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幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-04『復讐の神姫、疾風の戦士ジェイド・タイフーン』
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第十六章:風の呼び声に導かれ

 第十六章:風の呼び声に導かれ



 唸り声とともにどこからともなく現れ、突然飛びかかってきた青と白のバイクが、今まさに戒斗を毒牙に掛けようとしていたスコーピオン・バンディットを猛烈な体当たりで吹き飛ばす。

「シューッ!?」

 苦悶の雄叫びとともに吹っ飛んでいくスコーピオン。それが今まで立っていた場所に、砂埃を上げながらバイクが派手に横滑りをして停まった。

 …………一九九〇年式、スズキ・RGV250Γ(ガンマ)

 白色をベースに、青と水色のラインが入ったレーシーなカウルの目立つそれが、今まさにスコーピオンを勇敢に吹っ飛ばし……そして、死の淵に立たされていた戒斗を救ったのだ。

「ぐあっ……!」

 スコーピオンが吹っ飛んだ衝撃で、拘束を逃れた戒斗はその場に尻餅を突いていた。

 そうして尻餅を突きながら、戒斗は割れたヘルメット越しにそのバイクを……跨がるライダーの姿を見上げてみる。

(女の子、か……?)

 突然現れた、青と白のバイク。まさに自分の窮地を救ってくれたそのバイクに跨がっていたライダーは、明らかに女の子だった。

 背丈は一五六センチぐらいか。その顔付きこそ、被った白いフルフェイス・ヘルメットのせいで分からないが……しかしセミロング丈の綺麗な黒髪の女の子だということは分かった。

 格好は黒のキャミソールに焦げ茶色のジャケットを羽織り、下は赤黒チェックのスカート。華奢で長い脚を包み込むのは黒のオーヴァー・ニーソックスと、焦げ茶のハイカットブーツ。首元には白いスカーフを靡かせている、そんな出で立ちの女の子が、今目の前に滑り込んできたバイクのライダーだった。

「カイト、大丈夫っ!?」

「あ、ああ。どうにかな……しかし、彼女は一体」

 仰向けに倒れそうになったところを、駆け寄ってきたアンジェに抱き抱えられつつ。ボロボロになったVシステムのヘルメットを彼女に脱がせて貰いながら、戒斗は目の前のバイクと、そのライダーの女の子を見上げながら呟く。

「分からない……でも、カイトを助けてくれた」

「味方なのか? それとも……」

 抱き抱えてくれているアンジェと二人で見上げ、言葉を交わし合っている間にも……その女の子は、被っていた白いフルフェイス・ヘルメットを脱いでみせた。

 すると、脱いだフルフェイス・ヘルメットの向こうから現れたのは――――。

「まさか……冗談だろ…………!?」

「美雪ちゃん、なの……!?」

 ヘルメットの奥から現れたのは――――他でもない、風谷美雪の横顔だった。





(第十六章『風の呼び声に導かれ』了)

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