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幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-07『黒い勇者、その名はヴァルキュリアXG』
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第十一章:強襲、白き流星/02

 飛び出した三人、セラは真に、遥は潤一郎に。そして――――アンジェはチーター・バンディットに喰らい付いていく。

「真、いい加減正気に戻りなさい!!」

 セラの振りかざす左手のコンバット・ナイフと、真が右腕装甲から射出展開した日本刀型の武具『グラファイトソード』とが斬り結ぶ。

「…………」

 ナイフとグラファイトソード、互いの刃が激突し火花が散る中、鍔迫り合いの状況で互いの顔を至近距離から見合う中……しかし真はセラの呼び掛けに答えることはなく。氷よりも冷たい無表情のまま、焦点の合わない光の消えた瞳でただセラを射抜くのみ。

「この……分からず屋ぁっ!!」

 そんな真の、明らかに自我が消え失せている様子を見て……セラは雄叫び。やり場のない怒りをぶつけるように刃を放すと、そのままバッと飛び退いて真から距離を取る。

 距離を取りながら、右手はレヴァー・アクション式ショットガンを構えていて。セラはそのショットガンの狙いを真に合わせると、一瞬だけ躊躇するが……しかし迷いを振り切れば、彼女目掛けてショットガンを発砲する。

 銃口から激しい火花が散り、銃声とともに散弾が翡翠真に襲い掛かる。

「…………回避」

 だが、真はそんなセラの散弾を容易く回避。とすればグラファイトソードを右腕装甲に戻すと……今度は左腕装甲から弓型の武具『グラファイトボウ』を展開。左手で直接握ることはなく、弓が腕の装甲から直接生えているようなその弓の弦に、真は虚空から呼び出した矢を右手で(つが)える。

「…………照準、発射」

 そうすれば、真はセラに狙いを定めながら……ピンと伸ばした左の人差し指、そこに禍々しい闇の力を集め始める。

 指先に集めた漆黒の光を、(つが)えた矢……人差し指のすぐ傍にある、矢の(やじり)に移す。

 そうして凝縮させた闇の力を矢に宿すと――――真はそれを、セラ目掛けて撃ち放った。何の躊躇もなく、正確な狙いで。

(避けられない……っ!?)

 そんな真の一撃を避けられないことを悟ると、セラは咄嗟にガーディアンフォームにフォームチェンジしようとしたが……しかし、間に合わない。

 シールドも使えないと判断すると、セラは身体の前で両腕をクロスさせ、現状のガーネットフォームのままでの防御態勢を取った。

 瞬間――――セラの身体に、真の放った矢が激突する。

「がぁぁぁ――――っ!?」

 強力無比な一撃を受け、セラが彼方へと吹っ飛んでいく。

 物凄い火花を散らしながら、細かな神姫装甲の破片を撒き散らし。セラは先程のように地面を何度かバウンドした後、ショットガンとナイフを取り落としながら地面を転がると……どうにかこうにか、よろめきながらも立ち上がる。

「っ……!! やってくれるわね…………!!」

 真の放った一撃を受け、立ち上がりながらセラは……汚れた口元を手の甲で拭いながら、独りそう毒づく。

 ――――『スピアーショット』。

 それこそが、今まさに翡翠真がセラに向かって放ち、彼女に手痛いダメージを与えた一撃だった。

 左人差し指に凝縮させた闇の力を、グラファイトボウに(つが)えた矢に移し。それで以て標的を射抜く、神姫グラファイト・フラッシュの必殺技。その一撃を喰らい、セラはこうして吹っ飛んでしまっていたのだ。

 威力の方はセラが想像していたほどではないが、それでも必殺技は必殺技だ。戦闘不能にこそならなかったものの……しかし、セラが手痛いダメージを負ったのも事実。相手が翡翠真だからって手加減していたが、どうやら彼女は……神姫グラファイト・フラッシュは、そんな舐めた真似が許されるような相手ではないらしい…………!!

「だったら、こっちも本気で行かせて貰うわよ……!!」

 そう判断すれば、セラは両手にショットガンを再召喚。二挺のレヴァー・アクション式ショットガンを、まるで二挺拳銃でもするかのように両手で構えれば、再び真と相対する。

 闘志を剥き出しにした獰猛な視線を向けるセラと、感情が欠片も見受けられない、冷たすぎる視線でじっと見つめる真。

「やってやるわ……第二ラウンド、覚悟なさいっ!!」

「……目標、健在。殲滅、続行――――!!」

 両手にショットガンを携えたセラフィナ・マックスウェルと、グラファイトボウに二の矢を(つが)える翡翠真。ガーネット・フェニックスとグラファイト・フラッシュ、二人の神姫の一対一の勝負は――――まだ、もう暫く終わらない。

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