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3章 第133話 集う強豪達

 東京のホテルに着いた私達は、一旦荷物を置いて暫しの間待機だ。顧問の先生が会場に向かい、到着の報告と参加の正式な申請を済ませに行っている。

 会場近くのホテルには、私達の他にも高校生達がチラホラと。このタイミングで居るんだから、間違いなくコンクールの参加校だろう。


「あそこは岡山の高校だよ、結構強敵かな!」


「そうなんだ。制服可愛いね」


「そこ? まあ確かに可愛いけど」


 始めてコンクールに参加する私は、どこの高校が強いとか何も知らない。部長の中山(なかやま)さんから、その辺りを教えて貰っている最中。

 そもそも部活動で県外に出た事がないから、全国にどんな学校があるとかも知らない。色んな制服があって良いなぁ。

 私だって、制服が可愛いかどうかぐらいは気にする。だから今はちょっと、楽しかったりする。見るべき所は、そこじゃないのは分かっているんだけど。


「あら、見た事ある顔やなぁ」


「貴女は、京都の!」


山城女学園(やましろじょがくえん)稲森(いなもり)です。名前ぐらい覚えて欲しいなぁ」


「覚えてるわよ! それぐらい!」


 何か、ちょっとお金持ちっぽい風貌の人が来た。この人も凄い美人だ、小春(こはる)ちゃん達に匹敵する綺麗な顔。

 あの3人みたいな派手さは無いけど、上品な雰囲気の黒髪美女。和室でお茶でも立てて居そうな見た目をしている。

 京都の人らしいから、実際に茶道を習っているかも知れない。世の中って色んな美人が居るんだなぁ。


「嫌味とちゃいますよ? 未だにそう言うイメージ持たれるのはかなんなぁ」


「そう言う所でしょうが!」


「こんなん裏も何もありませんよ? 勝手に深読みせんといてくれます?」


 な、なんだろうコレ? お互いがお互いに、良く知った間柄と言うか。だからこそ交わせる、どこか気安い空気感。

 そうでありながらも、互いに譲れない何かがあると言うか。もしかして、ライバル関係とかかな。アニメとかだと、こう言う関係性って良くあるよね。

 何かちょっと、楽しくなって来たかも。勝ち気な熱血タイプと、冷静な頭脳派の戦いみたいな。せ、青春だよ、凄いなぁ。


「京都人が嫌味言うなんて、今やネットの妄想ですよ? 普通にストレートに言わはります」


「アンタがどうかは別でしょ」


「相変わらず疑い深い人やねぇ。ところで、貴女は?」


「えっ!? あ、その」


 他人事の様に眺めていたら、突然話題をこちらに向けられてしまった。完全に傍観者のつもりだったから、つい返答に困ってしまった。

 そもそも私は、この人を全然知らない。人見知りだからいきなり話し掛けられると、つい陰キャムーブをしてしまう。駄目だ、だからこう言う所を改善したいのに。


「うちのエースよ! 悪いけど、今回は勝たせて貰うわ」


「さ、佐々木鏡花(ささききょうか)です! 初めまして」


「ご丁寧にどうも、稲森美桜(いなもりみお)です。……ふーん」


「な、なんでしょう?」


 何なに!? なになになになに!? すっごい見られてるんだけど!? 顔の良い人にそんなに見つめられたら怖いよ!

 美人の鋭い視線はかなりの威力がある。私の顔なんて見ても何にもなりませんよ! つまらないモノですから! そろそろ勘弁して欲しいです!


「あんまりパッとせんねぇ。随分自信無さげですけど?」


「そう言う子なの! 歌えば凄いんだから!」


「あ、アハハ……」


 目線がマグロの様に泳ぎまくりだったから、自信が持てない所をすぐ見抜かれてしまった。そりゃ分かるよね、見るからにオドオドしちゃったから。

 治したいんだけどね、中々治らないんです。その点については、ご容赦ください。ここでカッコいい対応出来たら良いんだけどな。小春ちゃんなら堂々としてるんだろうな。


「ま、エエですわ。今回もウチが頂きますから」


「こっちだって負けないわ!」


「ほな、また後で。新人さんもまた」


「は、はい」


 何か、凄い人だなぁ。自信に溢れた立ち居振る舞い。歩き方や手の動かし方、それら全てのから気品が感じられる雅な雰囲気。

 きっと良い所のお嬢様に違いない。(まこと)のお母さんみたいな、洗練された動きをしていた。小春ちゃんとはまた違うタイプの、黒髪美少女だったな。京美人って言うんだっけ?


「あの子に前回負けたのよ、3年生最後の大会で」


「そうだったの?」


「お陰で表彰台に立てなかった。もう何度も競い合った相手よ」


 これは中々、根が深そう。つまりあの稲森さんは、中山さん達にとって因縁の相手と言う事になる。単なるライバルってだけじゃ無さそうだ。

 特に3年生にとっては、辛酸を嘗める結果に関係する相手。心穏やかでは居られないかも知れない。


「だから貴女に頼った」


「え? 私?」


「あの子に勝つ為の佐々木さんよ! 信じてるからね!」


「う、うん」


 そもそも実力すら知らないんだけどなぁ。私より上手かったら、今更どうにもならないんだけど。

 頼ってくれるのは嬉しいけど、私で大丈夫なんだろうか? これは中々、大変な事になって来たかも? 本当に大丈夫なのかなぁ?


「ああ、ここに居たのか中山」


「先生、どうしたんですか?」


「そろそろ会場に行くから、皆を集めてくれ」


「分かりました!」


 いよいよ、合唱コンクールが始まる。全国に進出して来た、各地の強豪達を相手に競い合う事になる。

 改めて考えると、結構不安になって来た。私が、私1人が頑張ったぐらいで何とかなるのかなぁ?

お前、大〇紅葉好きだろって? そうだよ!


ああ言うキャラ書きたいなって。ただ、京都の人間が京美人を書いたらこうなるよってキャラとして書いてます。だから嫌味はほぼ言いません。結構良い子です。

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