プロローグ
初投稿です。よろしくお願いします。
勝手がわからず好き勝手やりますが、生暖かく見守ってください。
落ちている。
真っ逆さまに。
ああ、そうか、思い出した。
飛び降りたのだ。
別に自殺するほどの理由や事情は抱えていなかった。
そこそこの年齢になり、そこはかとなく夢を諦め、それなりに人生を謳歌した。
(もういいか)
そんな気持ちで飛び降りた。
飛び降りたのだが……
いつまでたっても来るべきときがこなかった。
俗に言う潰れたトマトになる瞬間が。
延々と暗闇の中を落ちているとそれは笑顔でやってきた。
急速に落ちてきたかと思うと、こちらと同じ高度で並走して見つめ合う。
(ああ、そういうパターンか)
神々しい白装束の少女。きっと女神だろう。
そういう書籍は何度も見てきた。まさか自分にそれが訪れるとは思わなんだ。
「おめでとう!選ばれちゃった人!堅苦しい挨拶は早々にルールを説明するね!」
女神は気さくだった。
よくある話なら、これからチートを授かって異世界転生するのだろうか。
「私は色々な世界からあなたのような存在を集めているの。簡単にいうとあなた達は不良品ね。神が作ったルールに逆らえる、神々を殺せる者」
どうやらこの女神は死にたいらしい。もしくはその存在を集めて他の神を殺したいのか。
「そう、私は死にたいの!もう神の役割に飽きたの!でも、簡単に交替するのも、投げだすのもつまらないでしょ?だから他の神も扱いに困る不良品を集めて、ばとるろわいある?というのをやってみようと思ったの。好きなんでしょ?あなた達人間はこういうの」
いや最後の一人にする必要があるのだろうか。ああいや、そうか、神になれるのは一人なのか。
ルールとやらの説明に至っていないと思ったが、目的はわかった。
おもむろに眼前の女神の細い首に両手を添える。
「せっかちさんね。まだお約束のち……っ!」
力を込めても平然としてた女神が苦悶の表情に変わる。なんだか首がごきゅごきゅ鳴って、絞めているこっちが気持ち悪くなる。
焦った表情の女神の右手に光が集まる。
(あ、やばいやつだ)
それは人など簡単に消滅できる力に違いない。
咄嗟にこちらも右腕を引いて女神の胸に打ち付けた。
落下中の踏ん張れない態勢の拳など、そもそも女神なんてチート満載そうな存在に無駄だろうと思った。跳ね返されたり、拳が砕けるだろうと。
しかし、突き出した拳は女神の体を簡単に貫いた。
同時に女神の右手から放たれた光によって意識が飛んだ。
(やっと死ぬのか)
ぼんやりそんなことを考えながら。