第一章:過去への旅路/01
第一章:過去への旅路
――――昨日の晩に遡る。
昨日の晩と言うべきか、それとも今朝方と言うべきなのか。とにかく戒斗たちがアルマジロ・バンディットと一戦交えた時刻から約二四時間前の、同じ真夜中のことだ。
その時、目を覚ましてしまった戒斗はベッドから起き、自室を出て自宅二階の廊下を歩いていた。
そうして歩いていると、ふと遥の、間宮遥の部屋が彼の目に留まる。
通り過ぎようとした戒斗だったが、しかし……見てみると、何故か部屋の扉は半開きになっていて。そんな扉の隙間から戒斗が何気なしに中を覗き込んでみると――――そこに、遥の姿は何処にもなかった。
「遥……?」
こんな真夜中に、彼女が部屋に居ない。
敵が出現し、それを感知して飛び出していったのなら、戒斗の方にもP.C.C.Sから緊急出動の連絡が来るはずだ。しかし戒斗のスマートフォンの着信履歴にそれがない以上、遥が神姫として戦いに行った可能性はほぼゼロに近くなる。
――――だとしたら、何故彼女は部屋に居ないのか。
不思議に思った戒斗は、首を傾げながら遥の部屋に恐る恐る入ってみた。
中に入っても、やはり遥の気配は欠片も伺えない。
そんな部屋の中に立ち尽くしながら、戒斗がぐるりと見まわしてみると。すると……机の上には、何やら書き置きらしきものが残されていた。
「…………」
気付いた戒斗は書き置きを手に取ると、それに視線を落として読んでみる。
すると――――そこには、こう書かれていた。
――――暫く、家を離れます。必ず帰ってきます。どうか……探さないでください。
「遥、一体どうして……?」
書き置きを手にしたまま、驚く戒斗は……どうして遥が突然出ていったのかも分からず、暫くの間呆然とその場に立ち尽くしていた。




