不幸な奥さん
男がいた。
この男、どうしようもない男で大の競馬好き。
ロクに働きもせずに、奥さんがパートで稼いだ金も馬券に費やすような男だった。
そんな男にも優しさはあった。
ある日、万馬券を穫ったとハシャいで奥さんにネックレスを買ってきた。
でも奥さんはただ腹立たしいばかりだった。
ネックレスは無造作に投げ置かれた。
翌日、奥さんはパート帰りにそれを近所の買取りショップへ持っていった。
ショップの店員
「申し訳ありません。これは買取できかねます。イミテーションですから。。。」
奥さんは恥ずかしくて店を飛び出た。
奥さんは店を出ると勢いよくそれを投げ捨てた。
そして公園を突っ切ると、離婚届を取りに市役所へと向かって歩いた。
路上では投げ捨てられたネックレスが斜陽を浴びて転がっていた。




