表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-05『オペレーション・デイブレイク』
231/374

エピローグ:Ride Out/03

「――――それで、どうにかなったんだけれど……大変だったよ」

「アンジェさん、あの晩にそんなことが……」

「うん。……まあ、この話はこの辺りでおしまいかな。今度はあの話を聞かせてよ」

「あの話、というと?」

「美雪ちゃんのこと。遥さん、前に美雪ちゃんと戦ったって言ってたよね? その時のこと、僕も一応知っておきたくてさ」

「ああ、その話でしたら――――」

 所変わって、純喫茶『ノワール・エンフォーサー』。

 既にオペレーション・デイブレイク決行から数日が経過したこの日、ガランとした午前中の店内ではカウンター席に座るアンジェと、その向こう側に立つ遥とがそんな風に和やかな調子で話している最中だった。

 今まで話していた内容は、数日前のオペレーション・デイブレイクに関してのことだ。

 遥は直接関わっていない作戦だったが、しかしあの日の出来事や……それに何よりも、あの白いアルビオン・システムのことを彼女に知っておいて欲しくて。だからアンジェはその話を、今の今まで遥に話していた。

 そして、これから話す内容は美雪の――――あの日、遥が刃を交わした風谷美雪のことだ。

 アンジェとしても、その時のことを知っておきたかったのだ。地下司令室での会合の際、概要は聞かされていたが……しかし戒斗たちが離れた後、実際に美雪がどんな風に遥と戦ったのか、その時の様子を知っているワケではない。

 だから、当事者たる遥にそのことを訊いておきたかったのだ。変わってしまった美雪のことを、少しでも理解してあげたいという思いがある故に。

「そういえば……遥さん、何か思い出せた?」

 そんな美雪に関する話も終わった頃、アンジェは続けてそんな質問を目の前の遥に向かって投げ掛けてみる。

 記憶に関する話題だ。ある意味でデリケートな話題ではあるが……しかし、今更そういったことに気を遣いすぎるような仲でもない。だからアンジェは単刀直入に、そう遥に問いかけていた。

「いえ……」

 だが遥は、静かに首を横に振る。

 アンジェは「そっか……」と少し残念そうな顔で返すだけで、その話はそれきり続くことはなく。少しの間、店の中には沈黙が漂っていた。

「そういえば、戒斗さんは今日どちらに?」

 と、そんな沈黙を破って遥が何気なくアンジェに問う。

 珍しく戒斗の姿が何処にも見当たらないことが、少し不思議だったのだ。

「んー? カイトなら、今日はセラと約束があるって言ってたよ?」

 すると、アンジェは間延びした声でそう答えてくれる。

「約束……ですか?」

「うん。何か妙に張り切って車出してたし……多分、また危ないことでもするんじゃないかなあ。セラってば、アレでいて結構カイトと同類みたいなところあるし」

 呆れ気味にアンジェが呟く言葉で、遥は珍しく戒斗がこの場に居ないこと、セラとの約束がどんなものなのか……何もかもを察する。

 そうすれば、遥はもう苦笑いを浮かべるしかない。同じく何とも言えない顔をするアンジェと苦笑いを交わし合いながら、遥は彼女とこんなやり取りを交わす。

「ああ……そういうことですか」

「うん、そういうことだね。なんか埠頭の方に行くって言ってたし、間違いないと思うよ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ