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幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-04『復讐の神姫、疾風の戦士ジェイド・タイフーン』
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第十四章:Through the Fire/01

 第十四章:Through the Fire



 真っ先に現場に到着していたのは、セラとアンジェの二人だった。

 場所は郊外にある広い採石場。そこで作業に勤しんでいた十数名の作業員たちが、今まさにバンディットの群れに襲われているところだった。

「……! 待ってアンジェ、あの二体って……!!」

「うん、どっちも僕らがこの間倒した奴だよ……!?」

 そんな現場、採石場の片隅に横滑りしながら停まった真っ赤なホンダ・ゴールドウィングF6C。それに跨がるセラと、その後ろにしがみついていたアンジェは、それぞれの被るヘルメットのバイザーを上げながら……目の前の光景、作業員たちを襲う既視感のあるバンディットたちの姿を目の当たりにして、眼を見開き驚いていた。

 ――――スコーピオン・バンディット、コング・バンディット、そしてホーネット・バンディット。

 スコーピオンはさておくとしても、後の二体は以前の戦いで、あの立体駐車場での戦いでそれぞれアンジェと遥が倒したはずのバンディットだ。

 倒したはずの敵が、まだ生きている。

 一度撃破したはずの敵が、再び目の前に現れたのだ。二人が驚き戸惑うのも、無理もない話だった。

「どういうこと……!? まさか、復活したとでも…………!?」

「分からないよ、分からないけど……でも、今は!」

「ええ、そうね……!!」

 二人は頷き合い、ヘルメットを脱ぎながらバイクを降り。そのまま全速力で駆け出していけば、作業員たちを襲う三体のバンディットに生身のまま飛びかかっていく。

「でりゃぁぁぁっ!!」

 真っ先に飛び出したセラが鋭い飛び蹴りを喰らわせ、今まさに作業員を手に掛けようとしていたスコーピオン・バンディットを蹴り飛ばす。

「やらせない……!」

 その傍ら、アンジェもスコーピオンに強烈な回し蹴りの連打を食らわせて、また別の作業員を救っていた。

「今の内に逃げてください!」

 そうすれば、アンジェは今自分が助けた作業員。真後ろで尻餅を突いていた彼にそう叫ぶ。

「で、でもお嬢ちゃん……!」

 しかし、作業員の男はアンジェやセラを……年端もいかない少女たちを置いて行けないと思ったのか、そう言って躊躇ってしまう。

「うっさい! アタシらが逃げろって言ってんだからさっさと逃げる!」

 そんな彼や他の作業員たちに対し、セラが横から怒鳴りつければ。すると躊躇っていた作業員たちは「あ、ああ……分かった、恩に着る!」と礼を言い、背を向けてその場から一目散に逃げていった。それこそ、蜘蛛の子を散らすような勢いで。

「くっ……!!」

「いい気になっちゃって……!!」

 作業員たちが逃げる時間を稼ぐべく、アンジェとセラは三体のバンディットに対して飛びかかり。殴って回し蹴りを何発も繰り出して、そのまま揉み合いになって……生身のままで戦い、バンディットの注意を引き付ける。

 そうして揉み合いになった末、アンジェはスコーピオンに、セラはホーネットに軽く吹っ飛ばされ、二人一緒に地面を転がった。

「さあて、そろそろかしらね……」

「そうだね……行くよ、セラ!」

「アタシらでカタを付ける! ――――重装転身!」

「チェンジ・ミラージュ!!」

 砂利の地面に転がった格好から起き上がり、二人で頷き合い。そうすればセラとアンジェは構えを取り、両手と左手、それぞれのガントレットを手の甲に出現させる。

 赤と黒のフェニックス・ガントレット、そして赤と白のミラージュ・ブレス。

 セラは身体の前でクロスさせた両手を、雄叫びとともに腰まで引き。アンジェは突き出した右の手首をクルリと内側に回し、そのまま両手を大きく振って、顔の右横で握り拳を作りながら構える。

 そうすれば――――高鳴る鼓動のような低い唸り声が響き渡り。二人のガントレット、その丸いエナジーコアから放たれた眩い閃光に身体が包まれて……一瞬の内に、二人の姿は神姫のそれへと変貌を遂げていた。

 ――――赤と黒の神姫、ガーネット・フェニックス。

 ――――赤と白の神姫、ヴァーミリオン・ミラージュ。

 それぞれ基本形態のガーネットフォームとミラージュフォームだ。セラは虚空より出現させた二挺のレヴァー・アクション式ショットガンの銃把を両手で握り締め、そしてアンジェは腕のアームブレードと脚のストライクエッジ、固定装備された四つの刃をギラリと煌めかせる。

「今度こそ、アタシたちが仕留める!」

「逃がさない……君たちは今日、此処で倒す!!」

 スコーピオン、コング、ホーネット。睨み付けてくる三体のバンディットに吠えれば、二人は相対した異形の怪人たちとの戦闘を開始した。

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