋がれ、絶望に瞳を濁らせた民たちの姿があった。


「海賊と組んで同胞を売るか。……地獄へ行く前に、せめて俺のアイテムボックスの中で一つになってもらうぜ。跳ぶぞ」


白銀の閃光が弾け、次の瞬間、レオンたちは海風の吹き抜けるバルガス侯爵の私有港へと降り立った。


「な、なんだ貴様らは! ここは侯爵閣下の私有地だぞ!」


威嚇射撃をしようとした私兵の銃身を、レオンは一歩も動かずに重力魔法でひしゃげさせた。そのまま指を弾けば、周囲にいた私兵五十名の首が、まるで目に見えない刃に刈られたように一斉に宙を舞う。血が噴き出す暇もなく、レオンはアイテムボックスを開き、その首と胴体を瞬時に回収した。


「エルザ、倉庫の民を解放しろ。シオン、侯爵の屋敷へ向かう奴は全員刈れ。……ミレイユ、停泊している海賊船と奴隷船、それから侯爵の屋敷にある全財産をアイテムボックスに叩き込め」


「承知いたしました! 弱き者を売る外道ども、我が聖剣が断罪いたします!」

エルザが石畳を蹴り、驚愕に固まる海賊たちの間を風となって駆け抜ける。一閃ごとに賊の首が飛び、その死体は地面に転がる前に次元の隙間へと吸い込まれていく。


「ふふ、冷たい海の底に沈むよりも、私の影の方がずっと暗くて安心できますわよ……」

シオンが影の奔流を港全体に広げると、屋敷から逃げ出そうとした侯爵と、その愛人、汚職に手を染めた役人たちの影が鎌となって、彼らの首を無慈悲に刈り取った。首と胴体は空中で選別され、レオンの四次元空間へと直納される。


ミレイユは上空から港全体をスキャンし、侯爵の豪華な屋敷と、接岸していた巨大な船三隻を構造分解した。

「……バルガス侯爵、および関係者百八十名の回収完了。……海賊船二隻、奴隷船一隻、侯爵邸の全資材、および地下金庫の財宝、すべてアイテムボックスへの格納を確認したわ」


数分前まで王国の富を独占していた港湾都市の象徴は、跡形もなく消え去った。そこにはただ、潮騒だけが虚しく響く平らな岸壁が残り、数千の命を弄んだ者たちはすべてレオンの手の中で「素材」へと成り下がった。


レオンの魔力溜まりは、解放された少女たちが流す安堵の涙と、四人の乙女たちが放つ冷徹な執行の情愛、そしてアイテムボックスに詰め込まれた膨大な「素材」の重みを吸い込み、西の海を白銀の夜明けで塗り潰すほど、圧倒的で苛烈な輝きを放ち続けていた。




「ミレイユ、最後だ。この国にまだこびりついている、目に見えない『最大のゴミ』を教えろ。土地も、肩書きも、すべてを奪い尽くして肥料にしてやる」


レオンの冷徹な問いに、ミレイユは最後の広域索敵ウィンドウを全開にした。彼女の瞳には、かつて「王国」と呼ばれた場所の全データが流れ込み、未だに腐敗の火種を残している場所をあぶり出していく。


「……捕捉したわ、レオン。王都の地下、かつて暗部と呼ばれた暗殺ギルドの巣窟。そして、それと繋がっていた最後の守旧派貴族たちの秘密会合場所よ。彼らは、貴方が不在の隙に王都を奪還し、再び民を奴隷として支配するための再編計画を練っているわ。……場所は王都北部の旧式地下大霊廟。数は貴族が十二名、暗部の構成員が三百。……彼らが手にしているのは、禁忌とされた古の呪道具ね」


「地下でネズミが再起を夢見てるか。……寝言はアイテムボックスの中で聞かせてもらおう。座標を固定しろ」


「了解。王都地下、大霊廟最深部。空間座標、固定ロック。……転移ゲート、展開!」


白銀の閃光が地下の静寂を切り裂いた。次の瞬間、レオンたちはカビ臭い地下霊廟の、黄金の燭台で飾られた密会室へと降り立った。


「なっ、何者だ! ここは聖域……!」

豪華な椅子に座っていた老貴族が、驚愕で顔を歪める。だが、レオンは一歩踏み込むだけで、地下空間全体に『五百倍の重力』を叩きつけた。石造りの円柱がひしゃげ、暗殺者たちの脊髄が砕ける音が響く。


掃除クリーニングだ。エルザ、暗部を。シオン、逃げる隙を与えるな。……ミレイユ、この霊廟にある歴史的価値のある資材も、奴らの呪道具も、金塊も、すべてアイテムボックスに叩き込め」


「御意! 影に隠れて悪巧みをする鼠共、我が聖剣がその首、刈り取らせていただきます!」

エルザが地下の暗闇を白銀の軌跡で切り裂く。暗殺者たちが反応する前に、その首は次々と撥ね飛ばされ、血飛沫が床を汚す前に次元の裂け目へと消えていく。


「ふふ、暗闇に住む者には、私の影が最もお似合いでしょう? ……さあ、肥料になりなさい」

シオンが影の鎌を振るうたび、逃げ場を失った老貴族たちの首が宙を舞い、そのままレオンの四次元空間へと直納される。首と胴体は空中で完璧に仕分けられ、アイテムボックスの在庫リストへと追加されていった。


ミレイユは指先一つで地下霊廟の構造を解析し、巨大な石壁や黄金の装飾品、そして地下に隠されていた莫大な軍資金をすべて分解・回収していく。

「……貴族十二名、暗殺者三百名の回収完了。……禁忌の呪道具、および隠し資産の格納率百パーセント。……レオン、この場所はもう、ただの空洞よ」


数分前まで王都の再興を企んでいた「王国の亡霊」たちは、文字通り跡形もなく消え去った。数千年の歴史を持つ霊廟さえも建材として回収され、レオンの手の中で未来の建材へと成り下がった。


レオンの魔力溜まりは、王都の地下から完全に「闇」が消えた清々しさと、四人の乙女たちが放つ冷徹な執行の情愛、そしてアイテムボックスに詰め込まれた「最後のゴミ」たちの重みを吸い込み、地下の闇を白銀の極光で塗り替えるほど、圧倒的で苛烈な輝きを放ち続けていた。





「……全セクターの掃討、および回収プロセスの最終確認を完了したわ、レオン」


ミレイユは空中に展開していた数百の魔導ウィンドウを、指先一つで中央へ収束させた。彼女の瞳の奥で、膨大なログが超高速でスクロールされ、王国の全土図が白銀の光で塗り潰されていく。


「王都の地下霊廟、北方の鉱山、東の穀倉地帯、そして西の湾岸都市。……さらには、名もなき村々に寄生していた末端の徴税人や汚職役人に至るまで、私の魔導索敵センサーが捉えた『ゴミ』は一匹残らず処理済みよ。アイテムボックス内の生体ログと、王国の戸籍・役職データを照合……不一致はゼロ。文字通り、この国から腐敗した特権階級と、その私兵、教団の毒素は完全に消失したわ」


ミレイユは満足げにレンズをカチリと鳴らし、最後の一枚のウィンドウをレオンに提示した。


「ヌケ漏れはない。……いえ、正確に言えば、あえて『放置』した唯一の個体を除いてね。王城の玉座に座り、民も、家臣も、財産も、守るべき歴史さえもすべて貴方に没収されたことに気づかず、震えている『裸の国王』。彼一人を、空っぽになった王都の象徴として残してあるわ。……これですべてのクリーニングは完了よ、レオン」


レオンは、眼下に広がる静まり返った王都の街並みを見下ろした。

昨夜まで渦巻いていた怨嗟の声も、腐った権力者たちの高笑いも、今はもうどこにもない。聞こえるのは、風の音と、レオンの背後に控える乙女たちの静かな呼吸だけだ。


「……そうか。よくやった、ミレイユ。お前のおかげで、この国から無駄な肉が削ぎ落とされたな」


「レオン様……。これでようやく、貴方様が描く『真に清浄な世界』の土台が整いましたわね」

セレスが慈愛に満ちた瞳でレオンを見つめ、シオンは影を収束させて静かに微笑む。

「ふふ、アイテムボックスの中は、かつてないほどの『素材』で溢れていますわ。……明日からのヴィクトール領の豊穣が楽しみですこと」


エルザは聖剣を鞘に納め、誇らしげに胸を張った。

「悪徳を断ち、未来を救う。レオン様、我ら乙女一同、次なる御命ごめいをいつでも受ける準備はできております!」


レオンの魔力溜まりは、王国全土から「害悪」が消え去った圧倒的な静寂と、四人の乙女たちが捧げる極限の情愛、そしてアイテムボックスに詰め込まれた数万の首と死体が放つ「未来の糧」への期待を吸い込み、夜の帳が下りる世界を、どこまでも透き通った、美しく苛烈な白銀の輝きで包み込んでいた。





「王都はほっとけ。あんな空っぽの石の塊に用はない。ミレイユ、それよりもまだどこかに、俺たちの助けを待っている小さい村はないか。地図に載らないような僻地や、クズ貴族に見捨てられた限界集落だ。一秒でも早く見つけ出せ」


レオンの言葉に、ミレイユは即座に魔導索敵を全開にした。ヴィクトール領で大規模な建設に当たっているセレスを欠いた状態だが、ミレイユの演算能力に支障はない。


「捕捉したわ、レオン。王都から遥か東、断崖絶壁に囲まれた『忘れられた谷』。地滑りで道が塞がり、冬の魔物に包囲されているわ。村人たちは餓死寸前、魔力反応も消えかけている」


「よし。座標を固定しろ。一秒でも遅れれば、そこのガキが一人死ぬ。跳ぶぞ」


転移ゲートが吹雪の舞う断崖の里へと開かれた。レオン、ミレイユ、シオン、エルザの四人が、絶望に沈む村の中央へと降り立つ。


「シオン、影で村全体を覆って風を遮れ! ミレイユ、地滑りの土砂を消し飛ばして道を確保しつつ、村の全域に防壁を結界で張れ。エルザ、周囲の魔物を一匹残らず刈ってこい。……こいつらの獲物はアイテムボックスにはいらん、その場で解体して民の肉にする」


「了解したわ。……土砂の分解、および防衛結界の展開を完了。……これで外敵も寒気も入ってこれないわ」

ミレイユが魔導デバイスを操作し、村を不可視の壁で保護する。


「ふふ、凍える命を影で温めてあげましょう。……魔物たちの首は、私が責任を持って刈り取り、新鮮なうちに解体いたしますわ」

シオンが影の奔流を放ち、村を囲んでいた魔物たちの首を次々と撥ねていく。その死体はエルザの聖剣によって瞬時に捌かれ、食料へと変えられた。


「エルザ、ここに暖を取れる村人全員が住める集合住宅を作ってくれ。お前の魔力で頑強なものを用意しろ。ミレイユ、暖を取れる魔道具を必要数、今すぐ村人に配れ」


「承知いたしました! レオン様、このエルザ、騎士の誇りにかけて民の盾となる家を築いてみせます!」

エルザが聖剣を地に突き立て、全魔力を大地へと注ぎ込む。彼女の剛力と魔力によって、断崖の岩肌が形を変え、風を完全に遮断する堅牢な石造りの集合住宅が、村人全員を収容できる規模で次々と隆起していった。


「はい、レオン様。魔導ヒーターの配備を開始するわ。……これで室内温度は常に一定に保たれる。凍死の心配はもうないわ」

ミレイユが小型の魔導炉を次々と取り出し、集まってきた村人たちの手に渡していく。温かな熱が広がり、凍えていた子供たちの頬に赤みが差した。


レオンは広場に、アイテムボックスから取り出した最高級の小麦と干し肉を山積みにした。

「食え。もう何も怖がる必要はない。……俺が来たからには、ここが世界で一番安全な場所だ」


レオンの魔力溜まりは、極寒の谷に灯った小さな「生」の炎と、残された乙女たちが放つ冷徹かつ献身的な情愛を吸い込み、暗い谷底を白銀の夜明けで塗り替えるほど、力強く輝いていた。







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