第二章:もっと君を知れば/03
「あっ、セラおはよー」
そうして到着した私立神代学園の校門前。見慣れた校門のすぐ目の前へと横付けする形でZを停め、アンジェを車から下ろしてやると……たまたま同じタイミングで登校してきたセラと偶然にも鉢合わせして。歩いてきた彼女に、アンジェはいつものように挨拶をしたのだが。
「…………ええ、おはよう」
だがセラの方はといえば、何故だか妙に素っ気ない調子というか、心ここに在らずな感じで返してくる。俯き気味な彼女の顔色も、心なしか暗い色をしていた。
「あっ、ちょっ、待ってよセラっ!」
素っ気ない挨拶で返したセラは、そのままアンジェの横を素通りしてさっさと歩いて行ってしまう。
アンジェはそんな彼女を戸惑いながら呼び止めつつ、歩いて行くセラの背中を追って駆け出そうとして。
「それじゃあ、夕方の件は約束だからねっ?」
一度戒斗の方を振り向くと、アンジェは車のボディに寄りかかる彼に向かって笑顔でそう言った。
「分かってるって。それより早くしないと見失っちまうぜ」
「うんっ、じゃあ後でねカイト! ……セラ、待ってって! 僕を置いていかないでよっ!!」
もう随分遠くなってしまったセラの背中を追って駆け出し、校門の奥へと消えていくアンジェの忙しない後ろ姿を見送りつつ……やれやれ、と肩を竦めながら、戒斗もZに乗り込んでいった。