第32話
最近忙しく、なかなか執筆時間が取れません…
しばらく2日に1回更新が続くと思われますが、ご容赦願います。
サクルの体が発光を始めた。
発動した魔法は分裂の魔法。本来は第3種禁忌魔法に属する危険な魔法である。
自身の体、精神を分裂させ、自分を増やす。メリットは同じ考え、能力を持つ自身を増やすことができる事。簡単に言えば同じ能力の分身体をいくつも作り出せる。つまりは軍備増強に持って来いの魔法なのである。
しかしながら、もちろんデメリットはある。分身体それぞれが思考し、行動するのだが、大本として術者本人の意識が残るため、術者が人格崩壊を起こす危険性があるのだ。
この状態を分かりやすく言うのであれば固定電話の親機と子機のような状態である。流れ込んでくる分身体の思考、意志、そう言ったものをすべて制御しなくてはならない。そんな事は神であっても容易ではない。そのために第3種禁忌魔法禁忌魔法に認定されているのであった。
さて、ここで禁忌魔法について少しだけ触れておこう。
禁忌魔法は第3から第0まで大きく分けて4種類に分類される。
第3は、術者自身を滅ぼしかねない危険な魔法。
第2は、国を滅ぼしかねない危険な魔法
第1は、生命(種族)を滅ぼしかねない危険な魔法。
そして第0は世界そのものを破壊、または滅亡させかねない最も危険な魔法である。
以上が禁忌魔法に属される危険な魔法である。
説明を終えた所で本来の話に戻る。
発光を始めたサクルの体は2つに分裂する。
全く同じ能力を持った2人のサクルが出来上がる。
「紫乃歩ちゃん私に乗って!」
片方のサクルが紫乃歩に指示する。
分裂したサクルに戸惑いながらも、言われたとおりに背中に跨る。
もう一人のサクルは自信を神器の状態にし、上方から降り注ぐ岩石を防ぎ続ける。
「紫乃歩ちゃん、岩は私が防ぐから、地上まで一気に穴開けちゃって!」
「え、えぇ、分かったわ。カウス、地上まで穴開けられる場所分かる?」
≪左後方、発射角度70度を狙い全力の一撃を放てば可能です。なお、脱出までの可能時間はエンチャントする属性により異なります。≫
カウスの計算に基づき、言われた方向を狙う。角度の調整はカウスが教えてくれた。
「エンチャントは何属性が最も時間が増えるの?」
紫乃歩はカウスに訊く。
≪最も時間が稼げるのは氷属性と雷属性のダブルエンチャントによる貫通と維持力を上げた物です。矢じりに雷を付与後、矢全体に氷属性をエンチャントしてください。≫
「了解、じゃぁフォローよろしくね!!」
弦を弾き絞る。それと同時にカウスの形状が変化していく。弓の部分が肥大していき、それに伴いセットされる魔矢がより大きくなっていく。
最大まで大きくなった矢に属性が付与される。そして紫乃歩が手を離す。
瞬間矢が空気を切る轟音を轟かせながら飛んでいく。大空洞の壁を貫き、穴ができる。
「飛ぶよ!!しっかり掴まっていて!!」
サクルが声をあげる。
一気に大量の魔力を使った為か、紫乃歩の意識は朦朧としていた。だが生き延びなければならない。その意志だけでサクルに必死に掴まる。
上方から降り注ぐ岩は盾の状態のサクルが食い止める。そして紫乃歩があけた穴の中へと侵入していく。




