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幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-07『黒い勇者、その名はヴァルキュリアXG』
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第一章:伸ばした手のひらが繋ぐモノは/03

 ――――ヴァルキュリア・システムは、大破した。

 あの戦いの後、戒斗がウェズとアンジェに病院まで連れて行かれた後……有紀たちは当然ながら大破したVシステムを回収した。

 そうして回収したものを検分した結果……というか、改めて確かめるまでもなく分かっていたことだが、Vシステムは致命的なダメージを負ってしまっていると結論付けられた。

 無論、現状で戦闘は百パーセント不可能だ。というか装着すら出来ないようなレベルで壊れてしまっている。

 とはいえ……Vシステムがそこまで壊れてくれたお陰で、中の戒斗は重傷を負ったものの、生命(いのち)に別状はなかった。

 ある意味でVシステムが身代わりになったようなものだ。有紀が開発当初から自信を持っていた装着者の安全性という部分が、まさかこんな形で立証されてしまうというのは皮肉なものだが……とにもかくにも、Vシステムが大破するのと引き換えに、戒斗は思ったよりも軽傷で済んでいるのだ。

 …………とにかく、最終的な結論としてVシステムは大破。完全に戦闘不能な状態に陥ってしまっている、というワケだ。

「ま、壊れたとは言うが、厳密にいえば修理自体は可能だ。とはいえ修復には少なく見積もっても数ヶ月は掛かってしまう。とてもじゃないが、今すぐに再出撃というのは不可能だ」

 そんな具合の内容を説明した後、有紀は付け加えるように戒斗に言う。

 言われた戒斗は「何か……何か方法はないのか!?」と青ざめた顔で問うが、しかし有紀は口を閉ざしたまま……何も答えようとはしない。

「っ…………!!」

 無言は、即ち打つ手なしの意味だ。

 それを暗に悟ると、戒斗はがっくりと肩を落とし……(うつむ)き、絶望する。

「…………すまない、先生」

「気にすることはないさ、君が悪いワケじゃあない」

 肩を落としたまま、(うつむ)いたままで戒斗が詫びると、有紀は普段通りの語気でそう言ってくれたが。しかし……それでも、戒斗の胸にはぽっかりと大きな穴が開いていた。



 そんな風に戒斗が目覚めて、アンジェと有紀に事情を説明されてから……程なくして、アンジェは有紀に連れられる形で一旦自宅に帰って行った。

 アンジェと有紀が出ていった後、戒斗は暫くの間この病室で独りきりだった。

 そうして皆が居なくなって、一時間ばかしが経った頃――――病室の引き戸が、外からガラリと開かれる。

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