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幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-08『忘却の果て、蒼き記憶の彼方に』
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第四章:LOST UNION/04

「――――以上が、私と飛鷹、そして桜花戦乙女同盟の皆についてです」

「そんな、そんなことって…………」

 二人の口から語られた、主に遥の口から紡ぎ出されていた過去の出来事。彼女たちの今日までの戦いについての長い説明が終われば、美雪は青ざめた表情でそう呟いていた。何と言えば良いのか、分からないといった風に。言葉も出ないといった風に、美雪は呟いていた。

「私は、私は……何も知らないまま、遥さんにあんなことを…………っ」

「……美雪さん」

「貴女を超えるだなんて、私が師匠のお傍に、なんて……何も知らずに、勝手なことばかり。私は、私は……っ!!」

 ぷるぷると自責の念に肩を震わせる美雪に、遥は一言「気にしないでください」と優しげな表情と語気で語り掛ける。

「貴女の気持ちも、私には理解できます。私は気にしていませんから、どうか美雪さんも気に病まないでくださいね」

「……ごめんなさい、遥さん。師匠も、何とお詫びをすれば良いのか……」

「美弥が良いというのなら、お前がそう気に病むことでもない」

 ぺこりと頭を下げる美雪に、飛鷹は――――アパートの窓枠に腰掛け、もたれ掛かる彼女は窓の外、茜色に染まる夕焼け空を眺めながら……軽く横目の視線を投げかけつつ、美雪にそう言う。

 そうすれば、続けて飛鷹はこんな言葉も自らの弟子に投げかけていた。ある意味で小言のようでもある言葉を、冷静に諭すような口調で。

「ただ、美弥もそうだが……P.C.C.Sの連中もそうだ。あまり敵視しすぎるな、美雪。相手が誰であれ、私たちと彼らが戦う理由は、戦う相手は同じはず。敵の敵は味方……ではないが、とにかく彼らと私たちの目的は一致している。注意を払うべきではあるが、それは事実だ。お前の気持ちも分からなくはないが……美雪、そうムキになるな」

「……はい、師匠」

 コクリ、と落ち込んだ様子の美雪が小さく頷く。

 そんな美雪の反応にフッと微かに笑んで返せば、飛鷹は次に遥の方へと視線を投げかけ。とすれば、彼女にこんな質問をしていた。

「そういえば美弥、お前はやはりP.C.C.Sと関わっているのか?」

 確信を秘めた問いかけだったが、しかし遥は「いえ」と首を横に振って否定する。

「あの組織と関わりを持っているのは、あくまで戒斗さんとアンジェさんたちだけです。

 ……お二人が気を遣って、私のことは隠してくれているんです。ですから、私が神姫であることはお二人以外、誰にも知られていません」

 続けて遥がそう説明すると、飛鷹は「そうか」と納得したように頷く。

「飛鷹たちは、彼らに……P.C.C.Sに協力はしないのですか?」

 遥は飛鷹に向かって更にそんな質問をしてみたが、飛鷹はこう言って否定する。

「さっき私たちとP.C.C.Sの目的は同じと言ったが、しかしまだ信用できる相手と認めたワケじゃあない。慎重になり過ぎて駄目なことはないと……私たちは、痛いほどそう学んだはずだ」

「……そう、ですね」

 ――――痛いほど、そう学んだ。

 飛鷹の口にしたその言葉の意味が、過去の戦いのことであると理解すれば……遥は僅かに目を伏せながら、小さくそう呟くしか出来なかった。

 そんな彼女を見つめながら、飛鷹は「だが」と言い、

「お前がそこまで信頼する二人が信じている連中だ。確かに……ひょっとすれば、信用に足る相手なのかも知れんな」

 と、僅かに表情を綻ばせながら、続けて飛鷹はそう言った。

「さて……早速だが美弥、明日は例の場所に行ってみるとしよう」

「例の場所……ですか?」

 急激な話題転換に戸惑い、遥が疑問符を浮かべながらきょとんと首を傾げると。すると飛鷹は「ああ」と頷き、彼女にこう告げた。

「私たちの、桜花戦乙女同盟の、全ての始まりの場所――――来栖大社だよ」





(第四章『LOST UNION』了)

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