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02 お世話
タオルにくるんで体を温めながら、宿の客に提供したご飯の残りをだした。
狐の食べる物なんてわからなかったので、選んだものは適当だ。
「こんこん」
元気になったらしい狐は、勢いよくご飯を食べだす。
良かったねと思いながら、完食するのを最後まで見届けた。
弱ったままだったら、他の対応を考えなければならなかったが、元気になったのなら大丈夫だろう。
狐の毛並みが心なしか綺麗になった気がする。
秋の季節に、田の穂が染まる、美しい黄金色のようだ。
「おまえの毛並みは命の輝きにそっくりね」
狐の体が十分に体が温まった事を堪忍した後、私は再び宿の外に出た。
あまりものの一つである油揚げをお土産にもたせ、その背中をひと撫でしてから、野に放った
「仲間の元へお行き」
「こん」
きつねは一鳴きしたあと、どこかへと消え去った。
少し寂しかったが、無理に引き留めるのはよくない。
自然の動物が無駄に人になつくのは良くなかったので、これで良いのだと思う事にした。