表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-04『復讐の神姫、疾風の戦士ジェイド・タイフーン』
136/374

第一章:BLADE DANCERS/04

「でやぁぁぁぁっ!!」

 戒斗が狙撃で次々とコフィンを始末していく傍ら、アンジェは威力特化形態のスカーレットフォームにフォームチェンジしていて。その両腕の格闘戦用大型ガントレット『スカーレット・フィスト』で以て、コングに猛烈な拳の嵐を叩き込んでいく。

「グオオオオ!!」

 速度を犠牲に、一撃の威力に特化した形態だ。流石に硬いコングといえども彼女の拳にはひとたまりもなく、アンジェの一撃が叩き込まれる度に身体から激しく火花を散らしながら、苦悶の雄叫びを漏らしている。

「このまま、一気に仕留める……!!」

 だがアンジェは手を緩めることなく、更に放った強烈な一撃でコングを大きく吹っ飛ばし。そうすれば一度大きく間合いを取り、スカーレット・フィストに包まれた左手をグッと握り締めれば、その拳に昂ぶる感情を乗せていく。

「一撃入魂……! 叩き付ける、全速力でッ!!」

 雄叫びを上げ、大きく踏み込んでアンジェは走り出す。

 走りながら、己の内側で強く、強く気を練り。その胸中に秘めた思いを高め……それを全力で叩き付けんとして、アンジェは全てを左の拳へと集中させる。

 どくん、どくんと高まる鼓動とは裏腹に、心は奇妙なまでに静まりかえっていて。胸の昂ぶりとは対照的に、熱く燃え滾る拳とは対照的に……アンジェの心は、不思議なぐらいに落ち着いていた。

「僕の覚悟……受けきれるものなら、受け止めてみせろッ!!」

 そして――――練りに練った気の高まりが、感情の昂ぶりが最高潮に達し、明鏡止水のように心が落ち着いた瞬間。アンジェは走りながら腰部スラスターを吹かし、更に勢いを付けながら突っ走っていく。

 拳を叩き付けるべき相手は、コング・バンディットのみ。幾ら硬さを勝ち誇ろうと――――この拳で、貫き通せぬ壁はないッ!!

「貫き通す……止められるものなら、止めてみせろぉぉぉぉぉっ!!」

 腹の底からの叫び声を上げながら、アンジェは左の拳を、スカーレット・フィストに包まれた拳をコングの胸に叩き付けた。

 ――――衝撃。

 叩き付けた左の拳から伝わってくるのは、確かな手応え。最大限まで練り込んだ気を乗せた彼女の拳が、コングの胸を一直線にブン殴る。

「グ、オオオオ……!!」

 アンジェの拳、そこから伝わる強烈なエネルギーがコングの胸に叩き付けられ。そうすれば表皮を通り越し、内側へと駆け抜けたエネルギーが……瞬時に暴発した。

「グオオオオ――――ッ!!」

 スカーレット・フィスト越しに叩き付けられた強烈なエネルギーがコングの体内で暴走すれば、コングは断末魔の雄叫びを上げ……そのまま、深紅の焔に焼かれて爆発四散してしまう。

 ――――『スカーレット・インパクト』。

 神姫ヴァーミリオン・ミラージュ、スカーレットフォームの必殺技を真正面からモロに喰らってしまえば、幾ら頑丈さがウリのコング・バンディットといえどもただでは済まず。コングは内側から爆発するかのように、強烈な深紅の焔にその身を焼かれていた。

 大爆発したコングの内側から弾け飛んだ焔は、アンジェをも包み込む巨大な火柱となって立体駐車場の空気を焦がす。

 だが――――そんな焔の中から、アンジェは悠々とした足取りで歩み出てきていた。

「これが……僕の覚悟だ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ