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映画



「あそこの人カッコよくない!」



「行っちゃう!?」



「やっちゃう!?」



「誰か待ってるのかな?」



 待ち合わせ場所に向かうと1人の男を女性たちが遠巻きに囲っていた。



 もちろん囲われている男は北川で……



 どうしよう?

 今すぐこの場を離れたい…



 でも……



「茜センパイ」



 もう目が合ってしまった。



「ごめん、待った?」



 北川が私に話しかけると一斉に周りの女性がこっちを見た……普通に怖い。



「全然、行こうぜ」



 何で私が北川と待ち合わせをしているのかと言えば2人で映画を見に行くからだ。

 どうやらバスケ部の先輩が彼女と映画を見る予定だったのだが、その彼女にフラれてチケットが余ったらしい。



 それを貰った北川が私を誘ってくれた。



 家が隣なのに何故現地集合なのかといえば、午前中は北川に予定が入っていたからだ。



 さっそく映画館が入っているショッピングモールに向かう。



「あんたは何か買う?」



「ポップコーン。センパイは?」



「特に買いたいものはないかな。私はここで待ってるから買ってきちゃいなさい」



 私はお腹も空いてないし何も買わなくてもいいかな。

 映画館って飲み物も食べ物も値段が高い。スーパーで買えばペットボトル1本で100円もしないのにSサイズで300円以上もする。



 まぁ、そんな雰囲気ぶち壊しな事は口に出さないけど。

 それに私も映画を見ながら飲み食いしたい気分の時は買うし。



「それ、なに味なの?」



 北川がポップコーンを買って戻って来た。相変わらず映画館のポップコーンは大きく見える。



「チョコレートキャラメル。センパイも食べる?」



 私は昔からポップコーンが得意ではない。だから、北川に申し訳ないけど遠慮させてもらった。

 


 映画の上映時刻より5分前に中に入る。とはいえ、最初は他の映画の宣伝をやるから、どうせ本編が始まるのは10分以上あとだ。

 


 正直に言えばこの時間は無くなってほしいと個人的には思っている。

 劇場内が暗くなければもっと遅く入場するのに…暗いと席を探すのがめんどくさい。




 映画が始まった。ストーリーは御曹司とJKの恋愛物らしい。御曹司タクミが高熱で倒れているところをヒロインの理沙が助けるところから話しは始まる。



 よく考えると北川は恋愛映画に興味があるのだろうか?



 気になって横を向いてみると真顔でポップコーンを食べていた…

 楽しんでるのか楽しんでいないのかよく分からない奴だ。



「終わった」



 最後はヒロインと御曹司が結ばれてハッピーエンドという形で映画は終了した。










「で、アンタはあの映画楽しかったの?」



 映画を見終わったあとは2人でファミレスに来ている。



 お昼を食べていなかったから、だんだんとお腹が空いてきていた。私はアラビアータ、北川はステーキのセットメニューを頼んだ。



「ぼちぼち」



 なんだそれは……結局楽しかったのかどうか分からないじゃない。

 まあ、別にどちらでも無かったってだけか。



「茜センパイは?」



「面白かったわよ」



 ヒロインに振り回される俺様な御曹司とか見ていて飽きなかった。

 特に御曹司がヒロインにケツバットで叩かれているシーンとか面白かった。



「でも、御曹司のタクミも自分の武器が全く通用しないヒロインを相手にめげずアピールを続けるんだから度胸があるわよね」



「センパイはああいう男がタイプなの?」



「タイプじゃないわね」



 流石に俺様な男と付き合おうとは思わないかな。

 というか、ドラマや漫画に出てくるような俺様な男って実在するのかな?



「じゃあセンパイはどんな男がタイプなの」



「タイプの男?」



 うーん?

 私はどんな男がタイプなんだろ?



「というか、アンタに話す必要ないわよね」



「ちなみに俺は…センパイみたいな子がタイプ」



「は!? 急に何言ってるのよ…」



「センパイは俺みたいなのタイプ?」



「ぜ、全然タイプじゃないわよ!」



「ふーん」



「アンタねぇ! 私を揶揄って楽しい!?」



「お待たせしましたー!」



 このタイミングで店員のお姉さんが料理を届けに来てくれた。

 なんだか変な雰囲気になりそうだったから助かった。



 


 昼食を食べ終えて、雑談をしていたらいつの間に時間が経っていた。

 いい時間になったのでファミレスを出て帰路に着く。



「今日は誘ってくれてありがとう」



 自分の家に帰ってきた私は部屋に入るまえに北川に感謝を伝える。



「うん」



「あ、あと…」



「?」



「今日は楽しかった、また誘って」



「俺も楽しかった」



「じゃ…じゃあね」

  


 そう言ってドアの鍵を開け始める。そんな私の後ろから北川は



「揶揄ってない…俺は本気だよ」



 と耳元で囁いた。



 慌てた私はすぐさまドアを開けて部屋の中に入る。



「び、ビックリ…した…」



 あの男は何してくれてんのよ…!

 心臓のバクバクが治らないじゃない……



 

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