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03 迷惑な客
翌日。
宿に泊まる客の中には、たまに迷惑な客が現れる。
ほとんどのお客さんは良い人ばかりなので忘れそうになるが、いるところにはそういう迷惑客がいるのだ。
「おい、嬢ちゃん。この程度でお金をとるっていうのか。あんなまずい飯だったんだ。金なんてはらえねぇな」
難癖をつけてきた男たちは、こちらがただの娘であることを見てあなどっているようだ。
言い争っているうちに、他のお客さんが何事かとやってきたが、彼等は男たちの腰にある物に気づいて黙らざるをえなかった。
刀を持った武士だったからだ。
その男たちが強面だったのもあっただろう。
絡まれている私を見て気の毒だと思われてるらしいが、危ない目にあってまでこちらを助けようとはしてくれないようだった。
「お金を払ってもらわないと困ります」
一歩も引かない態度で、男たちと言い合っていると、相手は我慢の限界がきたようだ。
「後悔するんだったら、あの世でしな」
お客さん達の間から悲鳴があがる。
彼らは愚かにも目撃者の多いこんな場所で、刀を振り回した。