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ドルフィンリング  作者: 春野 桜
8/9

中学卒業〜先生〜

 3月15日。卒業式。

 

 式が終わって、いつもの四人で喋っていた。

「なあ、竹兄のとこ行こう!」

 拓海が言い出した。

「行こう」

 舞が元気よく返事をする。

「そうやな、挨拶しないとな。職員室に居てるやろう」

 悠斗も同感だった。

「私は・・・・・・」

 陸上部でもなかったし、ここで待っておこうかな。

 と言いかけた。

「何言うてんねん。楓も一緒に行くで」

 拓海が私の手を引っ張りだした。



 ガラッ


 拓海が勢いよく職員室のドアを開けた。 

「竹兄ー!」

 職員室に居てる全員が注目した。

「こら、阿部。ドアは静かに。職員室では竹田先生と呼びなさいと最後まで言わせるのか」

 と竹田先生が振り向いた。


 いつもジャージ姿の先生も今日はスーツ姿だった。

 かっこいい・・・・・・


「わりいっ。」

 巧海は頬を掻いた。

「竹兄、スーツ似合ってるやん」

 と舞。

「こら、小笠原まで」

 といいながら、顔は微笑んでいた。

「あっ、先生。照れてますね」

 悠斗が解説する。


「あっ、須藤さんも来てくれたのですね」

 先生が私に気付く。


「あれ? 竹兄、楓知ってたん?」

 拓海が不思議そうに尋ねる。

「当たり前。毎日、美術室から阿部を応援してくれて。須藤さんが居たから阿部は頑張れて大会まで行けたようなもの。違いますか?」

「おおー! 何か先生っぽい。よく見てる」

 拓海が驚いている隣で悠斗は

「何を今更・・・・・・」

 と息を吐いた。


「清水はいつも真面目で、冷静だったな。たまには肩の力を抜いてもいいんだぞ」

 と先生は一人一人に言葉を掛けだした。

「はいっ」

 と清水悠斗はしっかりと返事を返した。

「小笠原はマネージャーとして一生懸命だったな。高校に行っても、その元気で進んで行ってほしい」

「はい」

 小笠原舞もきちんと返事を返した。

「阿部は・・・・・・お前はそのままでいい」

「何だよそれー」

 阿部拓海は先生に突っ込んだ。

 先生、拓海、悠斗、舞も笑った。

「須藤はおっちょこちょいなのは愛嬌があっていいのだが、高校へ行ったら泣き虫は治さないと大変だぞ」

「・・・・・・! はいっ」

 びっくりした。

 先生とはあまり接点がなかったのに見透かされていた。


「竹兄。写真撮ろう!」

 舞がインスタントカメラを出した。

 隣に居た先生にカメラをお願いした。

「もう少し寄って下さい」


 竹兄を真ん中に右側に悠斗、その横に舞。竹兄の左側に拓海、その横に私が並んだ。


 「はいっ、チーズ」


 カシャ




「竹田先生! 今日までありがとうございました」

 4人並んで例をし、職員室を後にした。



 私のこともしっかり見てくれていた竹田先生。

 23歳の新人、国語科教師。

 優しくて、穏やかで、理想のお兄ちゃん。

 おまけにスーツ姿がかっこいい。

 もう少しお話したかったと別れを惜しんでいた。

 まさか竹田先生と再会する日が来るなんてこの時の私は思いもしなかった。



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