第四章:君との幸せな日々が、永遠に続きますように――――。/01
第四章:君との幸せな日々が、永遠に続きますように――――。
「お待たせ、カイトっ」
そして訪れた夕刻頃。いつものように神代学園の校門前に戒斗がZを横付けして待っていると、そんな彼の元にアンジェが駆け寄ってきていた。
だが、今日に限って彼女は一人だった。
普段ならセラも一緒に連れてくるというのに、今日は珍しくアンジェ一人だけで。そんな彼女を見て怪訝に思い、戒斗が「セラはどうしたんだ?」と問うてみると。
「あー……」
するとアンジェは一瞬、明後日の方向を見て気まずそうに唸った後でこう答えた。
「セラなら、お昼頃に早退しちゃったんだ」
「早退……?」
首を傾げる戒斗にアンジェは「うん」と頷き、
「昨日のこと、セラやっぱり気にしてたみたいなんだ」
アンジェは続けて紡ぐ言葉で、戒斗にそう説明をした。
「そうだろうな……」
聞いた戒斗は眼を細めて、それに納得の意を示す。
あの様子じゃあ、気にしてないはずがない。ある意味では予想通りの答えだ。
「そ、それよりさっ!」
そんな風に遠い目をして唸る戒斗の手を、アンジェはそう言って取りながら、敢えて話の方向性を変えるようなことを彼に言う。
「朝の約束、ちゃんと覚えてるよね?」
「ん? ああ勿論。それで、何処に行きたいんだ?」
「ちょっとねー。とりあえず、一旦お家に帰らない?」
「んん……? まあアンジェがそう言うなら、一旦帰るとするか」
何処かはぐらかすような調子のアンジェに首を傾げつつも、戒斗は背にしていたZのドアを開け、アンジェを助手席に乗せてやる。
外側からドアを閉め、回り込んで自分も運転席へ。アンジェは一体自分を何処に連れて行くつもりなのだろうと疑問に思いながら、戒斗はひとまず家路に就くべくZを走らせていった。