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佐藤隆太



 とてつもなく眠い…



 なんだったんだろう…昨日のあのキスは?

 本当にもうそればっかり考えてて昨日はぜんぜん寝れなかった。



「…唇に」



 まずい…思い出すと羞恥心が半端ない。思わず顔を手で覆ってしまう。



 うん?

 ロインだ?



 センパイ昨日は俺のこと考えてたでしょ



 ウザい…というかムカつく。

 なんか私ばっかりあんたのこと考えてるみたいじゃない…



 ホントにあのキスにはどういう意図があったんだろう…



 私のことが恋愛的な意味で好き? それとも…アイツにとってはただの遊びなのかな?



 アイツが何を考えているのかサッパリ分からないし……というかあれが…私の…ファーストキス…



 そんな私にとっては衝撃的な1日があっても日々は過ぎていくし、学校には行かないといけない。



 なるべくアイツにだけは会わないように気をつけよう…

 幸いなことに、今日は北川が私の家に来る予定は無い。







・・・








 放課後。

 今日は真っ直ぐ家に帰らずに部活に行く予定だ。



 私が所属している文芸部は各々が好きな時に顔を出しているだけの緩い部活だ。

 


「あ、生田さん」



 部室に向かう途中の廊下で目つきの悪い生徒に話しかけられた。

 不良みたいな見た目からは想像出来ないけど、彼は私と同じ文芸部に所属する部員の1人で佐藤隆太だ。



 なんとなく彼のことはスルーして部活に向かう。



「いや、悲しいからムシは辞めて!」



「ごめんなさい…喋ったら仲がいいと勘違いされるかと思って…」



「ま…まぁ、確かにカップルだと思われたら大変だよね」



「知り合いだと思われた困るから」



「それぐらいは許してよ! 友達ですらなく知り合いだとも思われたくないって!」



「ぼっちが移るから」



「いや、ぼっちは移らないでしょ! てゆーかぼっちなのは君もでしょ」



 くっ、佐藤のくせに痛いところをついてくる。



「…私はぼっちじゃないし…あえて1人でいるタイプだし…」



「…」



「ちょっと黙んないでよ…なんか悲しくなるじゃない」



「ごめんごめん」



 ノリもよくかなりなお人好しの彼には友達がいない。

 本人がコミュ症なのもあるとは思うけど、多分目つきの悪さでかなり損をしていると思う。



 私も初対面だったらわざわざ自分から話しかけようとは思わない。

 しかし、ヤンキーが猫を助けていたみたいなギャップが効くのか、彼のことを好きな女の子を私は何人か知っている。



「ねぇ、佐藤」



「なに?」



「キスってしたことある?」



 しまった…無意識に聞いてしまった…


「え!?」



 驚いた様子の佐藤。こんな質問をされるとは思わなかったのだろう。私だってするつもりは無かったけど…



「キスってしたことある?」



 こうなったら勢いで聞いてしまおう。私も恥ずかしい思いをしたのだから、佐藤には何がなんでも答えてもらわなければ。



「いや! 2回も言わなくてもいいから! 聞こえてるよ」



「で、どうなの?」



「いや…あるというか…無いというか…」



 ハッキリしない返答をする佐藤。



「そう、無いのね」



「いや、あるかも知れないじゃん!」



「ごめんね…分かりきった質問をして」



 よく考えたら佐藤にそんな経験があるわけが無かったか。



「憐れみの眼差しが! というかなんで急にそんなことを…ま、まさか!」



「なに?」



「誰かにキスされたとか!? それとも好きな相手が出来た!?」



「な、なに言ってるのよ! そ…そんなこと…ないわよ」



 またあの時の事を思い出してしまった。

 気がついたら目の前にアイツの顔が会って……唇同士がくっついていて…



 ヤバい。

 顔が熱くなってきた。これだけ動揺してたら何かあったとバラしてるようなものだ。



 そう思ってチラッと彼の方を見るとなぜか顔を赤くして口をパクパクさせていた。

 理由は分からないけど自分より動揺してそうな彼を見てたら落ち着いてきた。



「ほら、止まって無いで早く部室に行くわよ」



 そう言ってフリーズしている彼を置いて部室に早足で向かう。



「え、あ…うん。って、置いてかないでよ!」





 部室に到着すれば基本的には各々が好きなことをやり始める。

 たまに誰かが小説のネタになりそうなことを提案して、他の部員が承諾すれば皆んなで何かを始めたりもする。



 一応は創作活動をする事が目的の部活ではあるが各部員が好きな時に来て好きなことをしているだけのことが多い。



 佐藤がライトノベルを読んでいる横で私はさっきのことを考える。

 果たして「キスってしたことある」などとなぜ聞いてしまったのか。



 まぁ、それは悔しいけども私が北川にキスされて混乱しているからだ。

 だからアイツがあんなことをした理由を見つけるために無意識であんな佐藤に質問していた。



 でも、よく考えたら同じ男性でも女子から絶大な人気を誇る北川と女子どころか男友達すらいない佐藤とでは価値観が全然違うし参考にはならなかっただろう。



 まぁ、地味に特定の女子から佐藤もモテてはいるのだけど…

 というか現状ライトノベルみたいなことになっている。



 今の文芸部は佐藤以外は皆んな女子部員で美少女ばかりだ。

 それでいて大半の部員は佐藤に恋をしているハーレム状態。



 きっと世の男子が知ったら狂ったように嫉妬して佐藤を討つことを決意するだろ。

 友達がいないことを犠牲に美少女ハーレムが作れるなら男子高校生のほとんどがそちらを選ぶような気がする。



「僕はそろそろ帰るけどどうする?」



 気がつけばかなりの時間が過ぎていたようで佐藤は帰る準備をしていた。

 今日は他の部員も来なかったし静かだったな。



「私も帰る」



 色々と考え過ぎて疲れたし、帰ったらシャワーを浴びて野球でも見ながらのんびりしよう。



 








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