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王女、調べる

 侍女が落としていった本は歴史書、と思われる。

 それがわかるということは読めるということだった。

 転生もの特有の言語能力というものだろう。むしろ読めない方が普通なのだから。


 幾分か読み進めて私は頭を抱えた。これは由々しき問題だ。

(名称が全く頭に入ってこぬぇ)

 あれだ、横文字ばかりで全く理解できない老人と同じ現象が起きてる。

 ただ、魔族やらエルフやらのファンタジーお馴染みの単語に関することはすんなり入った。

 歴史が大雑把に記されているが、詳しく記されていない。

 遥か昔、天使と魔族の戦争があった。その名も天魔戦争!ということを数ページにわたって長々と書かれているのだが、詳細が一切書かれていない。

 そもそも天使って。白い翼、光る輪を頭上に、力ある光を放つ存在。どう考えても女神の眷属だろう。まぁ、お約束としては天使なんて行き来不可能な天界とかにいて、そうお目にかかれず、実は暗躍していたとかで……

「姫様、床で本を広げるとかばっちいですよ、めっ」

 私の思考を遮って一人の侍女が本を奪い去って机の上に置く。

 そして私を抱きかかえると椅子に座らせる。

 その侍女には白い翼があり、頭上には光る輪があった。

「おてて拭きましょうね」

(この世界、緩いな)


 図書室に入り浸って数日、私はとうとうそれを手に入れてしまった。

 ざ・魔導書。

 あったよ、魔法。いや、あろう記述はいくつもあった。ああいや、テンションを上げるのはまだ早い。ここにもお約束はある。

 考えられる初期パターンは全く魔力がなくて使えないか、天才的な才能があるかだ。

 転生ものなら後者が多いだろう。いやでも期待するが、そういうときほど期待通りにならないのもお約束というもの。

 魔導書を読み進め、基礎を学ぶ。

 精霊に呼びかけ、魔力を差し出す代わりに力を借りる。らしい。

(うんうん、ファンタジーだ)

 そしてこの魔導書も、歴史書同様、無意味な解説で無駄にページ数を稼いでいた雑なものだった。

(一番肝心な精霊へのアクセスの方法がわからん。なんだ、念じればいいのか?生贄が必要か?ああいや精霊と言えば契約がお約束なのでは?宝石が必要なんだなそうだな)

 錯乱しつつ魔導書を調べるが、本当に肝心なことがわからない。

 こんなもの、現代で売られていたら詐欺で訴えられるぞ。

 やはり、魔法には師が必要なのだろう。これもまたお約束だろう。

 早速、魔導書を抱えて侍女天使の元へと向かう。天使なのだから魔法などなんのそのだろう。

「魔法ですか?使えませんよ、私。そもそも3世なので、飛ぶこともできませんし」

 酷い詐欺を見た。

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