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たけしと別部屋になりたい甲斐性君

「おい、焼き鳥にされたくなかったら早く案内しろ。鳥」


たけしがリックと呼ばれていた案内鳥を睨みつけた。


リックは黒色の燕で、体の横一線に黄色のラインが走っていた。


「たけし、鳥に命令する。、、と。」


ヤンが呟いた。


「何書いてんの?」


甲斐荘カイショウ亮太が気になってヤンに話しかけた。


「ん?大転生のたけし観察日記でもつけようと思ってね!売れそうじゃない⁈」


「おいおい、、」


甲斐荘カイショウ亮太は呆れ顔だ。


「2人は元から知り合いなのか?」


「いや、さっき話したばっか笑」


「なるほどね。まさか大転生の子と同室になるとはな、、」


甲斐荘カイショウ亮太は少し緊張していた。


たけしが鳥の後をぐんぐんついていくと、ソファと暖炉、本が壁一面に敷き詰められた薄暗い部屋にでた。


鳥が右から3つめの本棚にある、下から2段目、右から8冊目の本を嘴でつついた。


するとカチっと音がして本棚の本達がまるで生きているように震えだした。本が本棚の中で動きだし、少し経つと、本棚にたくさんの本で作られた扉の模様が出来上がった。


鳥はそれを確認するとヒュッと飛びたってどこかに消えてしまった。


たけしは2人の方を見た。


「あ、ちょっとまって、たけし」


ヤンがそう言って、鳥がつついていた本のタイトルを確認した。


<アルターレの歴史と系譜:カロリング・C・マリテール(魔導書出版)>


「多分この本がkeyだね。覚えておこう。たけし開けちゃって」


「え、お、おう!」


たけしは本棚に出来た扉の模様を押してみた。するとギィっと音がして、扉の模様の形そのまま本棚が開いた!


「おおー!す、すげえ!」


扉を越えて石畳の廊下を少し歩くと入り口上に[神無月]と書かれた部屋に到着した。


「ここが僕たちの部屋だね!やっとついたー!」


ヤンはそう言って、3つあるベッドの内、2段ベットじゃ無い方のベッドに寝転がった。


「僕、寝相悪いからここで笑」


たけしは笑いながら、部屋を物色した。


「どけよ。そこに寝るのは俺だ。」


手頃な燭台を掴みながらドスを効かせてヤンに近づいた。


ヤンは余裕こいていた。


「えー、でもたけし、魔法の勉強全然してないんだよね?いくら大転生の子って言っても、今は俺の方が強いと思うよ。」


(うっ、そうなのか、、?魔法使いと喧嘩したことねーから分からねえ、、!)


たけしがどうしようか考えてる内に、いつの間にかロープで体を拘束されていた。ヤンの魔法だった。


「なんだこりゃあ!!」


ロープが生き物のように動いていた。


「俺はここに寝かせてもらうよ。」


甲斐荘カイショウ亮太は心底面倒臭そうに2段ベッドの下段に荷物を置いた。


「ああ!てめえ!俺が上かよ!!」


ロープで縛られながらたけしが文句を言った。


「まあとりあえず昼飯に行こうよ!たけしもいいでしょ?」


「いやだね!」


甲斐性が若干切れ気味に言った。


「おいおい、初日から問題事に巻き込まないでくれよ!ベッドなんてどこでもいいだろ!」


「いーや、俺は1人用ベッドがいい!」


たけしの目が充血していた。力んでいた。


「ふんっ!」


ブチっ!


たけしの体の自由を奪っていたロープが切れた。


「えっ?」


荷物の整理をしていたヤンが驚いた。


(おいおい、万家の拘束術を力技で解いただと、、)


甲斐性は呆れている。


「おい、ヤン、てめーどうなるか分かってんだろうな?」


「え?紐切ったの?え?ちょちょっと待った、暴力はよくない」


「うるせー!」


たけしがヤンに殴りかかる寸前に、たけしは止まった。部屋中にあったナイフとフォーク、筆ペンや先端が尖っているものが、一斉にたけしとヤンの体1センチの所で止まったからだ。


甲斐性だった。


「いい加減にしろ、2人とも。このまま続けて体が穴だらけになるか、大人しく食堂へ向かうか、落ち着いて選べ。」


たけしは喉元に突き立てられたナイフを見て、額から汗が出た。ヤンは懐に突っ込んでいた右手をゆっくり抜いた。


「分かりましたよ。亮太君。仲良くしましょう。」


ヤンがそう言うのを聞いて、甲斐性はたけしを見た。


「たけしはどうだ?」


「ヤン、だがてめーのベッドは、2段ベッドだ」


甲斐性はため息をついて、少し考えた。


「わかった。じゃあ1人用のベッドは俺が使う。文句のある奴はこのまま穴だらけになるか、ベッドを明け渡すか、慎重に言葉を選んでくれ。」


「僕は亮太君で大丈夫よ。」


ヤンがすぐに答えた。たけしは甲斐性を睨みつけながら、右手の先にある空中で固定されているナイフを掴んだ。


甲斐性はそれを冷めた目で見ていた。


ナイフがたけしの手に食い込み血が滲んだ。たけしが力を入れると、パキッと音がして、掴んでいたナイフの固定が解けた。


(こいつ、なんつーさめた目をしてやがる。)


たけしは甲斐性の目を見て、少し寒けがした。

たけしはそのナイフを下に放り投げてから言った。


「わかったよ。俺の負けだ。」


「よし。」


ザザーっとヤンとたけしの周りを覆っていた凶器が自重で床に落ちた。


「とりあえず飯にしよう。」


甲斐性はほっとしながらも、今後の共同生活に不安しかなかった。

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