表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
222/254

5章 第220話 合コンとか言われても

 どちらかと言えばあんまり乗り気じゃない合コンの話。友達の希望なので何とかしてあげたい気持ちはある。

 だけどあんまり良いイメージが無いと言うか、ナンパに近い印象がある。街コンとかもあるのは分かっているけれど、何となくワンナイトみたいな方向性を感じる。

 全然そんな事はなくて真剣に出会いを求めている人だって沢山居るんだろうけどね。実際、(はるか)ちゃんだって真面目に彼氏が欲しいだけだし。


「と、まあそんな訳なんだけど……」


「ん〜〜合コンなぁ。まだどんな人か分からないヤツも多いしなぁ」


「そうだよね」


 そう言う問題もある。信用出来る人間性の持ち主かどうかと言う問題だ。女の子とあらば誰でも良いから兎に角、みたいな人が来たら困る。

 そんな人に友達を紹介したくもないし。ちゃんと誠実にお付き合いしてくれる人が良い。

 結局は恋愛まで発展しなかったとしても、そこから良い友人になれる様な人でお願いしたい。

 なんて思ったりはするけど、そんな偉そうな事を言える程の恋愛経験が無いんですけどね。そもそもの話として。だから余計に合コンとか言われちゃうと悩ましい。


「そもそも西川(にしかわ)さんって彼氏居なかったか?」


「それがその……この前別れちゃったみたいで」


「あぁ〜それでそんな話になったのか」


 より正確に言うと振られたなんだけど、そんな事までわざわざ言う必要はない。煩いって振られた女の子のデリケートな話題は控えておく。

 …………本人が人前で大きな声で話してはいたんだけどね。一応その、友達としての気遣いとか礼儀的な意味でね。

 それに(まこと)は別に煩いとは思っていないみたいだし。多分似たタイプの友香(ともか)ちゃんで慣れているからだと思う。


 難しい問題だよね、遥ちゃんみたいな賑やかなタイプって。勢いのある女性を可愛くないと判断する男性は少なからず居る。

 私は場が明るくなるから有り難いと感じるけれど、男性から見るとまた違うんだろうね。お淑やかな大和撫子系がやっぱり受けるのかな?

 周りに居た男性達はそんな事なかったから分からないけど。世間一般で見ると何となくそんなイメージがある。意思の強い女性は避けられる印象がある。


「俺合コンなんてやった事も行った事も無いんだけどな」


「そうだよね。何したら良いのか分からないよ」


「……飲み会とか?」


「私達まだ20歳じゃないし……」


 合コン未経験が2人で悩むだけ無意味なんだろうね。何となく合コンと言われてイメージする内容しか分からない。

 ちょっと良い居酒屋で、男子グループと女子グループが集まって会話する感じの。それでじゃあ何を話すのかとか、それもまた不明なんだよね。

 本日はお日柄もよく……だとお見合い? いぇーい! 皆楽しんでる〜! みたいな感じかな? でもそんな真は見たくないや。違和感しかないよ、そんな感じで会話する真は。


「どんな会話をすれば良いのかな?」


「…………分からん」


「だよね」


 正直言って課題と問題しかない。こう言った話題で一番頼りになるとしたら、小春(こはる)ちゃんだけど彼氏持ちだし東京に居る。

 そんな事の為にわざわざ呼び付ける訳にはいかない。あと頼れるとしたら、(あずさ)先輩になるのかな?

 でも先輩も合コンとか行くタイプじゃないし、やっぱり彼氏持ちだ。主催者側に経験者が不在って、上手く行くビジョンが見えないよ。

 お通夜みたいな空気になりそう。わざわざ企画してお金払って、それで終わったら最悪過ぎる。何をしたかったのか分からない。


「合コンはなぁ、あんまり気が進まないな」


「やっぱりそうだよね」


「何となく軽いイメージがあるしな」


「うん」


 こう言ってしまうと偏見かも知れないけど、合コンで知り合って幸せになれるイメージがない。

 ちゃんと結婚まで行く人も居るのは分かっているけど。でもそうなるカップルの数倍は破綻していそうな印象がある。

 幸せな家庭を築けている人にはごめんなさいだけど、合コンとは無縁の陰キャにはそう見えてしまう。

 好きで行く人だって居るんだろうけどね。でもどうしてもこう、日陰の住人だった私にはそう映る。

 日向で輝いていた真でもそう思うんだし、やっぱりそんな印象は拭えない。


「なぁ鏡花(きょうか)、普通に遊びに行くだけじゃ駄目か?」


「普通に? 遊びに?」


「カラオケ行くだけとかさ、ボウリングとか」


「…………あっ」


 そもそもそれで良くない? いきなりから合コンなんて考えるから難しいのであって。先ずはお友達からで良いじゃない。

 それこそ私達がそうだったのだから。合コンなんて言われたからって、馬鹿みたいに真面目に合コンを開く必要はないのだから。

 要するに遥ちゃんは恋がしたいだけで、合コンそのものが目的なのではない。ちょっと良いなと思った男性とホテルへ、みたいな話ではないのだから。

 どうも合コンと言う言葉のイメージに、引っ張られ過ぎていたみたい。ただちょっと集まって遊ぶだけで良いんだ。


「良いよね、普通で」


「だったら俺もまだ良いかな」


「その方向性でお願いします」


「真面目そうな奴を探しておくよ」


 そんな訳で、先ずはお友達から始めましょうの方向へ向かう事になった。やっぱり普通が一番だよね。

 シンプルイズベスト。普通が私は一番だと思います。それが例え子供っぽいと思われたとしても。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ