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幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-04『復讐の神姫、疾風の戦士ジェイド・タイフーン』
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第一章:BLADE DANCERS/05

 そうしてアンジェがコングを撃破する傍ら、セラから手を放した遥もホーネット・バンディットとの交戦を開始していた。

「ハァッ!!」

 狭い、決して天井が高いとはいえない立体駐車場の中を巧みに飛び回るホーネット。だが遥はその動きを見切り、すれ違いざまに一太刀を浴びせてホーネットを地面に叩き落とす。

「戦う場所を、間違えたようですね」

 遥は呟きながら、仰向けに落下して地面でもがくホーネットを見下ろしつつ、スッと構えを取り……携えた聖剣ウィスタリア・エッジ、その刀身に蒼の焔を纏わせ始める。

 実際、この地形はホーネットにとって不利の極みと言わざるを得なかった。

 もし此処が閉所でなかったら、嘗て遥が交戦した相手……河川敷でマンティス・バンディットと同時に戦った、あのビートル・バンディットの時のように翻弄されていたことだろう。或いは、今回もあの時のように空を飛んで逃げられていたかも知れない。

 だが、此処は立体駐車場という閉所だ。飛行特性を有するバンディットにとって、これほど戦いにくい地形は無いだろう。間宮遥との圧倒的な実力差もあるが、ホーネットがここまで叩きのめされた原因は……ひとえに、戦う場所を間違えたことだった。

「ハァァァッ……!!」

 遥は深い呼吸とともに自身の内側で強く気を練り、それを右手を通して聖剣ウィスタリア・エッジに注ぎ込む。

「懺悔とともに――――」

 そうして遥は極限まで気を練ると、蒼の焔を纏わせたその刃、ウィスタリア・エッジの細身な刃をバッと横一文字に振るった。

「――――眠りなさい………………!!」

 すると、振るわれたウィスタリア・エッジの刀身から光の刃が、蒼の焔を纏った光の刃が放たれる。

 究極に研ぎ澄まされた一閃、そこから放たれた蒼い光刃が、今まさに立ち上がったばかりのホーネットの身体を真っ二つに両断してしまった。

 ――――『セイレーン・ストライク』。

 セイレーンフォームの必殺技、それを喰らって身体を両断されたホーネットは、断末魔の叫び声を上げる間もなく……青白い焔となって爆発し。そして欠片も残さぬまま、灰となって風の中に吹き消えていった。

「っ、アタシだって……!」

 そんな風に遥がホーネット・バンディットを撃破するのを横目に見ながら、セラは最後の一体、スコーピオン・バンディットに向かって両手のガトリング機関砲を向けるが。

「逃げる気……!?」

 しかし、セラが姿を見つけた時には既にスコーピオンは逃げの態勢に入っていた。

「待ちなさい!」

 逃げようとするスコーピオンの背中に向かって、セラは両手のガトリング機関砲をブッ放そうとしたが……しかし彼女が撃つよりも早く、スコーピオンは立駐を飛び降りてしまっていて。追いかける暇も無いままに、最後の一体だったスコーピオン・バンディットには逃げられてしまっていた。

「くっ……!」

 逃げていくスコーピオンを見送りながら、セラは悔しげに歯噛みをする。

 そうしていると、戦闘終了と見た戒斗がレギュラス・スナイパーライフルを担いだままで隣の立体駐車場からこちらに飛び移ってきていて。そんな彼の傍に、変身を解除したアンジェが駆け寄っていく。

「任務完了、ってところか。お疲れ様だ、アンジェ。大金星だな」

「カイトも援護ありがとね。助かったよ、お陰で僕らは大物に集中できた」

「だったら、遠くからちまちま地味に撃ってた甲斐もあったってモンだ」

 戒斗はレギュラスを地面に置きつつ、ヘルメットを脱いで素顔を見せながらアンジェに微笑みかける。

「……では、私はこれで」

 そんな二人のやり取りを横目に見つめ、そしてフッと小さく微笑みながら、遥はこの場から立ち去ろうとしたのだが。

「――――待ちなさい、ウィスタリア・セイレーン!!」

 そうして去って行こうとした遥の背中に――――ガーネットフォームにフォームチェンジしたセラが、怒気を孕んだ怒鳴り声とともにショットガンを突き付けていた。

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