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4章 第147話 鏡花と遊園地

 鏡花(きょうか)と知り合って1年記念は、敢えて普通に遊ぶ事にしてみた。あの時の事を振り返るのはもうやったし、今度は肩肘張らずにシンプルに一緒の時間を楽しみたい。

 それに記念日に毎回何かプレゼントって、習慣化しちゃうのも変だよなってお互いに話合って辞める事にした。そこがメインじゃないから。

 お互いがお互いに、出会えて良かったねと笑い合える日にしたいから。お金や場所じゃなくて、俺と鏡花が一緒に居る事が一番大切なのだから。


「結構凄い人だな」


「やっぱり日曜日だからかな」


 鏡花と2人、県内にある遊園地に来てみた。地方都市の、良くある普通の遊園地だ。ただ、ホラーハウスだけは何故か凄く有名だ。

 定期的にニッチなB級映画のネタを取り入れるので、そう言った映画ファンには凄く受けが良いらしい。

 サメ映画が好きな鏡花が言うのだから、間違いないだろ。俺も水族館でその話を聞いて以来、サメ映画はちょっと楽しめる様になった。海から陸に出るのが当たり前の様になっているのが面白い。


「そう言えば、鏡花って絶叫系は?」


「平気だよー! 遊園地で苦手なアトラクションは無いよ」


「そっか、なら何でもオッケーだな」


 実は遊園地って鏡花とは全然来て居なかった。定番過ぎると言うのもあるし、子供っぽいかと思って。

 でも聞いてみたら、案外乗り気だったので思い切って来てみた。少々お固く考え過ぎて居たのかも知れない。

 もっと柔軟に考えた方が良いのかも知れない。色んな経験を鏡花と共にする為に、もっと色々やってみよう。


「何から行こうか?」


「無難にヴァイキングとか?」


「それ有りだな、よし行こう」


 名前の通り、海賊船の形をした船に乗り込み前後に振り回されるアレ。良くある定番アトラクションで、序盤のチョイスとして悪くない。

 先ずは絶叫系から行く人もいるけど、結構並ぶから案外無駄に時間を消費したりする。それよりも、比較的に空いている所から乗る方が無難な場合がある。

 そうは言っても、効率が全てではない。結局は楽しかったかどうかが全てだ。並んでる間の会話も楽しければ、それで正解なのだから。

 ヴァイキングに向かう途中で、見慣れない立て看板があった。この遊園地にマスコットキャラなんて居たのか? 記憶に無い女の子のキャラクターが描かれていた。


「こんなキャラ居たっけ?」


「あっ、この子Vtuberじゃないかな? 何処かで見た気がするよ」


「へぇ〜この遊園地とコラボって事か」


「親善大使なんだって、ホラ」


 公式ページを調べた鏡花がスマホで見せてくれた。なるほどね〜色々やるもんだ。コラボメニューや、コラボグッズもあると。

 それで思ったより人が多いのか。こんなに人が来ている印象は無かったのだが、なるほど納得がいった。最近は多いよな、こう言うVtuberコラボって。

 気が付けばお菓子とか、飲み物に描かれて居たりする。俺は観てないから分からないけど、もう殆ど芸能人みたいなものだよな。凄いもんだなぁ、配信業ってやつも。


「そう言えば鏡花、あの投稿凄い伸びてないか?」


「ゔっ……まあ、ね。通知切っちゃったよ」


「沢山の人が認めてくれたって事だよ」


 確かもう10万再生行ってた筈だ。小春(こはる)水樹(みずき)が友達だって投稿したからか、あっという間にグングン伸びていった。

 鏡花も凄いけど、小春と水樹がそもそもおかしいんだよな。アイツらそのうち芸能事務所からスカウトでも来るんじゃないだろうか。水樹は既に、モデル事務所所属だけども。


「急にギュインと伸びて怖かったよ」


「ハハハ、嬉しい悲鳴って奴だな」


「色んな人に喜んで貰えたのは、嬉しかったけどね」


 そんな会話もしながら、様々なアトラクションを楽しんで行く。絶叫系も乗ったし、コーヒーカップやメリーゴーランドの様なちょっと子供っぽいものも。

 鏡花と言う最強の料理人が居るので、お昼も困る事なくスムーズだ。急流すべりも久し振りに楽しめたし、案外来てみるものだと考えを改めた。鏡花も楽しんでくれていたから、連れて来て良かったと思う。


「ねぇ見て、ホラーハウス! サメ映画フェスだって!」


「なんとまあ、タイミングが良いと言うか」


「これは俄然やる気が出るよね!」


 鏡花の好きなサメ映画ネタをやっているとは良い時に来たものだ。この遊園地が生き残っている理由の一つだから、きっと力は入っているのだろう。

 俺もちょっと楽しみになって来た。普通に考えたら、ホラーハウスでサメ映画はあまり相性が良さそうには見えない。どんな風になっているのか楽しみだ。


「さあ行こう!」




「おお、このサメはシャーク2かな? 作り込みが凄い」


「すまん、俺には違いが分からない」


「シャーク2のサメはね、ここに傷があるんだよ」


 ホラーハウスなのに、鏡花のサメ映画再現度チェック会場と化していた。しかしまあ、こう来たか。

 これならホラーハウスでもサメ映画ネタが出来るわけだ。このハウス自体が、家の中にサメが出るタイプのB級ホラーリスペクトなんだな。良く考えたな遊園地の人。


「うわ、これサンダーシャークだ。凄いマイナーなのに」


「でも鏡花は知ってるんだ」


「私は日本で観れる作品全部観たからね!」


 ちょっと普通のホラーハウスとしての楽しみ方では無かったけど、鏡花が楽しそうだからそれで良いか。

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