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幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-04『復讐の神姫、疾風の戦士ジェイド・タイフーン』
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第十三章:呼び声に誘われて/03

 それと全く同時刻。例によって純喫茶『ノワール・エンフォーサー』の手伝いをしていた遥も、やはり頭の中にアンジェたちが覚えたのと同じ、耳鳴りのような甲高い感覚を覚えていた。

「くっ……!?」

(この感覚……現れたようですね)

 笑顔で接客をしている最中、急に覚えた甲高い感覚に小さく顔をしかめつつ。遥は内心で冷静にそう判断する。

 久方振りの感覚だ。最近ではバンディットと戦う機会も、不思議とめっきり減ってしまっていた。

 勿論、それ自体は喜ばしいことだ。本来なら神姫の力なんて、使わないに越したことはないのだから。

 しかし――――束の間の平和は長くは続かない、というワケか。

「すみません、急用が!」

 誰かが助けを求めているというのであれば、神姫としてその呼び声に応えなければ。

 だから遥は頭の中に鳴り響く警鐘を感じ取った瞬間、すぐに戒斗の両親に……今は厨房に立っている二人にそう告げて、身に着けていたエプロンを外しながら店を飛び出し。そのまま、店の入り口近くに置いていた自分のバイク。ニンジャZX‐10Rに飛び乗る。

 黒いフルフェイス・ヘルメットを被り、キーを差し込みイグニッション・スタート。排気量一リッターの直列四気筒エンジンに火を入れると、暖機運転の時間も待たずに遥はスタンドを蹴り飛ばし、ギアを繋いで一気に走り出す。

 一速、二速、三速……加速するに従って一段、また一段とギアを叩き上げる。それに呼応し、遥の内側の昂ぶりも強まっていく。右手の甲が、今日はいつにも増して熱い。

「もう、誰にも悲しい顔をさせたくない……だから、私は!」

 黒いカウルで風を切り、真っ青なストレートロングの髪を激しく靡かせながら、遥は走り抜ける。警鐘の告げる方へと、呼び声の聞こえる方へと向かって。ただ……真っ直ぐに。





(第十三章『呼び声に誘われて』了)

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