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第11話 星座占い

 電車に揺られて二十分。

 到着駅近くの商店街を通り抜け、大通りの交差点を右折、坂を少し上った先に僕の通う学校――『葉言高校』はあった。

 徒歩も含め、通学時間は約四十分となる。

 比率的には五分五分と。ただ、この徒歩間が問題で――片道だけなら一見近そうに感じる。が、学校に行くということは帰りがある。


 桜舞い散る季節、特に問題はない。

 しかし、春の後に夏が訪れるのは、自然の摂理であるわけで。なにが言いたいのかというと、炎天下の徒歩は他の季節の三倍は体力を消耗するわけで。それなら、簡単に時間を短縮できる上、歩くよりは体力も使わない自転車、という文明の機器が頭に思い浮かぶのは必然であろう。


 朝の貴重な睡眠時間。

 僕の持論では、朝の五分間は夜の二十分間に匹敵する。その差――四倍。言い過ぎなようで、言い過ぎではない。となれば、駅の駐輪場に自転車でも置く? なんて惰弱なアイディアが脳裏を駆け巡る。


 しかしながら『校則第三項、若いうちは足を使え』に従って、自転車での通学は認められていない。これを破った場合、厳罰はトイレ掃除一ヶ月であるという。

 単純な話、見付からなければいい。が、睡眠時間を延長するためとはいえ、非常にリスクが高い。これでも自転車に乗って来る生徒がいるのなら、そいつは本気で馬鹿か恐いもの知らずのどちらかだろう。厄介な校則だ、全く。

 ぐだぐだと、そんなどうでもいいことを考えている最中――大通りの交差点を少し通り過ぎた折、後ろからポンポンと肩を叩かれる。

 振り向くと同時、ぴこぴことしたツインテールが、


「やっほうおっはよう、言也君!」

「っ! ゅ、夕凪?」

「??? 夕凪の顔に、なにか付いてる?」

「いい、いやいや。なな、なんでもないよ」


 本気で驚いた。

 それも当然――昨日、入学式の後、突如『論争』を挑まれたのだ。顔面から盛大に吹っ飛んで行ったにも関わらず、元気いっぱいのご様子である。見た目にも――怪我などは見当たらない。不死身かなにか?


「あっ、そんな身構えないでも大丈夫だよ。今日はなにもする気ないから」


「……今日は?」


 限定的な言い回し、少し焦る。

 それにしても、女の子と横並びで登校だなんて――男子高校生の夢の一つだよね。

 僕の思い描いていた図はこれだよぉ、これ! 危機感が上回って、素直に感動できないけど。

 夕凪は僕の真横、歩幅を合わせながら、


「夕凪ね、朝の星座占い十一位だったんだ」


「占い?」


「うん。今日の魚座は――金運、恋愛運、総合運、駄目だめダメの三拍子! ブービー賞だよ? あぅぅ、信じられない」


 どんよりと、夕凪が頭を抱える。

 意外、子供らし――女の子らしいな。天音先輩、風宮さん、あの二人は絶対にそういう類のものは、信じてなさそうな気がする。現実主義――雰囲気的に。

 夕凪は指を折り折りと、


「下から順にね、かに座、魚座、乙女座、天秤座、やぎ座、さそり座、みずがめ座、おひつじ座、しし座、おうし座、いて座、ふたご座。特筆して、かに座は思いがけないトラブル。乙女座は不慮の怒りが勃発。いて座とふたご座はハッピーな一日、だったかな。残りの星座は忘れちゃった」


「まあ、どんけつじゃないだけ」

「うー、そっか。十二位のかに座よりはマシだよね。そう考えると気が楽かも」

「ポジティブ思考ってやつだな」

「ポジティブ! いいこと言うね! ポジティーブっ!」

「なんで無駄にハイテンション!?」


 他愛もない会話は続くのであった。

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