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幻想神姫ヴァルキュリア・ミラージュ  作者: 黒陽 光
Chapter-01『覚醒する蒼の神姫、交錯する運命』
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第一章:平穏で幸せに満ち溢れた日々の中で/10

「遥?」

「あ、遥さーん!」

「……お二人とも、今お帰りでしたか」

 戒斗とアンジェが二人で家……戒斗の実家である純喫茶『ノワール・エンフォーサー』に戻ってくると。すると丁度同じタイミングで家に戻ってきていたらしく、店の前に自分のバイク……二〇一九年式のカワサキ・ニンジャZX‐10Rを停めていた遥と出くわしていた。

「急用とやらは大丈夫だったのか?」

「……ええ、もう済みました」

 戒斗が問うと、遥はバイクの上に被っていたフルフェイスのヘルメットを置きながら、薄い愛想笑いで返す。

 すると、戒斗はそれに「そっか」とだけ頷き返した。それ以上を訊こうともせず、深い事情を掘り返そうともしないままに、それきりで話題を打ち切ると言わんばかりの調子で、だ。

「……訊かないんですね、詳しいこと」

 そうすれば、戒斗のそんな態度を逆に不思議に思った遥が眼を細めながら呟く。

「乙女のプライベートを詮索するほど、俺は野暮な男じゃあないんだ」

 ポツリと呟いた遥の言葉に戒斗が返すのは、そんな皮肉っぽい調子の言葉だ。

 それを聞いた遥は、クスッとおかしそうに笑う。今の一瞬、呟いた一瞬だけ、影色の消えた……そんな笑顔で、彼女は笑っていた。

「もー、カイトはいっつも変な言い方してー」

「これが俺だよ、アンジェ」

「カイトはもうちょっと素直になるべきだよ。色んな意味でさ」

「……分かった分かった、善処するよ」

「ほんとだよ。……っと、じゃあ僕は着替えなきゃだし、一旦家に戻るね。後でお店手伝うから、カイトは遥さんと先にお店に戻ってて」

 戒斗が口走った、もう半分口癖のように出てくる皮肉。それにアンジェはひとしきり小言を言った後で、そう言って戒斗たちの傍を離れ……戦部家の真隣にある自宅、リュミエール家へと戻っていった。

「ほいよ、んじゃあ後でな。……俺たちも入るか、遥」

「そうですね。ところで有紀さんは?」

「流石に帰ったよ。あの後も二時間半ぐらい居座ってたがな」

「ふふっ、あのヒトらしいですね」

「ああ、全くだ」

 自宅に戻っていくアンジェの制服姿の背中を見送りながら、戒斗と遥もそんなやり取りを交わしつつ、目の前にある戸を潜って店に……自宅へと戻っていった。

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