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幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-04『復讐の神姫、疾風の戦士ジェイド・タイフーン』
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第一章:BLADE DANCERS/03

『大物は他の皆に任せて、戒斗さんはコフィンを狙撃してくださいッス』

「了解した」

『露払いは君の役目だ、頼んだよ戒斗くん。

 ……先の戦闘で得たデータを解析した結果、君の持っているSV‐X2スナイパーライフル、レギュラスの三〇ミリ徹甲焼夷弾ならばコフィンを一撃で屠れると計算が出た。他の大物についても同様だ。チャンスがあれば、コフィン以外も狙ってみてくれたまえ』

「言われなくても、だ……!」

 通信から聞こえてくる支援オペレータの(みなみ)一誠(いっせい)、そして同じく支援に当たってくれている篠宮(しのみや)有紀(ゆき)の声を聴きつつ、戒斗は構えていた大きな狙撃ライフルのボルトを引く。

 ――――SV‐X2、レギュラス大型狙撃ライフル。

 立駐の壁際で二脚(バイポッド)を立て、戒斗が左手に銃把を握り締めているそれこそ……たった今、一撃でコフィンを吹き飛ばした得物の正体だった。

 使うのは三〇×一七三ミリの大型機関砲弾。戦車の装甲をも打ち砕くほどに超強烈な、そして人間が用いるにはあまりに大型過ぎるカートリッジだ。

 戒斗はそのレギュラスのボルトを引いて……そのままボルトごとライフルから空薬莢を取り出すと、それをひょいっと背後に投げ捨てる。

 巨大な空薬莢が背後でコンクリートの地面に跳ねる音を聴きながら、戒斗はレギュラスの本体右側面に取り付けてあった五連カートリッジホルダー、そこに差してある新しい巨大なカートリッジの尻にボルトを接続すると、そのまま弾を引き抜いて……レギュラスの銃身にボルトを押し込んで装填する。

 このレギュラス大型狙撃ライフルは、いわゆるシングル・ショット式の狙撃ライフルだ。故に弾倉は持たない。

 加えて、使うカートリッジが人間用としては本来実用不可能なレベルで巨大な物だから……このように引き抜いたボルトに直接弾を装填する、かなり特異な装填方式になっている。

 構造としては合衆国製の古い五〇口径の対物狙撃ライフル、アイヴァー・ジョンソンAMAC‐1500とほぼ同様だ。かなりマイナーなライフルだが、一応ドルフ・ラングレン主演の『スナイパー/狙撃』という映画で主役級の活躍を見せている。

 ……尤も、その映画自体もそこそこマイナーな領域に入ってしまうから、分かりにくい喩えではあるが。

 ――――閑話休題。

「さてと、次の獲物は……」

 戒斗は再装填の終わったレギュラスの銃把、グラスファイバー製のシャーシを左手で握り締めつつ、ジッと次なる標的を探す。

 センサー連動式の大型狙撃スコープを使い、標的を探し……次の獲物、また別のコフィン・バンディットをロックオン。面倒な弾頭計算などは、全てVシステム本体のFCS……火器管制装置が肩代わりしてくれる。

 だから、ロックオンしたら後は何も考えずに引鉄を絞るだけでいい。

「喰らいな……!!」

 戒斗はロックオンすると、即座にレギュラスを発砲した。

 ――――轟音。

 彼が引鉄を絞った瞬間、立体駐車場に木霊したのは……まさにそう表現するしかないほどに強烈な銃声だった。

 それこそ、鼓膜が破れかねないほどの轟音。巨大なマズルブレーキが取り付けられた銃口からは物凄い火柱が吹き上がり、周囲では発砲の衝撃波で激しく砂埃が巻き上がっている。

 襲い来る反動もまた、普通なら人間が耐えられるレベルではないのだが……そこは流石のVシステム。上手く制御してくれているお陰で、内側の戒斗には毛ほども反動が伝わっていない。

『命中確認、流石ッス戒斗さん』

「俺の腕じゃない、VシステムのFCSが優秀過ぎるだけだ」

 そうして戒斗が撃ち放った三〇ミリ砲弾は、見事にコフィンの胸部を消し飛ばしていた。

 ――――標的撃破。

 戒斗は通信から聞こえてくる南の声に、あくまでクールな調子でそう返しつつ。またボルトを引き抜いて空薬莢を放り捨てると、カートリッジホルダーから取り出した新しい一発を手早く再装填してやる。

 そうすれば、再びセンサースコープを使って標的を探し始めた。

「雑魚どもの大掃除、露払いは俺がやる。……後のことは任せたぜ」

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