第19話
今回もキャラ紹介がありません。
作者なのにキャラの口調を忘れそうになる…間違っているかもしれませんがそこは生暖かい目で見てください。
冥界へ帰って来たサクルと紫乃歩はアヌビスとトトへ報告をするために神殿の奥へと進んでいた。
アヌビスの部屋の前まで到着する。扉を開けるとトトとアヌビスが今後の事について話し合っていた。
「お父さん、トトさんただいまー紫乃歩ちゃんがカウス=プタハの主人に選ばれたよっ」
サクルがそう言うとトトとアヌビスが勢いよく立ち上がる。
「それは本当か!?紫乃歩さん、よくやってくれた!」
「まさか神器が人間を主と認めるとは紫乃歩くん、これは偉業だ。誇っていい事だ。」
と二人から褒められる紫乃歩。サクルはパートナーとして誇らしかった。
「さて、紫乃歩くん。君はカウス=プタハの矢を射ることはできるかな?」
トトが不思議なことを聞いてくる。
「え?そんな事出来るに決まってるでしょ?」
と紫乃歩は言いカウスを展開する。そして矢筒から矢を取り出し、番えようとする。
「いや、その矢ではない。カウス=プタハは本来魔道弓。矢は必要ないのだよ。矢を番えず、弦だけを引いてみなさい。」
トトにそう言われ弦を引き絞る。
しかし、矢はセットされない。棒状にうっすらと青白い何かが形も定まらず揺らいでいる。
「やはりか…今の君ではカウス=プタハを完全には扱いきれない。少し魔法の勉強をしよう。」
トトの申し出に目を輝かせる紫乃歩。
「アヌビス一部屋借りるぞ。」
「どうぞお使いください。紫乃歩さん魔法は危険な技術だ。しっかり学んで来なさい。」
アヌビスにそう言われた紫乃歩は軽く返事をしてトトに付いて行く。
一方サクルはアヌビスの部屋に残り、久しぶりの父と娘の団欒を過ごすのだった。
神殿の奥、空き部屋に到着した紫乃歩とトト。部屋には机と椅子が1セットあった。
トトは紫乃歩に座るように言う。そして席に着くとトトの魔術の授業が始まったのである。
「さて、魔術と言っても様々あるのだが、まずは基本の魔力感知、そして魔力運用を覚えてもらう。その後に属性付与についてお教えしよう。まずは魔力を感じ取れるようになって貰う。目を閉じなさい。」
紫乃歩は言われたままに目を閉じる。
「リラックスして…今から魔力を流す。感じ取れたなら、目を開きなさい。」
トトは紫乃歩の後ろへ回り、背中に手を置く。そして魔力を流す。
紫乃歩の体の周りに薄い膜が張られていく。全身を包み込んだ時紫乃歩が目を開けた。
「これが魔力なの?」
「そうだ。これは私の魔力であり君が使うことはできない。しかし感じ取れたのであればセンスは悪くない。これを感じ取れない者であれば魔術を使うことはできない。」
再びトトは紫乃歩の前へと移動する。
「では次のステップだ。次は今感じた物を周囲から感じなさい。本来魔力という物はすべての物体に宿る。それは空気も勿論、君が今座っている椅子にすらあるものなのだ。」
そうトトが言うと紫乃歩はまた目を閉じる。そして自身の周囲へと気を配る。何かを感じる。ぼんやりと周囲が明るく感じられる。
「いいぞ、その調子だ。続けて」
トトが優しく囁く。
紫乃歩の周りに先ほどより薄い膜が張られていく。
この子はセンスがいい。鍛えれば一流の魔術師になるだろうとトトは思った。
紫乃歩は周囲の状況を目を閉じたまま認識できるようになる。そこで目を開けた。
「今、目を閉じていたのにこの部屋の全体像が見えたのだけどこれって…」
「うむ、基礎の基礎魔力感知を覚えたな。今のを目を開けたまま使ってみなさい。」
言われたとおりに目を開けたままの状態で試してみる。
すると、これまで見ていた物がより鮮明に見えるようになる。トトの周りには分厚い膜が張られていた。
紫乃歩はこれがその人が持っている魔力なのだと認識する。そして自分を見てみる。
紫乃歩の膜は紫でトトの物と見比べると見劣りするレベルの物だった。
「ふむ、その様子では見えたようだな。」
「えぇ、あなたの魔力が底が見えないって事は分かったわ。」
「君はなかなかの才能を持っているようだな。次へ行こう。」
ここからトトの魔法の授業が本格的に始まるのだった。




