2章 第81話 頼れる先輩と鏡花
霧島君と松川先輩の案内で、学生カップルでも入る事が出来る様々なオススメスポットを教えて貰った。
お店の見た目はオシャレで、高そうに見えたカフェやレストラン。入ってみると案外お手頃な価格設定だった。
あとはカップルシートが用意されている所など。カップルシートなんて、一生縁がないと思っていたから、こんなにあるとは知らなかった。今度、映画館にもカップルシートが出来るらしい。
そんなアレコレを教えて貰った後、私と松川先輩だけで女性下着専門店に来ていた。なんでわざわざ今こんな所に? 最初は疑問だったけど、2人だけの時間を作りたかったらしい。
「お互いさ〜大変じゃない?」
「え? 何がです?」
「ほら、お互いモテる男が彼氏じゃない?」
あ、あ〜そう言う意味でしたか。確かにそうだ、霧島君もかなりモテる男子生徒だ。軽薄そうに見えるけど、実際にはそんな事なくて、根っからのスポーツマン。
外見のせいで損している面があるけど、それと同じぐらい人気もある。チャラそうだけど、実は純愛を貫いてる男子って良いものね。
私もその気持ちは分かる。2次元限定なら、その手のキャラも嫌いじゃない。恋愛系のゲームでなら、3番目ぐらいに攻略する。
俺様系とどっち行くか迷うんだよね。って、今はそんな話じゃなくて。
「確かに、そうですね。少し前に洗礼を受けました」
「え? あっ! アレか~。大変だったらしいね」
「面倒事はもう勘弁です」
以前に絡まれた事を思い出すと、ゲンナリしてくる。ただそのお陰で仲が進展した部分もあるので、損しかしてない訳じゃないけど。
それでも、そう何度もあって欲しくない。私は喧嘩したりとか、全く向いてないんだから。平凡で平穏な毎日で十分ですとも。
「松川先輩も似た様な事ありました?」
「貴女ほど直接的じゃないけどね。変なデマ流されたりはしたかなぁ」
「うわぁ……大丈夫なんですか?」
「嘘ってすぐ分かったからね」
それでも面倒な事には、変わりないだろうなぁ。私もそんな日が来るんだろうか。今のところは全然無いけど、これから先はどうか分からない。
少なくともウチのクラス内では大丈夫そうだけど。嫌がらせとか暗い方向じゃなくて、面白い見世物感が強いし。
「個人的にはそれよりも、色目を使うタイプが厄介よ」
「えぇ? 先輩が居るのにですか?」
「そうだよ〜。わざとらしくて嫌になる」
本当に居るんだ、彼女が居る男子にちょっかい出す人。ドラマとか創作だけに居るんじゃないんだね。
ミステリーとかだと被害者役だったりするけど、現実だとどうなるんだろう。まあ、既婚者相手なら裁判とかかな?
学生の恋人関係じゃあ、そんなの無理だろうね。
あんまり考えたくはないけど、その辺うちの両親はまだマシか。他人のパートナーに手を出す不倫ではないみたいだし。
しっかり全部調べた訳じゃないけど、把握している範囲内だと問題はない。いやまあ、そもそも不倫が大問題なんだけど。
「だからね、細かい所でもしっかり心を掴み続ける必要があるのよ」
「も、もしかして……勝負下着、ですか?」
松川先輩が手にしたのは、かなりセクシーな下着だった。黒をベースに赤いレースが入っている。
その赤いレースはかなり薄い生地だから、薄っすらと向こうが透けて見える様になっている。
そ、それは私には無理です先輩! 先輩みたいにスタイルが良い人が着たら似合うけど、私が着たらセクシー(笑)になってしまいます。もう全然お肉が足りてません。
ボンキュッボンなら似合っても、キュッキュッキュッではとてもとても。床でも磨いているのがお似合いですよ。
「ほら佐々木さんも、一緒に選ぼ!」
「うぇっ!? 私もですか!?」
「当たり前でしょ! 浮気させない為にも!」
「う、浮気……」
真君が、別の女子と……浮気? 可愛い子に言い寄られて、他人の男に手を出す女に流されて。
あれですか? え〜彼女さん厳しいね。私ならそんな思いさせないのにな。みたいな横槍女かな?
ネットで見た事あるよ。あんな感じのが、実際に真君に言い寄るんだ? 絶 対 に 許 さ な い よ。
「佐々木さん? どしたの?」
「はっ!? い、いえ何でもありません」
「ほら選ぶよ!」
そうだ、今は勝負下着だった。真君が浮気する余裕なんてないぐらい、私に集中していて貰わないと。周りなんて、見えなくなるぐらいに。
そこは私の努力次第だ。最近ちょっとマシになったとは言え、まだまだオシャレ初心者でしかない。
上を見れば幾らでも可愛い女子達が居る。真君の一番であり続ける為には、下着にだって気を遣う必要があるわけだ。
小春ちゃん達にも、そこは言われてたもんね。せっかく先輩がこうして誘ってくれたんだ、この機会を活かさないと。
「先輩。私、頑張ります!」
「お、その意気だ! 気合い入ったの選ぼう!」
私でも似合う様なの、ちゃんと選んで真君の心を掴むんだ。セクシーは無理かもしれないけど、出来るだけ頑張ろう。
だから待っててね真君。絶対に浮気なんてさせないから。
意外にも共通点があったからか、松川と鏡花はこれを機に親交を深める事になる。将来的には梓先輩、鏡花とお互い呼び合う程度には。
もっとも、それが真にとってプラスになったかは、微妙な所だが。
「うおっ!?」
「何だ? どうした真」
「いや、何か悪寒が」




