告白
「ねぇ、今日一緒に帰ってた男は誰?」
耳元から聞こえる無駄に色気のある声。壁に片手をついて私に迫ってくる北川……
どうしてこうなった⁇
気が付いたら玄関でヤツに壁ドンされていたんだが…
インターホンがなってカメラに映る北川を見た時は出るかどうか悩んだけど……まさか玄関を開けて直ぐにこうなるとは思わなかった。
「べ、別にアンタには関係ないでしょ」
「ふーん」
「ちょっと! 止めて!」
どさくさに紛れてキスしようとする北川を手で止める。
「とゆーか! そういうことするの止めて!!」
「そういうことって?」
こ、コイツ…
言わなくて分かるでしょうが…
「き、キスとか……」
「なんで?」
「あ、当たり前でしょ! あ…アンタにとっては遊びかもしれないけど……私は…あれがファーストキスだったんだから…」
なんで私はこんな恥ずかしいことを暴露してるんだろう。
「初めてだったんだ」
なぜか嬉しそうにそう言う北川……私のことをバカにしてるのかコイツ!
「悪かったわね経験が少なくて!」
「いや……最高」
「は!?」
やっぱりバカにしてるのかコイツ!
そんなに私に男性経験が無いのが嬉しいのかこの男…自分が百戦錬磨だからって上から見下ろしやがって!
「遊びじゃないよ」
いつになく真剣な表情になる北川。
「え?」
「俺は茜センパイのこと好きだよ。俺と付き合って」
「つ、付き合うってどこに…っ」
あれ?
私いまコイツに告白された?
いやいや…そんなわけないよね。
「…どことかじゃなくて恋愛的な意味で俺と付き合って?」
だ、だから耳元で囁くな!
え? 本当に私のことを好きなの?
確かにその可能性も思い浮かんだけども……そんなわけないかって勝手に切り捨ててた。
「え、えーと…」
どうしよう。
こうゆう時はどうしたらいいんだ……私はどうしたいんだ?
脳が混乱してフリーズしてる。
何も考えられない。
「俺と付き合って?」
「か、考える時間を下さい!」
そう言って私は北川を家から追い出した。
翌日の朝。
北川になんて返事をするのか決めることが出来ずに次の日を迎えてしまった。
好きか嫌いで言ったら私は北川のことは嫌いでは無いと思う。
じゃなければ部屋に呼んでご飯を食べたりテレビを見たりはしない。
じゃあ恋愛的な意味で北川のことを好きかと言われたらそれは違うような気がする。
そもそも恋愛的な意味で好きってなんなんだろう……世のカップルたちはどのようにして交際を始めているのか。
そんなことを考えなら高校に向かい歩いているとコンビニから出てくる北川を発見した。
まずいと思い、おもわず目を逸らしてしまったけども……よく見ると後ろから同じ学年だろう女子生徒2人が北川の肩を叩いて仲良さそうに話している。
…ホントになんなのアイツ!
人に告白した翌日には別の女の子を連れて楽しそうに…
やっぱり昨日のアレは冗談なのだろうか?
というか、よく考えたら別に北川が誰といようと私には関係ないし問題ないじゃん。
でも…なんだかモヤモヤする…
というか…最近の私はアイツのことばかりを考えすぎている。
まあ、ファーストキスを奪われたり告白されたりしたら誰だって考えてしまう気もするけれども。
告白されたのは初めてではないけれど、知り合いに告白されたのは初めてだ。
自分で言うのもアレだけど、私に告白してくるような相手は容姿に惹かれた話した事もないような人ばかりだった。
だから余計にどう答えていいのか分からない。
そもそも私は北川のことが恋愛的に好きなのかが問題だ。
正直に言えばここ最近の私はアイツの行動1つ1つにドキドキさせられている。
ただそれは私の男性経験が少ないかつアイツの顔が無駄に整っているのが原因だと思う。
だから別に北川に対して特別な思いを抱いているわけではない。
そんなことをずっと考えていたらホームルームも終わり放課後になっていた。
そういえば、今日はご飯を食べに家にくるのだろうかアイツは…
普通だったら私が告白の返事をするまで家には来ないだろうが…なんとなく北川は普通に家に来る気がする。
一応2人分の準備をして待っておこう。アイツが来なくても明日自分で食べればいいし。
もし私が告白を断ったら今の関係も無くなるのだろうか…それは嫌かも知れない。
ピンポーンとチャイムの音が聞こえる……ホントに来たんだ…アイツ。




