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片道書簡


 菊ちゃん、「片道書簡」、「ズィ・アフロ」のいずれかがなろうラジオ大賞に審査されたら結魂しましょう。地球には、モルフォ蝶の光沢を有した構造色の青があり、ブルーモーメントの青があり、また、水平線のあをがあり、結魂とは思惟するものではなく、感得するものです。

 君はどの星から来たの?

 瑠璃色の地球!

 菊ちゃんに初めて出会ったのは、「ココアなろう」という文芸サークルでしたね。そのころは、右脳的世界の真実を左脳的世界の真実に正確に写し変える脳粱主義が支配していて、商業主義から自由な文芸サークルがミステリーサークルのように現れては、ミュー大陸のように沈んで行きました。


 文芸委員長に挨拶した折り、ココアというのは西洋の粉汁というもので、なろうというのは狭きという意味です、と「ココアなろう」の来歴を聞いた日が、今では新治と初江の潮騒のように耳の内奥に鳴っています。菊ちゃんは、銭湯から出て来た人が白い石鹸をカタカタ鳴らすように、キーボードをたたいて、詩やら随筆やら小説やら雑文やらを草していました。


 菊ちゃんを明確に意識したのは、品評会のときです。対立するメンバーが、売れっ子が、と捨てゼリフを吐いたのです。この言葉が投げ棄てられた後には、消えたはずの雪が蘇ったようにアナベルが咲いていました。それが巨躯の女性に対する土俵入りといった悪罵であるっと知ったのは、菊ちゃんの連載本数を認識したときです。その本数が八十六ほどあり、近代ゴリラと揶揄された三島由紀夫氏の胸囲のように驚異的でした。しかし、たとえ周りが何といおうとぼくは知っています。さまざまな精神的、肉体的状態が菊ちゃんに作用し、さまざまな文学的理念やまぼろしが菊ちゃんを押しひしぎ、一行の文章を紡ぐにも、哲学的、絵画的、SNS的要請がひっかかり、キーボードが香油を失い、硬く強ばってしまったことを。キーボーがね、と横山のやっさんのように、遣る瀬なく頭を抱える菊ちゃんを想像できました。


 さて、オーパーツ、「ズィ・アフロ」ですが、ぼくはその物証を目の前でありありと見て、手にとって眺めるような力でなければ、これをエスキスしません。言葉をそのためにだけに使い、物証の明確さを際立てさせるつもりです。



 菊ちゃん、"スミワタリ"も暖をとる季節になりました。ご自愛ください。

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