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天啓

 マイルがDランクに上がってからあっという間に1週間が経ち、俺とイーファが出発する日を(むか)えた。ただ一つだけ予定が変わったことがある。俺とイーファの旅にメルが同行することになったのだ。


 魔物の大暴走( スタンピード )収束(しゅうそく)したあと、メルが俺の門弟(もんてい)になりたいと志願してきたのだ。しかも俺がレザリア王国に向かうと知ると「ついて行く」と言って聞かないのだ。

 俺は門弟になることは了承したが、ついてくることに関しては条件を出した。条件は俺とイーファが出発するまでに、冒険者登録を済ませることだった。

 メルはその日から毎日欠かさず稽古(けいこ)を行い、何度も登録試験に挑戦してきた。それで昨日ようやくティルクから一本を取ることに成功したのだ。

 メルは得意げにギルドカードを見せつけてきて、俺は両手を挙げた。


 なぜかマイルも当然のようについて来ようとしたが、『ソルティア』のメンバーに止められていた。「若、若」と半べそをかいている。連れて行ってやりたいが、マイルにはギルドを支えてほしかった。俺はこっそりマイルに特別メニューを(しる)した紙を渡し、「ギルドをお願いね」と頼むと、涙をぬぐい「うん」と(うなず)いてくれた。


『焔、みんなのことお願いね』

『······』

『何? まだ置いてくこと怒ってるの?』

『別に怒っとらん』

『そうだ、焔に言い忘れていたんだけど、この念話って、焔からもらった神器(しんき)を通してるんだったよね? 実はベレンさんに頼んで長距離でも話せるように出来ないか相談したんだ。そしたら、これを(もら)ったんだよ』


「はい焔。付けてあげるから顔よせてくんない?」

「な、なんじゃきゅうに···」


 照れながらも顔を寄せる焔。俺は焔の耳にベレンからもらったアクセサリー型の念波(ねんぱ)増幅器を付けてあげた。そして、俺も同じものを付けていることをアピールすると、焔の顔はみるみると上機嫌に変わっていった。

 相変わらずチョロイな焔。だがそこを俺は気に入っている。


『これでレザリア王国に行っても連絡が取れるでしょ? だから少しの間この国をお願いね』

『ま、まあ、レンがそこまで言うならやぶさかではない。安心して任せるがよい』

『うん。期待してるよ』




 出発の時間になり、門の前には多くの人が集まっていた。その理由はテスタが見送りに来ていたからだ。その横には護衛のポルンの姿もあった。


「レンさん。エルミナ王国はこの世界の一つの国にすぎません。残念ながらこの国は他と比べると小国になります。それでもレンさんは我が国の大切な一人の国民だと思っています。くれぐれもそれをお忘れなきようお願いします」

「もりろんです。女王陛下の夢、一緒に(かな)えましょう。何かヒントになることがあれば必ず報告致します」

「はい。約束ですよ」


 俺とテスタは指切りをした。一国の王女にする行為ではなかったが、テスタのような美しい女性から小指をだされて無視するような無粋(ぶすい)な真似は俺にはできない。


「これも天啓(てんけい)なのかしら···」


テスタが横を向きながら何か(つぶや)いたが俺には聞こえなかった。


 隣ではメルが孤児院( ハウス )の子供に囲まれていた。ラキナがメルに抱き着き号泣している。今までみんなのお姉ちゃんとして存在していたメルが居なくなるのは孤児院( ハウス )の子供たちにとって大きな問題だった。


「ラキナ、私が戻るまでみんなの事お願いね。必ず戻ってくるから心配しないでね」

「うん。絶対だよ。約束だよ」


 メルとラキナも指切りをしていた。


「じゃあ、そろそろ行こうか」

「おお」

「はい」


 みんなに見送られながら、俺達はレザリア王国を目指し出発した。




 エルミナ王国を出発したレン達はレザリア王国に向かっていた。旅はまだ始まったばかりだ。道中レンとメルはわいわいのんきに笑い声をあげながら歩いていた。


 この先、世界が大きく動き出すことをこの時のレン達は知らずに旅をつづけたのであった。




『おい! レン大変じゃ!』

『なんだよ焔、まだ出発してから1日しかたってないぞ』


【読者の皆様へ感謝】


数ある作品の中からこの小説を読んで頂き、そしてここまで読み進めて下さり本当にありがとうございました。皆様のおかけで続けていくことができます。


「面白い」「まぁ、もう少し読んでもいいかな」


と思って頂けたらぜひ、この作品を推してくださると嬉しいです。


また、「好きな話」があった時は『いいね』を頂けると幸いです。



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