リレー小説1
だれ…?
私の隣の部屋……そこに住んでいるのは北川で…
え?
あの男……私に告白しておいて他の女を家に招いてるなんてどんな神経してんの…
しかも…合鍵まで渡してるみたいだし…
いや、落ち着け私。もしかしたら普通に家族とかかもしれないし。
昨日「あの女は誰だったの」とロインで聞こうかとも思ったけど……それを聞いたらなんだか負けた気がするから辞めた。
でも、聞かなかったら聞かなかったでモヤモヤする。
うぅ〜……昨日の女性が誰か気になってしょうがない。
結局、謎の美女の存在にヤキモキしながらも学校に向かった。
・・・
放課後。
今日は文芸部に来ている。
「リレー小説をやらない?」
私が来てそうそうに佐藤がそんなことを言いだした。
「リレー小説?」
そう聞き返すのは我らが文芸部部長の月城夜空。
「あたしは面白そうだからいいけど」
佐藤の提案に乗っかったのが同じく3年の澤村瑞樹。
「それでなんなのだリレー小説とは?」
夜空の質問に佐藤が答えていく。
「みんなで順番に小説を書いていくんだ。前の人が書いた内容を次の人が続けて書いていくんだ」
「私もやってみたいです」
「じゃあ僕も」
佐藤の説明を聞いて橋本美波、最上るなの2年生コンビも乗り気だ。
「生田さんはどう?」
「面白そうだしいいんじゃない。いかにも文芸部みたいな活動だし」
「それなら試しにやってみるか」
「そしたら1人当たりの文字数はどうする?」
「適当に300文字前後で適当にやればいいんじゃないか?」
「あたしもそれでいいと思うわ」
「そしたら…順番はどうするの?」
「じゃんけんで決めましょう!」
「じゃあ、それでいこう」
じゃんけんをした結果、順番は以下の通りになった。
1番 橋本美波
2番 澤村瑞樹
3番 佐藤隆太
4番 生田茜
5番 最上るな
6番 月城夜空
瑞樹が部室に持ち込んだパソコンのワープロソフトを立ち上げる。
そうして私たち文芸部のリレー小説が始まった。
[橋本美波パート]
私の名前は佐々木楓。25歳のどこにでもいるOLだ。
まさか、そんな私が大手T社理事長の孫であるタツルとお見合いすることになるとは…
私なんかが御曹司と釣り合うわけがない。適当に喋ってとっとと帰ろう……
恋愛物なのかな?
少女漫画が好きな美波ちゃんらしい。
なんなのあの男!
私のこと庶民だって見下して!
ムカつくから生卵を顔面にぶつけてやったわ!
これでお見合いも台無しね。本当は理想の王子様と逢えるかもと少しだけ期待してたんだけどね。
「待て!」
「な、何よ!」
「お前……おもしれー女だな。俺様が付き合ってやるよ」
「何で顔面に生卵をぶつけられてヒロインを好きになるのだ? この男はとんでもない変態なのか……?」
我らが部長は意味が分からないという表情で呟いている。
「そういうのは同性の方が分かるんじゃない。私には全く分からない感情だけど」
私がそう言うと佐藤が慌てて否定をしてきた。
「僕にだって分からないよ!!」
「見てよ夜空、これだけ慌ててるってことは佐藤も生卵をぶつけられたいのよ」
「そうか……」
「何その哀れみの目! 本当に僕にはそんな趣味はないからね夜空!」
「あぁ……人の趣味は自由だ。ど…どうしようも無くなったら…わ…私に…言えよ」
「何を!」
「ウチの部から犯罪者を出すわけにはいかないだろう…私…が…頑張るから…」
恥ずかしそうに言う夜空。好きな相手の為ならどんなプレイにも答えたいということなのだろう。
「あ、アタシも頑張るわ!」
同じく恋する乙女の瑞樹が夜空に負けじと宣言する。
「だから僕にそんな趣味はないから!」
「さっきから酷くないですか先輩方! これはモテる男が初めて異性に好意以外の感情を向けられたから興味を持ったということなんです」
いくらなんでも生卵をぶつけられたら興味以上に怒りがくると思うけどな。
そんなこんなで次は瑞樹の番だ。この展開からどうやって物語を作るのか楽しみだ。
[澤村瑞樹パート]
そんなこんなで2人は交際を続けた。そして楓は自分の秘密をついに打ち明ける。
「実は男なの」
「なに!?」
「だからあなたとは付き合えない!」
走り去ろうとする楓。
「待て!」
その腕を掴むタツル。
「性別なんて関係ない!! 俺が好きなのはお前なんだ楓!」
「タツルさん!!」
こうして夜の街に消えていった2人は末永く幸せに過ごしました。
「何でそうなるの!! 私の冴えないOLとイケメン御曹司のラブロマンスがBLになっちゃった!」
嘆く美波ちゃん。でも、瑞樹は年季の入った腐女子だからこうなるような気もしたけど。
次は佐藤の番だ。




