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3章 第102話 楽しい体育祭?

 食欲の秋に読書の秋、そしてスポーツの秋が日本で良く使われる秋定番の表現。鏡花(きょうか)(まこと)が通う美羽(みう)高校でも、当然秋の祭典は容易されている。

 球技大会はその内の1つで、球技系の競技を得意とする者にとって最高のステージ。ではそうではないスポーツが得意な生徒はと言うと、シンプルで分かり易い競技が中心となる体育祭が活躍の場。


 ここ数年の間に、オリンピック競技にeスポーツが追加された事を切っ掛けに、体育祭でも採用する学校が少しずつ増えて来ている。

 それはこの美羽高校でも同様で、その影響が種目にも出ていた。海外でも有名な日本を代表するキャラクター達が、カートに乗って様々なステージで競い合う有名なレースゲーム。それが今体育館で、大きなスクリーンにデカデカと表示されていた。


「あぁ〜〜〜麻衣(まい)が3位に落ちちゃった!!」


「麻衣ちゃん頑張ってー!!」


 体育会系、非体育会系を問わず参加する事が出来る上、性別による差も関係ないので誰でも参加が可能だ。事前に参加を希望した生徒達が、クラスを代表してレースゲームを行う。

 規定の参加枠を賭けた代表決定戦、クラス毎に行ったその戦いに勝利した生徒達が本戦で勝負する。

 数グループに分けた全選手達の競技を行い、終わった時点で最もトータルの成績が良かったクラスが勝利となる。現在行われているのは、2年生eスポーツ部門の優勝が決まる最終試合だ。


「いや鏡花、小日向(こひなた)さんは敵チームなんだが……」


「まあ良いんじゃない? 友達なんだから。それにしても村田(むらた)のヤツ、彼女相手でも容赦ないね」


 普段は交通マナーの啓発ビデオ等を写し出す体育館の巨大なスクリーンでは、真や鏡花が所属する2年2組の代表選手である村田恭二(むらたきょうじ)と、モブ友3人娘の1人であり2年1組代表の小日向麻衣(こひなたまい)、そして2年3組の生徒が1位を賭けて激しく争っている。

 体育会系仲良しトリオの真と翔太(しょうた)としては、恭二を応援してやりたい。しかし鏡花と佳奈(かな)は友人の麻衣を応援したいのが心情。


 そして皮肉な事に恭二と麻衣は、恋人同士でありながら今は敵同士と言う関係。のんびりとした話し方が特徴的な麻衣ではあるが、中身は結構スポーツ好きで勝負事も好きな方だ。恋人だからと忖度したりする事はない。

 それは恭二とて同様で、彼女と言えども勝負である以上は手加減などしない。先程から1位を賭けた妨害アイテムの応酬が行われていた。

 一時的に3位まで落ちた麻衣だったが、再びステージを駆け抜け順位を上げる。


「あ、観てカナちゃん! 麻衣が1位だよ!」


「凄い! 麻衣ちゃん流石!」


「いやスゲェな小日向さん。やけに上手いな」


 鏡花達モブ友3人娘には、それぞれ得意なゲームジャンルがある。鏡花はアクションゲーム、佳奈はリズムゲーム全般、そして麻衣はスポーツ系やレース系。

 それぞれ自身の特徴が現れている。鏡花がアクションゲームを得意とするのは、せめてゲームの中でぐらいと頑張った結果。佳奈は自身の好きな音楽系、麻衣も同じく自分が好きなスポーティなジャンルを遊んで来ている。


小春(こはる)何してんねや! 気張らんかい!」


「こう言うのも出来たのね、あの子」


 このレースは2年1組から5組まで、2人ペアが5チームずつ出場するチーム戦だ。トータルの参加人数は1クラス10人。そしてこれはその5チーム目の最終戦になる。

 恭二とタッグを組んだのは、意外にも小春だった。何でも卒なくこなせるからこそ、こんな競技にまで出場していた。

 とは言っても、流石にゲームにまでガッツリ時間を使えるタイプではない。万能女子な小春と言えども、普段からゲームに打ち込むタイプには少々及ばない。

 代表をこなせる程度の腕はあっても、トップを狙うのは流石に厳しい。4位までは来たものの、前を走る3人とはまだ些か距離がある。


神田(かんだ)も器用だね。こんなのまで出るなんて」


「あぁ〜確か今の彼氏がゲーム配信者、だったか? その影響だろうな」


「へぇ。そう言う事か」



 2年生eスポーツ部門の優勝が決まるこのレースも、いよいよファイナルラップに突入。1位を走る麻衣を追う恭二、その少し後ろに3組の代表と小春が続く。

 妨害用のアイテムが飛び交う中で、麻衣は器用に躱して行く。果敢に恭二も攻めては行くものの、微妙に空いた距離が縮まらない。

 順位を上げたい小春も3人を追うが、トップ争いにはギリギリ届かない。順位の変動は発生しないまま、遂に麻衣の操作するキャラがゴールに飛び込んだ。


「やった! 麻衣がトップだよ!!」


「やったね鏡花ちゃん!!」


「いやあの、だからウチのクラス……」


「まあ村田も2位だし、良いんじゃない? 神田も4位だし」


 トータルで見れば2組が上位に2人共入っているので、総合では2組の勝利となる。チーム戦とは言っても、1位から10位の中で2位と4位だ。十分な戦績と言えよう。

 しかし、このレースの勝者が麻衣である事にも変わりはない。敗北に項垂れる彼氏の隣で、満足気な麻衣が勝者としてポーズを取っていた。何故かコロンビアのポーズを自信満々に。

たまにはサブキャラ回も書こうかなと。あんまりフューチャー出来てなかった恭二&麻衣コンビの関係性はこんな感じです。

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