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Horus~2神の復活~  作者: Syuteu
第2章 神器ロムフ=プタハ
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第14話

 渓谷内に鉄と鉄がぶつかり合うような音が鳴り響いていた。

 そんな渓谷内を走るニスル。

 頭の中にまた声が響く。


≪警告、この先にて戦闘が繰り広げられています。≫

「そんな事は分かってる!!」


 とニスル。


≪なお、マスターのご友人は劣勢の様です。残り30秒で会敵します。ご注意を≫


 その言葉を聞き、走る速度をさらに上げる。




 獣人は渓谷の奥より近づいてくる膨大なオーラに注意を向けていた。

 しかし、隙は全く無く、飛朗斗は獣人の攻撃範囲から抜け出す事ができないでいた。

 飛朗斗も渓谷の奥からくる何か得体の知れないものには気が付いていたのだが、それどころではなかった。


「来ル…」


 獣人は飛朗斗の事はすでに眼中にない。

 ついにオーラの持ち主が姿を現す。

 そのオーラの持ち主はオレンジの長い髪をなびかせ、皮の鎧を身にまとっていた。

 その手には黄金に輝く槍を握っている。

 少女は手に持つ槍を肩口に構え、投げの構えをした。


「飛朗斗!避けて!!」


 少女の手から槍が放たれ…た?

 否、少女が投げた槍が一定の距離を取ると、少女の体も槍に追随して飛んでくる。


「えっ…なにこれ!!!」


 少女も戸惑っていた。

 槍は飛朗斗の真横に刺さった。


「あっぶな!!えっ?てか誰だよ!!」

「あたしだよ!!ニスルだよ!!分かんないの!?」


 2人がそんな会話をしていると、獣人が爪で攻撃を仕掛けてくる。

 ニスルが手で受け止めようとすると、その手に槍が出てきて、受け止める事が出来た。


≪マスター今はそれどころではないかと…≫


 脳内でまた声が響いた。


「もうっうっるさいなぁ!!さっきから人の頭の中で喋ってんじゃない!!そもそも誰よあんた!!」


 ニスルが怒りに任せて槍を振る。獣人の爪が弾かれ、獣人が一短距離を取り様子をうかがう。


≪先ほど伝えたはずですが…もう一度お伝えします。私は鍛冶の神プタハによって鍛え上げられた武具が1本“ロムフ=プタハ”真神鉄を用い作られた神器の一振りです≫

「ふーん…ってこの槍なのあなた!?」

≪そうです≫

「貴様、フザケテイルノカ!!」


 獣人がキレる。それもそうだろう。ずっと無視されているのだから。

 飛朗斗はニスルだという事を認め、こいつ頭でも打ったのか?といった表情でニスルを見ていた。

 ニスルは獣人に対して逆切れする。


「ふざけてるわけないでしょ!!!あんたね!人が話してる時に横槍入れてくるんじゃないわよ!!少しは大人しくしていなさいよ!!」


 獣人は完全にキレた。


「コロス」


 瞬間移動に近い速さでニスルへと距離を詰め、爪による横薙ぎで攻撃してくる。

 飛朗斗は目で追うことができなかった。自分は遊ばれていた事をここで痛感させられる。

 一方ニスルはその横薙ぎを槍で受け止める。すると、ロムフがまた語り掛けてくる。


≪マスターには戦闘技術が無い事を確認しました。私が戦闘を肩代わりしますか?≫

「えっそんなことできるの?じゃぁよろしくっ」

≪了解しました。これより自動戦闘を開始します。なお、解除する場合は終了と念じてください。≫


 すると、体が勝手に動き始める。初めての感覚にニスルは少し楽しさを覚えた。

 爪を弾き、相手の懐へ入る。そして胸へ目掛けての鋭い突き。

 確実に相手を殺す事だけを考えた動きである。


「チッ」


 獣人は慌てて後ろへと飛び退く。

 攻撃は当たった。しかし、毛皮を貫通はしたものの、決定打までは行かなかった。

 急にニスルの動きがよくなった事で獣人は少しだけ冷静になる。


「キサマハ、ココデ殺サナケレバナラヌナ!」


 再び獣人が瞬間移動のような踏み込みからの爪による横薙ぎを放つ。

 しかし、爪が通る場所にはニスルの体は無かった。

 ニスルの体は変形し、槍に翼だけが生えた状態になっており、獣人の脇を抜けて魔術師目指して一直線に飛んで行く。


「ヨケロ!!」


 獣人は慌てて魔術師に指示を出したが、遅い。

 槍は魔術師の胸を貫通。魔術師は心臓を貫かれ、死に至る。

 魔術師が死んだ事で獣人に掛けられていた、強化の魔術が解除され、体の大きさが元のサイズへと戻る。


「キサマァァァァァァァ!!!!」


 獣人の雄叫びが渓谷に響き渡るのだった。

ロムフ=プタハ

 この世に4本しか存在しない真神鉄にて鍛え上げられた武具の1本。通常神の武具は神鉄を用いて作られる。

 その性能は人間からすれば、計り知れないほどの物なのだが、真神鉄はさらにそれを凌駕するほどの性能を持つ。そして純度100%の真神鉄を使って作られた4本の武具はさらにその上を行く。

 ましてや、鍛冶の神が生前最後に鍛え上げた武具の4本。その性能は恐るべきものである。

 事実この時点のニスルには扱いきれていない。

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