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幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-07『黒い勇者、その名はヴァルキュリアXG』
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第十章:セカンド・イグニッション/深紅の乙女より愛を込めて/04

「ハッ……!!」

 セラの傍を離れた遥が、コフィンの群れの中へと飛び込んでいく。

 足裏のスプリング機構を圧縮し、解放。バッと勢いよく懐に飛び込めば、聖剣ウィスタリア・エッジを閃かせ……三体纏めて斬り伏せる。

「ロックオン……! やらせるかぁっ!!」

 そんな遥の背中を取ろうとした数体のコフィンに対しては、セラが太腿のミサイルポッドからマイクロミサイルを斉射することで撃破してみせた。

「フェニックス!」

「背中は任せなさい! それより……頼んだわよ、セイレーンッ!!」

「分かりました……!!」

 セラの援護射撃を受けながら、遥は右へ左へと機敏に動き回りながら巧みに立ち回り……時折数体を斬り捨てながら、バラけていたコフィンの群れを一か所に集まるように上手い具合に誘導する。

 あくまで自然に、しかし的確に……コフィンの群れをある一点へと、セラの射線上へと導く。

 この芸当、遥が歴戦の神姫だからこそ為せる業だ。記憶を失えど、身体に刻まれた戦技は消えず。これは遥が戦技に秀でた神姫であると同時に、彼女と――――セラと深い信頼関係が無ければ、到底不可能なことだった。

 互いの素性は未だ知れずとも、心では通じ合っている。

 それが彼女たち二人、ウィスタリア・セイレーンとガーネット・フェニックス……間宮遥とセラフィナ・マックスウェルだった。

「今です、フェニックス!!」

「オーケィ……完璧な位置に誘い出してくれたわね……!!」

 全てのコフィンを射線上に集めたところで遥は叫び、すぐさまその場から飛び退いていく。

 とすれば、遠く離れた場所では既にセラが一斉射撃の態勢を取っていた。

 背中に生えた尻尾状のアンカーを地面に打ち付け、身体を固定。肩の重粒子加速砲と腕のマシンキャノン、腰の榴弾砲に太腿のミサイルポッド。そして両手に握り締めたガトリング機関砲。構えた全ての武装に稲妻を纏わせ、その砲口でコフィンたちをじっと睨み付ける。

「捉えた……! ロックオン! オールウェポン・セイフティリリースッ!!」

 相対する神姫二人の真の目的を悟り、動揺するコフィンたち。

 しかし、今更気付いたところでもう遅い――――!!

「フルチャージ……! いっけぇぇぇぇ――――――っ!!」

 セラの雄叫びとともに、彼女が構えた全ての武装。雷撃を纏いし全ての重火器が一斉に火を噴いた。

 六銃身を回転させるガトリング機関砲が吠え、腕のマシンキャノンが唸り。腰の榴弾砲は雄叫びを上げ、太腿のミサイルポッドからは無数のマイクロミサイルが踊り狂い。そして両肩の重粒子加速砲からは強力無比な重粒子ビームが迸る。

 そんな彼女の一斉射撃を前に、たかが量産型でしかないコフィン・バンディットたちは為す術もなく。ただその身を貫かれ、弾かれ、焼き尽くされ――――最後は重粒子ビームの彼方に消えていく。

 ――――『アポカリプス・ナゥ』。

 この一斉射撃、言うまでもなくセラの……神姫ガーネット・フェニックスは重砲撃形態、ストライクフォームの必殺技だ。

 雷撃を纏わせた全武装を一斉射撃し、その破壊的なまでの威力で何もかもを灰燼(かいじん)に帰す、戦略級とも呼べる強力無比な一撃。その威力は……まさに地獄の黙示録(アポカリプス・ナゥ)と喩えるに相応しい。

 そんな最大火力の全力斉射を受ければ、数秒後には……セラの放った重粒子ビームが過ぎ去った頃にはもう、射線上にあった何もかもが吹き飛んでしまっていた。そこに居たコフィンたち全員も含めた、何もかもが。

「――――流石です、フェニックス」

「アンタの誘導があってこそよ、セイレーン」

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