第十三章:呼び声に誘われて/01
第十三章:呼び声に誘われて
事が起こったのは、それから更に数日経ったある日のことだった。
平日のこの日、昼休みを迎えたセラとアンジェはいつものように神代学園の校舎屋上へと昇り、貯水槽にもたれ掛かりながら二人で一緒に昼食を摂っている最中だった。
「へえ。で、どうなったっての?」
「うん。それでね、セラ――――」
それぞれ食事を摂りながらの、何気ない笑顔での会話。そんな他愛のない会話の最中、二人は耳鳴りのような甲高い感覚を――――慣れ親しんだ、しかし最近はめっきり感じなくなっていたその感覚を、唐突に頭の中に感じる。
「っ、来たか……!!」
「この感覚……もしかして」
――――警鐘。
頭の中に強く鳴り響くこの感覚は、本能の告げる警鐘。討ち倒すべき異形の敵が……バンディットが現れたと本能が強く訴えかけてきている。
「やっと現れたらしいわね……! 行くわよ、アンジェ!!」
「うんっ!!」
何処かで誰かが、助けてと叫んでいるような気がして。その呼び声に誘われるかのように、セラとアンジェの二人は貯水槽の傍から飛び降り、そのまま屋上を飛び出していく。
消えてしまった美雪のことは心配だが……それ以前に、自分たちは神姫なのだ。誰かに助けを求められたのなら、その呼び声に応える。それが――――神姫なのだから。