1
私って、いつもそう。
眠たい国語の授業中。窓の外を眺めながらふと思う。
頭の中には、さっきのあの失敗。
「ねえ花梨ちゃん、いつも一人で何してるの?」
休み時間、誰とも話さず一人でぼーっとしている私に話しかけてくれたのは、同じクラスの前田めぐみさんと小島怜奈さんだった。
私が月なら彼女達は太陽。何もかも正反対の存在だった。
「いやっ、と、特に何も……考え事、してた」
どもりながら答える。
「あ、そうなんだ! ごめんねお邪魔して」
どこか憐れみのような表情を浮かべながらそう言った後、二人は去っていった。
また……だめだった。
つまらなかったのかな。気持ち悪かったのかな。嫌われちゃったかな。
そんなことばかり考える日々。本当は寂しくてたまらないのに。
自分の本音が、言えない。
「じゃあ、酒井。ここの答え言ってみろ」
差されてしまった。5択の選択問題だ。
きっとこれだろう。答えは決まっている。
ただ……間違えたら、どうしよう。先生には呆れられ、クラスメイトには憐れまれ、可哀想な子だと思われる。
もしくは、こんな問題も解けないのか、とバカにされ、静かな上に頭も悪い子だと思われる。
言えない。答えられない。
「わ、わかりません……」
「おぉ、そうか」
先生は一瞬戸惑いの表情を浮かべたが、追及してくることはなかった。
「じゃあ、田中」
「はい! 3です」
「そうだな、正解だ。じゃあ解説していくぞ」
3か……合ってたのに。
田中さん、すごいな、自信満々。羨ましい。
無意識にため息が出る。
私って、いつもそう。